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4話 ノブチン、試作1号機を創る。


ここまで魔獣を狩り続けたノブチンは疲労感を感じ、洞窟の外に出た。


あーーーー。体育祭の後よりもしんどい。これ、疲労感と体力って別物なんだろうなー。


説明書が光った。


疲労感


肉体が睡眠・休息を必要とした際に現れる。生命を維持できる体力の概念とは別次元に当たる。



「いや、分かるから!!」


1人孤独にノリツッコミしてしまったノボルは少し寂しさを感じながらも、風呂の欲求を感じた。


「あー汗流したいな…お湯とかって作れるんだろうか?」


ノブチンは洞窟の出口から300m程北にある岩場に岩で浴槽のようなものを作る。大きさは大人3人は余裕な程度。


魔力残量 100/100


え?ただの岩超低コストなんですけど。結構な質量を生み出したと思うんだけど。いや、俺がレベルアップしたせいか?とりあえずお湯出してみよう。


ノボルは頭の中で自分にとっての適温42度のお湯を浴槽いっぱいにイメージし、スキルを発動する。


魔力残量 99/100


そして目の前には広がる浴槽いっぱいのお湯。


「っしゃあ!!風呂!風呂だ!!」

ノボルは風呂とサウナが大の好物である。プラモづくりに疲れた体を癒してくれる最高のパートナーだ。テンションを上げつつ衣服を脱ぎ棄て入浴する。


「あぁ~~~生き返るんじゃァ~~」


ゆったりと湯船に抱かれながらモノづくりに思いをはせ、ブツブツ独り言を続ける。


「まず製作の初段階としてクオンタムの武器を俺用のサイズで作ってみたいんだよなー。何といってもレーザーブレイド。あのすべてを両断できるのではと思う光の剣。持ち運びも楽だし、超絶作りたい。でも恐らくイメージだけで創ろうとすると壮絶な量の魔力を持ってかれる。たぶんだけど。あとさ、なんかこうイメージだけで創るって、俺の感性的に癪に障るんだよね。うん。なんか負けた気がする。」


当然一人切りである。ここら辺に誰もいないからこそ作り上げることのできるボッチ結界デビルバットオタクフィールドである。


「となれば、まずは原理を組み立てなきゃいけない。やっぱり一番の問題はレーザー部分だよな…。高エネルギーレーザーですべてを焼き切る。そんなイメージだしさ。それならバーンクリスタル(魔力を吸収し熱エネルギ-として放出するクリスタル)に熱力を込めて放出された熱量で焼き切るとか…いやだめだ。ただの熱じゃあレーザーには程遠い。視覚的にも再現できなきゃダメなんだ!!!」


ノボルが水面をバシャと叩く。なるほど第3者目線でも中々に怖い。


「考えろ俺―――」


そこから急に超集中モードに入った。1時間半後、ノボルは考えをまとめ、満足そうに風呂を出る。しかし、長風呂のせいで急激な眠気に襲われた。


「ン。眠い。うち作ってーーーー。ベッド作ってー。」


考えなしにコストの安い岩を使って割と広めの家を建て、部屋の中心にベッドを置く。タオルを創出して体をふき、ベッドの上にマットと布団を創出。


魔力残量 60/100


そのままベッドで眠りに落ちた。


ふと寝る前に


「俺、もしかして魔力量やばい?」そうぼそっとつぶやきながら目を閉じた。


GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!


そんな咆哮でノボルは目を覚ます。


「な、なんだ!?」


ノボルが外に出ると空を巨大なトカゲが飛んで、過ぎ去っていった。


「もしかして…ドラゴン?」


トカゲが見えなくなるまでノボルはその姿を茫然と見つめていた。


「と、とりあえず。飯食って製作に取り掛かるか!!」


今見た事は見なかったことにして、食べ物(コーンフレークと目玉焼き、ベーコン)を創出し、腹を満たして早速作業に移る。


ノボルは昨日眠気が襲う中で作製した家を見回し、作業用スペースと椅子を同様に岩で形成した。ついでに座るとき用の座布団も。


魔力残量 97/100


「うん問題ねーな。さてと。」


ノボルは目をつぶり精神統一を行う。ノボルはプラモやジオラマを創る際にいつも頭の中で自分が実際にそのアニメの中に存在するがごとく想像し、登場人物の心情にぴったり自らを合わせる。だからこそ、ノボルの創る作品はファンには正に垂涎の出来栄えだし、ファン以外の心も奪ってしまうような物に仕上がるのだ。


ノボルは頭の中でイメージした。初代クオンタム開発室長主任 ムロフシ・ホンゴウを、彼はクオンタム製作会議で初めてビームブレイドという概念を職員たちに提示し、以後戦争が始まるまでにその技術を完成にまで至らせた真の天才である。


彼はこのビームブレイドを戦争に打ち勝つための正義の光の剣として初代クオンタムに取り付けた。数多の戦場を勝利で駆け抜けたクオンタムと主人公。そのメイン武器であるビームブレイドは正に勝利の象徴となったのだ。


ノボルは入り込む。そして精神統一が終わった瞬間、ノボルの製作が始まる。


魔力を純水な光エネルギーへと変換する鉱石を検索した。


エナジークリスタル

→洞窟内に精製される鉱石。魔力を供給するとクリスタル内部で魔力は光エネルギーへと変換され、クリスタル表面より全体的に放出される。低濃度の魔力ではルクス鉱と変わらない程度の光放出しか行われないが、高濃度魔力を注入した場合は高濃度の光エネルギーが放出される。


とりあえずエナジークリスタルを精製、魔力を加えてみる。鉱石はある一定量の魔力を与えたところでじんわりと温かくなった。そして鉱石の周りには赤い光がうっすらと出ていた。


ポイントはエナジークリスタルの質にあるとノボルは考えていた。


次に手元に通常採掘などで得られるクリスタルの2倍凝縮した組成のエナジークリスタルを創出する。これをタンデウム鉱(一切の導魔力性を持っていない。非常に柔らかい鉱石)で内部側面コーティングしたキール鉱の筒に入れる。


魔力残量


89/100


底面をライトクリスタルで加工してある為、ライトクリスタルからエナジークリスタルが光エネルギーを放出するまで魔力を伝える。


魔力残量


83/100


そこまで込めたところでエナジークリスタルは余剰エネルギーを強く放出し始めたようだった。エネルギーは可視が可能で、筒の上部から1.5m程先まで伸びていた。色についてはピンクに近い。つまり可視光の波長のレーザーを放出したのだ。この


「…なるほど。てかこれ目によくなさそうだな。」


次に濃縮度合を3倍に上げ同様に魔力を込めた。するとエネルギービームは長さが低下し、1m程度までしか伸びなかったが今度は青色になっていた。


実験のつもりが大きな収穫。初代クオンタムのビームサーベルはピンクに近かったので、ノボルは2倍の濃縮度に決めた。そして威力を試す。


筒から放出したエネルギーを家の外に出て岩に向けて振る。岩は何の抵抗もなく切断された。


「おお、中々いい切れ味。」


魔力残量


75/100


魔力消費量えぐ!?


これはどうしようかな…。底面にマナクリスタルを取り付けて、あらかじめ魔力を充填する。そのうえで、カードリッジ式にしとけばいいのか?それとも…いや、試作1号機としてまずは形にしよう。


先ほどの簡易的な筒は試作試し用に取っておこう。


まずは底面のパーツとして滑らかな円形のライトクリスタルに円柱状の2倍濃縮クリスタルをはめ込めるようにくぼみを創る。そしてここにクリスタルをはめ込む。

ライトクリスタルの端っこより筒状となるようにタンデにウム鉱を創出。


柄のベースはエア鉱で囲う。持ちやすいように鮮烈な動きをしても中に設置したマナクリスタルが外へ飛び出さないようにエア鉱で作製した細い線で中のクリスタルを固定化した。外側は持ちやすいように更にエア鉱で形を整える。持ち手の部分に純度を最大限までのばしたライトクリスタルを取り付けこれを底面のライトクリスタルまで結合させる。


あとはクオンタム式に表面を機械的な見かけになるようにライトクリスタルでカバーしていく。


「よっし…」


魔力残量


32/100


大分減ったなー…最後に試運転だ。


完璧にビームブレイドだ。見かけだけなら武器としてはすごく感動できる。


「よし…こっからはカラーリングに墨入れだな。」


この間創造したモデリング用の道具で丁寧に仕上げ作業をしていく。


「んーーーー、メタル感が足りないなーーー。」


メタリック感を出すためにメタリック用の作製道具を創り上げる。


「仕上げこそ、最大限に集中するべき…」


ブツブツ言いながら仕上げを行っていく。


完成した。素晴らしい逸品だ。


魔力残量


100/100


消費した魔力もすっかり戻るほどに集中して作製を行っていた。


「あーーー今すぐ使いたい!!」


少年心は疲れを彼方へと押しやってしまう。


ノボルはすぐに洞窟の中へ突っ込んだ。


「分ごとの消費魔力量を調べなきゃな!!」


ビームブレイドを展開する。洞窟全体をぼんやりと照らす光量だ。ルクス鉱の光も相まって視界は良好。


そこに蜘蛛の魔獣が寄ってきた。しかし、ノボルに近づき始めた瞬間、何かを感じ取り全力で逃げていった。


「??なんでだ??」


そのあとも先ほどまで襲ってきた魔獣たちは逃げていく。


10分すすんだあたりでビームブレイド展開を収めた。


魔力残量


95/100


10回復したはずだから消費量的には1分で1くらいなのか?さっきの試作機よりも大分消費量が少ないけど何なんだろう?この程度なら、長時間運用も出来そうだからいいけど。


とりあえずノボルは進んでいた。試したいのに誰も近づいてきてくれない。


1時間程奥に進むとなんだか禍々しい気が飛んできた。


おっほーー!この強い気…もしかしてこいつなら俺の試しを受けてくれるんじゃ??


取りあえず突っ込んだ。


「うおおおおおおおお!!」


GYAOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!


え…これ、さっきの??

やばくない??


「えー…なんかこれあれか?奥にいるボス的な魔獣ってやつ?」



ドラゴンっぽい奴が巨大な腕を振るってきた。


咄嗟にビームブレイドを展開し、ドラゴンっぽいやつの腕に向かって振るった。


向かってきた腕は焼き切れた。


gYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!????


ドラゴンは焼き切れた腕を見ている。チャンス!!


ノボルがドラゴンに向けて走り、ビームブレイドを振りかぶる。


「やめてええええええええええええええええええええええええええええ!!」



え?ドラゴン喋った??



—————―――――――ゼウスの部屋—————――――――――



「・・・・なにあの武器。」


神様サーチ


ビームブレイド:試作1号機


切断系超越位


属性:無



え…??超越位ってなんだ??全くわかんない。



ゼウスは部屋で悶えてた。


「あの子…カッコいいな。」


ぼそっと言った。


あ、ゼウスは女の子ですよ??

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