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 ラーちゃんという大天使を味方につけることが出来た私のテンションはすさまじく高かった。なぜなら、ようやくぼっち生活から抜けられたからである。

 ぼっち生活とは、なんともまぁ、寂しいものなのです。誤解されてぼっち生活を送ることになろうとは想像さえもしていなかった私からしてみれば、ぼっち生活は本当に耐えるものだった! それからようやく抜け出せるということで、私の脳内はひゃっはーしていた。

 ラーちゃんと沢山お話をしたい。ラーちゃんのことをもっと知りたい。私は舞い上がって仕方がなかった。

 私は一人でいるのがそもそも苦手なのだ。

 喋るのが好きだし、確かに目立たない生活を望んでいたけどそれはぼっち生活を望んでいたわけでもないのである。だから本当に魔法師団に入団してからのことは大変だったもの。

 「ヴィーちゃん、おはよう」

 「おはよう、ラーちゃん」

 ラーちゃんが私に挨拶をすると、周りが少しだけぎょっとした顔をしたり、ラーちゃんがお友達にどうして話しかけているの、とか聞かれたりちょっと騒がしくなったけれど、まぁ、ラーちゃんと挨拶ができて私としては幸せだよ。

 ただ、あれだね。私と話すことでラーちゃんが不快な目に合わないようにはちゃんとしなきゃね。私にぼっち生活を脱却させてくれた天使、ラーちゃんのことは私が守るんだもん。ラーちゃんが何かあった時はラーちゃんに気づかれないように私が対処してみせるよ!

 「ラーニャに何を吹き込んだ? コネ入団した奴がいると迷惑なんだ」

 と、そんなことを目の前で言ってくるラーちゃんの幼馴染♂・ペーペイトさんに対してもラーちゃんは「ヴィーちゃんはそんな子ではないわ」と反論もしてくれたんだよ。というか、ペーペイトさんって、絶対ラーちゃんに惚れているよね? 私の観察眼がそういっているよ。正直私はわっくわくだったよ。観察大好きで人の恋愛見るのも好きだしさ。でもあれだね、天使であるラーちゃんの相手として相応しいかは観察しようかなーって思った!

 だって天使であるラーちゃんと変な男が結ばれるなんて嫌じゃん? そもそも、地球よりもこの世界って離婚が体裁悪いって風潮あるし。私はラーちゃんが幸せになれるように手助けしたいもん。そんなわけで、ペーペイトさんは私の観察対象になった。

 「ふふふ~ん」

 私はラーちゃんと幼馴染君の行方を観察するという楽しみもでき、ぼっち生活から脱却できたのもありニコニコだった。

 見回り当番が一緒の女性がなんでこのここんなにこにこしているの? という目で凄く怪訝な目で見られたこの悲しみ。

 いや、確かにさ、ぼっち生活に突入していたし私が入団してからこんなににこにこしていたことなかったかもしれないけれども。それでもさ、ちょっとにこにこしていたからってそんな目向けなくてもよくない?

 「ノーヴィスさん、そんなににこにこして気持ち悪いです」

 ちなみにそんな風に言ってくるのは、ノノアンさんっていう女性で、冷静なクールビューティー的な感じの女性なの。綺麗なんだよねー。是非とも仲良くできるならしたい。というか、何で私見回り当番が実力者と一緒だったりするんだろうね? これ、ヴァルが仕組んでいる? と思わずにいられないよ。

 ヴァルのことだから私に対して悪意はないだろうし、多分実力者と組ませた方が私の実力がわかるとか思ってそうだけど、嫉妬の対象だよ? ヴァルは勉強できるけど馬鹿だなぁとちょっと思ってしまう。

 「気持ち悪いって酷いです」

 「……ラーニャさんにも近づいてどういうつもりなのですか」

 「お友達になりました」

 「……はぁ…そういうことを聞いているのではありません。私は誇り高い魔法師団に貴方のようなコネ入団のものがいることが不本意です。少しでも恥があるのならばやめるのはどうでしょうか。ラーニャさんも貴方とかかわると貴方と同類と思われてしまいます」

 酷い言われようだ。

 美人さんにこんな風に言われると凹む。私は観察対象である美男美女に嫌われたくないのに……というかさ、魔法師団に入団しなくてすんだなら私ノノアンさんのことこっそり後ろから見ているよ。かかわらずにいろんな場面を見たかったのになぁ。まぁ、魔法使うの好きだし、魔法師団への入団に関しては不安ばかりというわけでもないけど。

 「コネ入団といわれているのは知ってますけど、そうではないのでやめません」

 「……はぁ、そうですか」

 そもそもアレだね、私ががーって感じで見せつけやすい魔法が得意だったらよかったんだろうって思うよ。隠密系の魔法とか、地味だしさ、わかりにくいもんね。でも隠密系の魔法が得意じゃない私なんて私じゃないしなー。

 人生なんてちょっとした結果で変わっていくわけで、私が私として生きていたからこそここにいる。

 うん、とりあえず少しずつでも分かってもらえて、そして、私のことをノノアンさんたちが魔法師団の仲間として認めてくれたら嬉しいなーってそんな風に思った。




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