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3.異世界に転生したのが確定したようだ・・・だって魔法があるんだもん

(さぁ母さん、早う拭ってくれ。

 時間が経ったせいか不快感が尋常じゃない!

 これ下手したら一部固まってるかもしれん。)


「今綺麗にしますからね~…

 あっ!お湯を用意するの忘れてたわ!」


(おい~!

 ってことは少なくともお湯が沸くまで待たなきゃいかんのか?

 このままじゃ尻がかぶれちまう!)


「クリエイトウォーター、ウォームオブジェクト」



 フラーナがそう呟くと、彼女が用意した桶にどこからか水が生成されたと思いきや、次第にその水が湯気を放ち始めた。

 その光景を目にしたフラッドはあまりの出来事に驚愕の声を挙げた。



「あぅ・・・。アブバァッ!」

(わけがわからないよ・・・

 マジでわけわからん!急に母さんが呟いたと思ったら、水が出てきてお湯になるとか

 …何それっ!どんな魔法だよっ!・・・魔法?

 っ!魔法!この世界、魔法があるんだ!

 ということは、さっき母さんが呟いてたのは呪文だったてことか!)



 そんなフラッドの声を勘違いしたのか、フラーナは優しく語りかけた。



「どうしたの?お腹空いちゃった?

 お尻拭いたらご飯にするからもうちょっと我慢しててね?」


「きゃっきゃっ」

(違うんだ母さん、俺は今、物凄く感動しているんだ。

 魔法がある。つまりそれは、俺が夢見た異世界に転生しとことの証明に他ならない。

 その事実に感動しているんだ。

 あっ、でも確かに腹は空いてるからそっちもお願いします)


「こっちは終わったけど何か手伝えることはあるかい?」


「そうね~お仕事までに時間があれば、薪を補充しといて

 くれると助かるわ」


「わかった。最近はよく冷えるからね。

 多めに用意しておくよ」


「よろしく。あまり無茶はしないでね?」


「ああ、わかってるよ。

 それにこの後仕事も控えているからね」


バタンッ



 フラッドは二人の会話からふと外の様子が気になり、確認をしようと窓へ目を向けたところ、窓は白く結露し、外の様子は窺えなかった。



(へぇ 窓が結露してるし今は季節的に冬か?

 寒さを感じないから春かと思ってたけど…よく見れば奥に暖炉あんじゃん)


「お待たせ、今拭くからじっとしててね?」 フキフキ


「あぅ。あふっひゃっへにゃっマ゛ム゛ウゥー

 ・・・ふぃ~」

(長かった。ようやっと拭いてもらえる。

 あっ!もっと手前っ!そこぉっ!ん゛ん~気持ちいぃ~

 ・・・はぁ~すっきりしたぁ~)



 赤ん坊のひどく繊細で柔らかな肌を傷つけないよう優しく丁寧に、それでいて汚れが落ちるよう時に強く拭っていく。

 そのあまりにも心地よい感覚にフラッドはつい、だらしない声と表情を出してしまった。



「ふふっ。そんなに気持ちよかった?

 片付けが終わったらご飯にするから、待っててね」


 そう言うとフラーナは片付けを始めた。

 

「まぅ?あうまぁっ!」

(そんなに顔に出てたか?

 まぁいいや、早く腹を満たしたい。

 早めに頼むぞ母さん!)


「むぅ…」

(しかし、仕方がないとは言え母さんみたいな美女に尻やらナニやら拭かれるのは堪えるものがあるな。

 前世の俺なら美女に見られるだけで興f・・・ゲフンッ

 羞恥で悶え死んでしまう。今でも羞恥心はあるけどな。)



 フラッドがそんなことを考えている間に、フラーナは片付けを済ませ授乳の準備を始めた。



「はい、フラッドご飯の時間よ。

 いっぱい飲んで元気な子に育ってね」


「あぅまっ!」

(いつ見ても綺麗な胸だな。そして大きい。

 少なくてもDカップはあるんじゃないか?

 これまた前世の俺なら興奮してアレが元気になるんだが、親子だからなんだろうけどまったくもって興奮しない。

 …まぁいいや、いただきます」


「あむっ」 ゴクゴクゴク 


「こんなにいっぱい飲んで、よっぽどお腹が空いてたのね?」


コンコン   ガチャッ


「フラーナ、薪は納屋に仕舞っておいたから後で確認してくれ――っとすまない。授乳中だったみたいだね」


「あらガラッド、ありがとう。

 後で確認しておくわ。

 それよりも、まだ仕事に行かなくて大丈夫なの?

 私がお願いしたのもあるけれど、遅刻するとまた領主様に怒られるわよ?」


(領主様?そうなると父さんは騎士か何かか?

 てか父さん、領主様に怒られてるのか)


「ははっ!その点は大丈夫。

 最悪アクセルを使えば間に合うから。

 それと、前回怒られたのは納品した商人が数を間違えたのであって、断じて私のミスではないからね?」


(アクセル?内容的に早く移動できる魔法か何かだとは思うが…

 あと、商人と関わって怒られたってことは文官かなにかってことだよな)


「フフッ。えぇ知ってるわ。

 それでも怒られたのは事実でしょ?」


プハァ


「あみゅぁ。ふぁ~・・・みにゃ」

(ご馳走様でしたっと。ふぁ~眠くなってきた)


「はぁ~君って人は・・・

 フラッドもお腹が膨れて眠そうだし、そろそろ行くよ。

 フラッド、父さんが仕事に行ってる間、母さんを頼むぞ?

 それじゃあ、行ってくるよ」


「もぅあなたったら何を言ってるの?

 フラッドはまだ赤ちゃんなのよ?

 ――行ってらっしゃい」


「いっえぁ」

(いってら~)


パタンッ


「フラッドも眠そうね?」


(今回も驚きの連続だったなぁ。

 特に魔法。未だに興奮しているのがわかる。

 …眠気には勝てないけどな。

 後は父さんの仕事がわかったりしたしなぁ

 まとめるのは次に目が覚めてからでいいか、とにかく寝よ)


ゴソゴソ


「まっ、はにゅa・・・。」

(母さん、おやすみなs…)


「――おやすみ、フラッド。」 チュッ



 フラーナの口づけと共にフラッドは意識を手放した。


お読みいただきありがとうございます

誤字・脱字等、ご指摘いただいたものに関しては極力修正していく予定ですのでよろしくお願いします。


次話は1/17投稿予定です

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