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「白魔術師のレイロック……だと?」
『ええ』
「白魔術師」とは、結界などの防護魔法や、治癒魔法を得意とする魔術師達、広義では、神官や司祭なども含めた者たちの総称である。
そして「レイロック」とは、先日フィンの首都ヨルムを混乱に陥れた、死人の扱いに長けた、闇魔術師である。
つまるところ、この闇の魔術師は、経歴詐称をしてガロンに接触を試みてきたというわけだ。
『このような吹雪の中、わざわざ連絡をとらせていただいたのは、ぜひあなたにご助力したいと思いましたからで』
「俺に??」
怪訝な顔で応じたガロンだったが、どうやら自分に危害が加えられることがないとわかり、先ほどよりは警戒を薄めた様子だ。
『ええ、実はかねがねあなたの事は存じていましてね。機会を見て、お会いしようと思っていたのですよ』
「………会ってどうするつもりだったんだ??」
『いやぁ、私は道楽で、あなたのような「夢」をお持ちの方の支援をしておりましてね。これをお渡ししたいなと思っていたのですよ』
レイロックの言葉が終わると同時に、カラスの首がガクガクと震え始めたかと思うと、その口から何か黒い玉のようなものが吐き出された。
「これは……何なんだ??」
『私たち白魔術師に伝わる強力な呪的アイテム……これを身につけることにより、おそらくあなたの失いかけた「夢」を今一度とり戻し、新たな人生を歩む事ができるでしょう』
「何だと??」
ガロンもそれなりにはしたたかな男だ。
目の前に転がっている玉をうさんくさそうに見ると、そのまま嫌疑の表情をレイロックと名乗る鳥の方へと向けた。
『もちろん、無理にとは申しません。これをお持ちになるかはあなた次第』
疑いの目などわかっていたとばかりに、カラスの口が能弁に動く。
『それでは、私はこれにて失礼いたします。私の慈善事業をこころよく思ってない連中も多いので、長居は禁物でしてな』
「おい、ちょっと待ー」
『では失礼…』
「おい!!待て!!」
『…………』
ガロンの呼びかけもむなしく、カラスの首はコトリと机の上に倒れ、もはや全く動いたりしゃべったりする事はないようだった。




