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29.男爵令嬢に遭遇したんだが・・・

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「あなた達がお父様の言っていたお客様ですのね?」



 ガゼボの中で優雅にお茶をする少女がそう問いかけると、フラッドは背中に大量の冷や汗をかく。



(あの娘、どう考えてもダン男爵の娘だよな!?

 現にお父様とか言ってるし・・・

 貴族様に向けた敬語なんて知らんぞ!?間違ったこと言って打つ首とかになるのはごめんだぞ。

 ・・・それにしても髪型はテンプレドリルじゃないんだな)



 フラッドが身の振り方と前世の定番(テンプレ)を考えソワソワしているのを他所に、ポーラが不思議そうな顔をしながら口を開く。



「そうだよ?私たち領主様にお呼ばれして、お父さんたちと一緒に来たの。

 あなたは?」



 ポーラが口にした年齢相応な素直な問いを聞き、問いかけられた少女ではなくフラッドが顔を緊張に強張らせる。



(ちょっ、ポーラ!お父様だとかですのとか言ってるんだから令嬢だって解るだろ!

 それをなんでそこ等の子供相手みたいに返事してるんだ!

 せめて敬語を・・・令嬢様怒ってたりするか?)

 


 最悪の事態を想像して、チラチラと少女の顔を窺うフラッド。

 そんなフラッドの視線など気にしていないのか少女は可笑しそうに笑うと名を口にする。



「ふふふっ!あなた達がフラッドとポーラですのね?

 私はティアと言いますの。

 ポーラはダリウスが言ってた通り可愛いし、何より物おじしないその態度、気に入りましたわ。

 それに引き換えフラッド、ガラッドの言う通り優秀なのでしょけど、だからこそ市井の者たちと同じで私の顔色を窺う辺り面白くありませんわ」



 ティアに言われ顔を青くしたフラッドは、どうにか釈明しようと恐る恐る口を開く。



「ティア様、その僕たちにも生活があるので、ここでティア様やダン様の不幸を買って、父が職を失うのは避けたいのです。

 なので――」


「そういう態度が面白くないのですわ!

 そんなものは普段から見飽きていますの。

 そもそも私やお父様はそのようなことで職を免ずることはしませんわ!

 貴方は子供なのですからポーラのように話してくれて結構なのですのよ?

 ――それを望んでいるのですから」

(むしろ私やお父様をそのように捉えていることの方が不敬にあたるのですが)



 フラッドの言葉を遮り意見するティアに顔を顰めるポーラだったが、その後に続く悲しそうな寂しそうなティアの言葉にその思いもなくなる。



「仮にそのようなことをしたとして、他の方々に見られたら示しが付かないのでは?」


「そんなことを私が気にするとでも思っていますの?

 例えお父様が何を言ってこようとも私は気にしませんわ。

 ・・・ただ普通に話せるお友達が欲しいのですもの。

 二度は言いませんわ、そう言った態度はやめていただけます?

 それとも、私とは話せないとでも言うのかしら?」



 強気な態度とは裏腹に不安に揺れるティアの瞳、そして横から向けられるポーラの瞳を感じ、フラッドは意を決する。



「わかりまし――わかった」


「ええ、これからよろしくお願いしますわ、フラッド、ポーラ。

 私の事は今後ティアと呼んでくれて結構ですわ」


「うん!よろしくねティア!」


「よろしくお――よろしく、ティアさ――ティア」



 こうして二人と男爵令嬢との邂逅は後ろで冷や冷やとしながら控えるメイドたちを他所に果たされるのだった。



「ところでティアは何をしていたの?」



 友誼を交わして間もなく、ポーラがティアに尋ねる。

 当初から変わらず気さくに接するポーラに喜びを隠せないティアはその気持ちを隠そうともせず嬉しそうにそれに答える。



「見てわかると思うけれど、庭に咲く薔薇を眺めながらお茶を飲んでいましたの。

 いつもはもう少し早い時間に飲むのだけれど、二人が来ると聞いて屋敷に居るよりはこちらに居たほうが早く会えると思って・・・」


「そうなんだ~、ティアの予想は当たったね?」


「えぇ」


「その、邪魔だったりとかは…」



 ようやく雰囲気が落ち着いてきたタイミングで放たれたフラッドの発言にティアはやれやれと呆れたように首を振る。



「フラッド、先ほども言った通り、私はあなた達と早くお友達になりたくてここに居たのですわ。

 そして、予想通り早く会えたのに邪魔も何もありませんわ?

 二人は色々と面白い経験(・・・・・)をしてると聞いてますわ。

 親睦を深めるためにも、是非そのお話を聞かせていただけます?」



「いいよ~フラッド君ティアにあの話しようよ!」


「そういうことなら」


「では、こちらに掛けて?

 リン、メル二人にお茶とお菓子を」



 ティアは二人に席を進めると、二人に付き添っていたリンと、もともとティアに付いていたメルに指示を出す。

 フラッドとポーラが着席すると、メイド達は洗練された所作で二人に紅茶とクッキーを用意する。

 メイド達の所作に見惚れているフラッドの耳に弾んだ声が届く。



「うわ~この紅茶にクッキー、すごくいい匂い!

 本当に食べていいの?」


「えぇ、その為に用意したのだもの。存分に味わって?」



 その言葉に満面の笑みを浮かべるポーラは、早速とばかりにクッキーを口にする。



「甘~い!フラッド君これ凄く甘くて美味しいよ!

 フラッド君も食べなよ!」



 ポーラに勧められクッキーを手にするフラッド。

 それを口に入れた瞬間、フラッドの顔は驚愕の表情に変わると頬がだらしなく垂れる。



(美味っ!なんだこれ!母さんが買ってくるやつとは全然違う!てかバター使われてるぞ!やっぱり貴族様は違ぇな。

 前世でもこんなに美味いクッキーは上司が買ってきた高級菓子店のやつぐらいだ。

 あれと同等の味ってなるとこの世界だとめちゃくちゃ高

 いだろうな…)



 フラッドがバタークッキーで感動しているには訳がある。

 この世界では砂糖の値段は高く、一般で売られているクッキーには少量しか使われていない。ましてバターなどは砂糖よりも高い高級品であるため市販されているものには一切入っていない。

 その為、市販されているクッキーは薄味で非常にパサパサしており、前世のクッキーを知っているフラッドにとっては満足いくものではなかった。

 そんな事情もあり、前世の更には高級店の物と同等のクッキーを食べたフラッドはその美味しさと前世の食文化のレベルに感動を覚え顔を綻ばせていた。

 美味しさに顔を綻ばせる二人を満足気に眺めていたティアは人伝手に聞いていた話を早く聞きたいのかそのことについて切り出した。



「二人とも私の用意したクッキーは気に入って貰えたみたいですわね。

 早速なのだけれど、二人が経験したことを聞いてもいいかしら?」



 ティアの切り出しに反応したポーラは、口に残るクッキーを手元の紅茶で流し込むと話し始めた。



「もぐっ…ゴクゴク…ふぅ

 えっと、まずは――」



 ポーラの口から紡がれる話をティアは真剣な面持ちで待つのだった。

 お読みいただきありがとうございます。

 本話は前話で登場した男爵令嬢ティアとの一幕でした。正直あまり良い文章を書けた自身がないので、読んでいただいた皆様としては詰まらなかったかと思います。

 次話で領主(ダン男爵)との謁見になるので今しばらくお付き合いいただければと思います。

 引き続き誤字脱字、ご意見等ご指摘いただいた点は直していくのでよろしくお願いします。


 さて、次話の投稿日ですが7/21を予定しています。これも執筆状況に応じて投稿が早まることもありますので一応記載させていただきます。

 それではまた次話で!

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