神の説明書
神の説明書
初めに、この契約書は神王ゼウスより神たちへと与える3回のみ施行可能な特殊権限であることを伝える。この書を受け取るは権限により選ばれし者たちとなる。権利を持たない生命体がこの書を読むことは出来ない。
特殊権限
神自らが世界の危機であると判断した時に発動できる権限である。対象世界と異なる世界より使者を召喚する事ができる。その使者には神の加護として対象世界の生命ならざる力を与えることが可能となり、使者は神の加護の元世界の平定へと動くこととなる。
召喚者
神により選ばれた使徒である。一回の召喚につき32体の生命が選ばれる。それぞれが召喚し、加護を与えられ、対象世界の各地へと転送される。召喚者は元の世界より隔離されるが、本権限が発動されている間は元の世界が時間停止状態となる為、帰還後は召喚直前の状態と相違ない状態で元の日常を送ることが可能である。また、召喚者は対象世界に存在中、年齢を重ねるスピードは10分の1となる。年齢に関しては帰還後召喚直前状態に戻ることは無いため、注意されたし。また、対象世界を救うことが出来た際その貢献度合いによって対象が望む願いを叶えることが可能となる。願いの範囲は管理者である神の力によるため、救済後質問する事を推奨する。万が一召喚者が対象世界において命を落とした場合は、元の世界へ魂のみで対象世界を漂うこととなるが、対象世界平定後は元の状態で帰還可能である。
今回の召喚に関する詳細
本召喚において対象となる惑星ホライゾンでは世界大戦が3000年前に勃発。2つの大国間覇権争いとなっている。戦況は現在も膠着しており、特にここ300年間は進展がない。激しい戦闘が繰り返されることで兵士や平民たちは地獄のような状況に日々さらされている。現状最も問題となっているのは戦争魔術の発達により男たちは兵士として死ぬことも出来ず、寿命が尽きるまで戦い。女は兵士を生むために魔力の強い者同士の婚礼をするなど生命体としての尊厳や自由を奪われた状態であり、それを普通と考えてしまっている。そのような生活の中で大半の民衆が人形のように心を失ってしまっている。また、支配者の腐敗化が進んでいる。
召喚者への依頼は以下の通りである。
1.市民・平民の間にはびこる異常な精神状態を解消する事。生命としての自由や尊厳をその心に刻む事。
2.特権階級の清浄化
3.戦争の終結
4.国家統一
以上4点の内2つ以上の達成により、依頼を達成とみなし、それ以降召喚者内多数決により帰還の可不可が決定される。
以上。以降は召喚者の希望により説明事項が追加されていく。
神王 ゼウス
「…いや、テキトーすぎだろ。突っ込みどころしかないわ。」
帰還すればクオンタムが見れることで若干正気を取り戻したノボルは転送された土地の草原で1人ゆっくり説明書をよんでいた。クラスメイト達はどこかほかの土地に飛ばされたようだった。内容が薄過ぎて30秒程度だったが。
これはあれか?俺がもらった加護の確認とかはどうするんだ??
とノボルが思い浮かべると説明書が光って情報が表示された。
神崎 昇 (召喚者) 男 17歳 童貞
レベル:1(上限65)
体力:上
魔力:高上
身体能力:上
精神力:上
付与スキル
CoA(Creator of all things)
魔力を消費することで万物を生み出すことのできる力。熟練することで、頭の中にイメージした物をより再現度高く作り出すことが出来る。武具・防具の作製に至適。
…童貞って晒す必要ある?
唐突な情報開示にノボルは若干泣きそうになった。
しかし、CoAスキルを見て心が躍った。
即座にクオンタムシリーズお馴染みのレーザー銃を思い浮かべる。
すると目の前にテレビの画面でテレビがすり減るほど見て憧れた武器が現れた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!すげえええええええええええ!!!!」
早速近くの岩に向け引き金を引く。すると細いレーザーが打ち出されたが、軽く岩の表面が焼けたかな?くらいの威力しか出なかった。
「っく!!こんなの再現できてない!!まだだ!」
ノボルはもう一度より細かく頭の中にイメージを浮かべながら作り出そうとした。しかし、急に目の前がぼやけた。まるで貧血のような症状を起こしたのだ。ノボルはばたんとその場に倒れた。
「なんだ…これ…。」
すると説明書が光る。薄れゆく視界の中でノボルが見た文字は
それは魔力切れじゃよ♡ るくせんぶるく
本当に、あのクソじじい神を首になればいいのに。そう思いながらノボルは気絶した。