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13.早速街に出てみたんだが・・・

遅くなりすみません

仕事とネット回線エラーにより遅れてしましました。

前話で述べた期日以内ではありますが本来ならもっと早く投稿できていたので謝罪させていただきます。


このような素人作品を意外なほど読まれている方々が居ること、ブックマークがついたことに心底驚いていた私ですが、今回なんと初の文章・ストーリーに評価をいただきました!

これまた驚きで、ブックマークの時のように二度見してしまいました(笑)

色々な形でこの作品を楽しみにしていただいている人が居ると実感でき嬉しい限りです。

皆様の期待を裏切らぬよう今後とも精進していく所存であります!


本文の前にこのような長文失礼いたしました。


※評価云々と触れておりますが、して欲しいと強要しているわけではないので今まで通りお楽しみいただければと思います。


 翌日、朝食を終えたフラッドは早速と言わんばかりに玄関へ向かうと、先に食事を済ませ出勤しようとしていたガラッドに追いつく。



「早速街へ出かけるのかい?

 くれぐれも気を付けて遊ぶんだぞ?

 それとポーラちゃんも一緒なんだ、何かあったらしっかりと守るんだぞ。

 それと――」


「わかってるよ!父さんも早くしないと遅刻しちゃうんじゃないの?」


「そんな頻繁に遅刻はしていないんだけどね・・・

 それに今回はかなり余裕があるから問題ないんだ。

 まぁ確かに色々話しても訳が分からなくなるだけだから

 ね、とりあえず何か起きたら近くの衛兵に伝えること。

 それだけは覚えといてね?」


「はーい」


「それじゃあ、父さんはそろそろ行くよ」



 ガラッドはそう話を締めくくると仕事に出た。

 フラッドが出勤するガラッドを見送るのに少し遅れて居間の方から「行ってらっしゃい」とフラーナの声が響いてくる。

 ガラッドが出てから数分。

 フラッドは身だしなみに乱れがないか、少しの小遣いなど忘れ物がないか等の確認を済ますと、台所で洗い物をしているであろうフラーナへ向けて勢いよく「行ってきます!」と声を張ると、先ほどと同じフラーナの「行ってらっしゃい」を背に家を出る。

 扉を開けた先には、いつもとは違うよそ行き用であろう真っ白なワンピースに、麦わらで編んだ帽子を被ったポーラが居た。

 そのワンピースは絹で編まれているのか、薄っすらと光沢を帯びており、腰の両サイドと胸元にある青色のリボンと相まって、儚げで気品のある印象を与える。

 それを見たフラッドは、一瞬どこぞのラーメンに入っていそうな名前の幽霊少女を思い出していた。

 しばしフラッドが見惚れ、立ち尽くしていると、そんな彼に気づいたのかポーラは朗らかな笑みを浮かべながら手を振ってきた。



「・・・」

(天使だ・・・。ふつくしぃ・・・)


「おはよー!フラッド君、早く行こう」



 彼女の声にようやく我に返ったフラッドは、思いのほかドキドキとしながらポーラの元へと歩を進める。



「おはようポーラちゃん。

 待たせちゃったかな?」


「うぅうん、私もさっき出てきたの!

 だから全然待ってないよ?」


「そっか、ならよかった。

 それじゃ~早速街に行こうか!」

(ってこれ完全にデート始めのテンプレじゃん!

 男女セリフ逆だけどもなっ!)



 前世でお決まりの会話をして、実際にこういう展開が起こり得るのかと感慨に耽っていたフラッドであったが、いつもとは違うポーラの雰囲気に、普段なら気にしない沈黙に居心地の悪さを感じていた。



(やべぇ・・・落ち着かねぇ

 可愛すぎんだろ、どうしろってんだ!

 とりあえず適当に話でもして気を紛らわすか

 ・・・にしてもこんだけドキドキしてんだ、こりゃもうロリコン確定だな。それもこれも可愛いポーラが悪い)

「ポーラちゃんの着ている服、いつもと違うけどどうしたの?」


「えへへ~

 これね、こないだじいじ達に会いに行ったでしょ?

 その時にじいじに買ってもらったの!」


「へ~、すごい似合ってるよ。

 でもなんで今日それを着てきたの?」

(似合い過ぎて、少し興奮してます、はい)



 似合っていると褒められて頬を緩ませるポーラだったが、続いて出た言葉に若干の不満を覚えたのか表情に僅かながらの怒気を孕む。



「なんでって、初めてフラッド君と二人だけでお出かけするんだもん・・・」


「僕と出かけるのにわざわざお洒落なんかしなくてもいいのに」


「むぅ~!わかんないならいいもんっ!」


(こりゃ地雷でも踏んだか?

 小説とかならポーラは俺に気があって~って感じだが、

 いや、気があるのか?前にキスとかされたし・・・

 やっちまったな~)



 自分の言葉選びの失敗に思い至り、彼女の機嫌を直そうと何度も話しかけるも、その度、無視やそっぽを向く等まともに取り合ってくれない。

 今日一日ずっとこんな感じかと半ば諦めていたフラッドであったが、街のメイン通りに着いてすぐ覆ることとなる。


 二人が家を出てから幾ばくか、区画の境界にあたる門にたどり着く。

 二人の家はこの町で言うところの第一平民街にあり、ここは主に平民の中でも比較的裕福なものが住まう区画で、その他に第二・第三平民街がある。

 それぞれ、中所得・低所得となっており、メイン通りを中心に、平民街は左に位置している。

 逆に右側は、職人街や商人街となっており、鍛冶師や商人などの居住区となっている。

 メイン通り沿いは商売区画となっており、雑貨屋や武具屋、宿屋、飯屋など多種多様な商店が並び、常にそれぞれの利用客で賑わっている。

 そんな商売区画であるメイン通りと各居住区を区別するため、その境界には扉のない門が設けられている。

 門の両脇には衛兵がおり、すぐ近くに彼らの常駐する詰め所がある。

 衛兵は二人立っていたが、片方は余程暇なのか大きく口を開け盛大にあくびをしていた。



「君たちこれからメイン通りに行くのかい?」



 あくびをしていた衛兵の向かいに居た、柔和な印象を与える若い衛兵の問いかけに、今までツンとした雰囲気は犬にでも喰わせたのか、ワクワクとした表情でポーラは返事をする。



「うんっ!

 二人でお出かけなの!」


「そうか~二人でお出かけって言うと、デートかな?

 それは楽しみだね?」


「っ!?・・・デート」



 衛兵の口から出たデートと言う単語に、頬を赤らめながら何度もフラッドをチラ見するポーラに、衛兵は初々しさを感じながら二人を送り出す。



「ははっそれじゃ、気を付けて行くんだよ?

 この町は悪い人は少ないけど居ないわけじゃないから、もし何かあったら、僕たち衛兵に言ってね?」


「うんっ!」


「少年、こんなにかわいいお嬢ちゃんとデートできるんだ、しっかりと守るんだぞ?」


「は、はぁ」

(守れる範囲でなら守るさ)



 衛兵に言外に男の甲斐性について、念押しされ微妙な返事を返したのち、二人はメイン通りへと歩を進めた。

 そんな二人を衛兵は、自分にもこんな時期があったものだと昔を思い出しながら見送るのだった。


 衛兵とのやり取りから数分。

 ポーラは直前のやり取りから、出発当初のツンツンとした雰囲気は息を潜め、メイン通りで何をするかの想像でワクワクとした空気を纏っていた。

 


「フラッド君!着いたよ!」



 ポーラがそう指し示す先には、今まで見たことがないほどの人ごみに溢れていた。

 二人はようやくメイン通りへとたどり着いたのである。

 その中には、リンゴのような果実を売りさばく果物屋やそこをのぞき込む恰幅の良い主婦、片やはぐれた子を探す母親、片や親とはぐれ泣き叫ぶ子供などいろいろな存在が人ごみを彩っていた。



「人がいっぱいだね?」


「そうだね。

 でも、王都よりかは少ないよ?」


「そうなの?」

(これより多いって、絶対人酔いしそうだな…)


「王都のほうが人いっぱいいたし、道ももっと大きくてねっ馬車とか竜車とかいっぱい通ってたの!

 あっ!フラッド君あそこ行こう!」



 そういうとポーラはフラッドの手を引きながら、中央の広場にある露天商へと駆け出した。

 露天商ではヘアピンやブローチ等のアクセサリーが並んでいた。

 それらはほとんどが木彫りの物で、兎や犬等の動物から、向日葵やクローバー等の植物などが装飾として彫られており、どこか味わいのある印象を与える。

 中には何かの鉱石が散りばめられた金属製のブローチなどもあったが、それらは木製の物と比べると煌びやかで一瞬目を奪われてしまうがその見た目に比例して金額も高いものとなっていた。

 そんなアクセサリ達を眺めていたポーラであったが、その視線がある一点で止まる。

 それは猫をモチーフにしたブローチで、白樺のような白い木材で作られた眠る子猫を、ローズウッドのような木材で作られた月桂冠が囲んでいるというものであった。



「これ可愛い!

 えと、お金は~・・・うぅ900ロートもする~

 これ買ったらお昼ご飯買えなくなっちゃう」



 この世界の通貨はロートと呼ばれており、1ロートが日本円の1円にあたる。

 つまり、このブローチは900円なのだが、子供のそれも三歳児の小遣いで考えると高い買い物である。

 今回は初めての外出と言うことでエリーゼから1000ロート渡されていたポーラであったが、ここでこれを買ってしまうと昼ごはんが精々串焼き一本という物足りないものになってしまう。

 その為、うんうんと悩んでいたのだが、そんな彼女の様子を見かねて露天商は割引を申し出る。



「ん?嬢ちゃんこれが欲しいのか?

 そうだなぁ、嬢ちゃんは可愛いし特別に800ロートでどうだ?」


「っ!?おじちゃん、いいの?

 うぅ~ん、でも・・・」


「なんなら隣の坊主に買ってもらえばいい。

 坊主、デートだろ?男ならここは買ってやるもんだぜ?」


(800ロートか・・・昼飯抜けば買えないこともない…)


「フラッド君に迷惑かけちゃダメだもん!

 おじちゃんごめんなさい!

 フラッド君行こう!」


「えっいいの?」


「うん。欲しいけど我慢する!」



 そう言うとポーラはフラッドの手を引きながら店を離れる。その後姿を、露天商は客を逃したと言わんばかりに悔しそうな目で見ていた。

 猫のブローチがよっぽど欲しかったのか、露天商を離れてから元気のなくなったポーラを見かねたフラッドは、彼女に広場の噴水近くで待つよう伝えると、トイレを言い訳に先ほどの露天商へと戻る。



「おじさん、コレください。」


「はいよって、さっきの坊主じゃねぇか。

 漢を見せに来たか?

 んじゃ900ロートな?」


(んな!?そこはせめて割り引いたままにしとけよ!)

「おじさんさっき800ロートって言ってたよね?」


「ん?ありゃ嬢ちゃんに特別に割り引いただけで、お前さ

 んにはないぞ?」


「800ロートでも売るってことはそれでも利益はあるってことでしょ?それなら、800ロートでもいいんじゃないかな?」


「何言ってんだ?商売ってのはいかに高く売るかなんだよ!

 800ロートでも利益はあるが、900で売れるんならそっちの方がいいに決まってんだろ!

 買わねぇんならさっさと帰りな!」


「利益もそうだけど、客の満足度も重要じゃないの?

 客が得した気分になればまた買いに来るかもしれないでしょ?

 それにほら、そこ!少し欠けてる。

 これだったら700ロートにしてくれてもいいんじゃない?」


「気に入らねぇなら買わなきゃいいだろ!

 さっさと帰れ!」


「ここで割り引いてくれたら、友達とか親におじさんの店、いいところって伝えようかと思ったんだけど?」


「あれか?これで俺がお前さんを突き返したら、悪評ばら撒くって言いてぇのか?」


「そんなことは一言も言ってないけど、そうして欲しいならそうするよ?」


「して欲しいわけねぇだろ!750だ。

 これ以上は割り引けねぇ。

 それでも買わねぇってなら本当に帰れ」


(よっしゃー!営業妨害とかで訴えるなんて言われなくてよかったー。そもそも訴え出るところあるんかわからんがひとまずこれでよし!)

「決まりっ!

 それじゃ、これ750ロートね。

 ちゃんと確認して」


「おう。キッチリ750ロートあんな。

 ほれ、ブローチだ。

 友達とかに伝えるのくれぐれも頼むぞ?」


「わかってるよ。おじさんありがとね?」


「はぁ・・・坊主お前さん本当に子供か?

 ホビットだったりしねぇか?」


「言動はらしくなくても僕はこれでも三歳だよ?

 そこのところよろしく」


「ああそうかい。まいど」



 やりかたの拙い値引き交渉に勝利してホクホク顔で去っていくフラッドを露天商は疲れた様相で見送るのだった。


 フラッドが戻ると、そこには大変ご立腹な様子のポーラが居た。

 露天商との値引き交渉は思いのほか時間がかかっており、その間ひたすらに待たされたポーラはイライラが募っていたようだ。

 彼女の為にした行いで当の本人を怒らせるというなんとも本末転倒な結果に、自分の事ながら憮然としてしまうフラッドはこの後、彼女のご機嫌を取ろうと手を引きながらメイン通りをエスコートし始める。










お読みいただきありがとうございます。

前書きでも触れております通り今回初の評価をいただきました。

つきましては改めて読者の皆様に深くお礼申し上げます。

未だ拙い文章でありますが何卒宜しくお願い致します。

また、誤字・脱字等、ご指摘いただいたものに関しては極力修正していく予定ですので併せてよろしくお願いします。

次話の投稿予定は3/24を予定しておりますが、3月・4月と仕事の方が繁忙期なので今回のように遅れる場合があるかと思いますがご容赦ください。


一応、作中の通貨についてこちらにも記載させていただきます。

通貨単位 : ロート

レート  : 1ロート=1円


私はあまり学がないので、今後の展開でおかしな場面が出るかと思いますが、その時は優しくアドバイス等をいただけると幸いです。



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