1話 ノブチン、帰りたい。
思い浮かんだ小説です。ゆっくり更新。
これってブックマークとか感想頂けるとやる気上がるって都市伝説あるみたいですね!?
「ふあーあ、」
朝起きてからあくびが止まらない。昨日はマンダイから新作プラモの77マグナムフルガトリング2式 PQ 1/60スケールが発売されて家に4箱届いたから1体だけ作ろうとついつい夜更かししてしまった。
「よ!ノブチン!!今日も朝から眠そうだねー!」
トボトボ歩いていると後ろから進藤幸樹が肩を叩いてきた。
「へーへー。どうせ俺は社会不適合者ですわい。イケメンエース君とはさわやかさが違うよ。」
なんだって毎日朝からこいつはこんなに爽やかなイケメンなのだ。心が晴れやかにされそうで嫌だ。
「そんなこと言ってないだろーがよー。まあ、でもさ、顔だけ言えば、ノブチンと俺のモテ度って同じくらいじゃんか?」
「…ピンタローの人気度チェックではだろ?確かに顔の得点はそうだったけどさー。アレを信じるのもねー。」
「それは僕の調査が信用ならないという事ですか??」
後ろからピンタローこと田中太郎が言ってきた。
「うわ!!またスッと出てくんだからお前はーーー忍者かよ?」
ピンタローは生粋の理系戦士、統計を愛し、統計に愛された男。とにかくあらゆるランキングを学内で調査し、作る事を青春の生業とする悲しい変態だ。そしていつも不自然なほど背筋をピンっと伸ばしているためについたあだ名はピンタロー。顔はイケメンだけど残念だった。
「今失礼なことを考えていたでしょう?ノブチン、怒りますよ。」
「寝不足なんだから勘弁してくれ。」
俺たち3人は高校に入学してからずっと一緒に行動していた。何だかんだで癖はあるけど一番気の合う親友だ。学校内ではかなりの有名3人組で女性陣から裏では1P2Z:1人のパーフェクトイケメンと2人の残念イケメンで通っていた。
学校に着くと幸樹は朝練、ピンタローはリサーチ(迷惑行為)、俺は教室でプラモ作りに勤しむ。最初の頃はプラモ持ち込みの件で何回も職員室に呼び出しを食らったが、去年優勝してからは例外的に俺だけ持ち込みが許された。まあ、何とも現金な学校だが、俺にとっては堂々とプラモ作りを出来るこの学校が大好きだ。
早速77を机の上に乗せる。
「わぁ!!新しい奴だ!!」
乗せた瞬間に青山焔が話しかけてきた。俺の近所に住む小学生からの友人。
「おう!その通り!こいつは次のコンテストに出場するためのプラモさ!」
「いいねいいね~~~!!期待してるぞ!」
プラモ作りに没頭しているといつの間にか朝礼の時間(いつもの事)だった。
「おーい、神崎。朝礼始めるぞーーー」
クラスごとの朝礼が始まる。うちのクラスはワイルド美人女性教員天木喜咲に呼ばれて俺は気づきプラモを厳重にしまう。
「えー今日の連絡事項は…ん?」
先生が連絡事項を話そうとした瞬間教室の壁が青く光り始めた。
「…神崎。朝からいたずらをするんじゃない。」
先生があきれたように肩をすくめる。いやいや、そんな事しないよ。
「俺じゃないっすよ。」
「じゃあ、これはなんだ?全く誰だー。邪魔だから止めろよー」
クラスの中の青さは更に増していく。
先生が叫ぶ。
「おい!いい加減に・・・・。」
その瞬間、クラスにいた全員が光に飲まれていった。
「…ん?」
光に飲まれて10分くらいは経った気がする。だんだんと周りを囲っていた光は消えた。なんだか妙に空気がうまいな。
目が慣れてきたのか周りの景色がはっきり見える。全員雲みたいな床の上に立っていた。
「なんだこれ…。」
クラス全員、状況が理解できずにぽかんとしていた。
「よくぞ来てくれた。」
そこへ一人の老人が話しかけてくる。本とかで読んだことのある王様っぽい服装だ。
「我が名はルクセンブルグ。この世界を管理する神だ。」
神様???
全員が何言ってるんだ??こいつはみたいな顔をして目の前でふんぞり返るじいさんを見つめていた。
「…まあ混乱しているだろうから。まずは食事でもどうじゃ?」
俺たちは何も理解できないままとりあえず食事の場へ案内された。
ルクセンブルク(神らしい)はとりあえず基本の状況を説明してくれた。まとめると以下5点
1.この世界は神であるルクセンブルクが管理する銀河の中で3つの星の内の一つ。
2.この星の環境は地球と酷似している。
3.この星の文明レベルは技術的な意味でも文明的な意味でも神崎たちの地球よりも発展していない。
4.神崎たちはルクセンブルグの神力で無理やりこちらの世界へ連れてこられた。
5.元の世界へ帰る為にはルクセンブルクが神崎たちにまとわせた魔法を発動させる必要が
ある
これらの条件はピンタローが自分のノートパソコンを使い、すべてメモしていた。
神様?が語り終えたところで先生が話す。
「何のために私たちを別の星へ飛ばしたのですか?」
先生の口調には激しい怒気が含まれている。当然、今神様がした話を聞いて納得している人なんか一人もいない。
「…現在この星ではお前たちの地球でいう人類同士が争いをしておっての。戦争が始まってからは大体そちらの時間軸で言うと3000年くらいは世界中で戦争しっぱなしなんじゃ。」
「3000年ですか!?どうやったらそんなに長期間殺し合いを続けることが出来るんだろうか…兵器開発の資源調達はどうやって??3000年分も兵器が開発できる程資源が豊富なのか??」
ピンタローが声を張り上げ、次の瞬間自分の世界に入ってしまった。
「まあ、実を言うと技術的な面…お前たちの星で言う兵器開発のようなことは行っておらん。こちらの世界ではお前らの世界にはない魔力という概念が存在している。だから人類はその力を使用して殺し合いをしておるのじゃよ。」
正に夢のような物語。魔力?という事は魔法。まるでRPGみたいな概念だ。それを聞いたクラスメイトの何人かは目を輝かせた。
「…そのお話しと、今回私たちを連れてきたことにどんな関係が?」
あ、やばい、先生の顔が般若みたいになっている。
「ああ…すまん。お前たちにはこの世界に入り込んで、是非ともこの世界の戦争を止めて欲しい。もうここまで世界が乱れてしまうとこの世界の住人だけでは修正しようがないのじゃよ。」
「拒否します!!!それは生徒たちをあなたの勝手な考えで、この世界の戦争に巻き込むという事でしょう!?断固拒否です。今すぐ私たちを元の世界に返してください!!大体そこまでするならあなたが何とかすればいいんですよ!!!神なんでしょう?」
あ、先生切れた。怖い。般若通り越して鬼。
「…まあ落ち着け。」
神様?が指ちょいと動かすと先生は急に口を光で覆われ、手足を光で拘束された。
「儂たち神が世界に影響を及ぼせるのはあくまで人を通じてなのじゃよ。お前たちの世界でもたびたび歴史に名を残している人物が登場して入るな?それらは皆、神の加護をどこかしらで受けている。加護と言ってもそんな大それたものじゃない。せいぜい奇跡を一回起こす程度じゃ。よって、儂がこの世界を救うことは現段階で不可能じゃ。」
「…ではなぜ僕たちを選んだのですか?僕たちは普通の高校生ですよ?人を殺したこともなければ、平和に暮らしてきた平凡な高校生です。3000年も戦争をしているこの世界に僕たちが影響を及ぼす。ましてや戦争を止めるなんてとても無理です。」
「それだからじゃよ。儂が管理する世界の中でお前たちはかなり特別な存在じゃ。平和に戦うことなく暮らしてきた。そんな人類はお主らだけじゃ。勿論、大人になるにつれ、物理的な戦争とは別の汚い闘争が行われているのは管理者じゃから把握しとる。だから、そういった汚い世界に触れておらぬお主らを、純粋で無垢なお主らを儂は選んだのじゃ。ここだけの話、お主らのクラスは全員が高潔な心を持つ日本国内でもトップのクラスなんじゃよ。」
「つまり、高潔なクラスランキング全国一位?」
ピンタローがすぐにランキングのテンプレートに入力し、新たなファイルを作製した。日本に帰った後、彼はフォロワーが3万人いるSNSアカウントで新たなランキング作成のためのアンケートを実施するだろう。そして、先生は先生でこのことを聞いて滅茶苦茶上機嫌になっている。ちょろい。
「…私は戦争に関わるなんて絶対嫌です!!見ず知らずの世界で知らない人たちの為に命を懸けるなんて…まだ死にたくありません!!」
焔が机を叩き神様?に発言した。最もだ。高潔な心をもっていたって死ぬもんは死ぬんだから。
「…その点は心配するな。お主らが死ぬことはない。儂は今回、この世界を救うために神が存在を許される期間のうちで3回しか使えない特殊権限を使用した。詳しいことはこの書を読むがよい。全員分用意してある。お主たちの世界でいうゲームの説明書みたいなものだ。今ここで説明を始めたらかなり時間がかかってしまうからな。」
神様?が俺たちの前に光りながら浮くプレート分けた。
「すまんの、出来れば時間をかけて詳しく説明したかったのじゃが、別の世界で問題が起きた。儂は行かねばならぬ。取りあえずお主らをランダムに分散して世界に飛ばす。あとは頼むぞ!!」
神様?のやろう!説明不十分すぎるだろ!待て!!俺はまだ認めないぞ!!
「おい!!今日、クオンタムUC 0099の日なんだけど、帰らせろ!今すぐ戻せ!!お前らの事情なんか知るか!!」
「一応お主らの神様なんじゃけど…まあ、見れるか見れないかはお主しだい!!」
神様?は消えていった。
「お前許さねえからなああああああああああああああああああああ!!!」
昇は発狂した。