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1/19 三話目

「ヴァル!!」

 タチークさんに告白されるなんて予想外のことが起こったものの、ひとまず予定通りにヴァルの元へと向かうことが出来た。

 それにしても先ほどタチークさんに告白されたのは本当にびっくりした。私なんかにタチークさんが告白をするなんて欠片も思っていなかったから……。

 でも好きだと言われるのは……まぁ嬉しくないこともないけど、それでもタチークさんをそういう目では見れなかったのだ。

 タチークさんのことをそういう目で見れたのならば、沢山来ている縁談の中からタチークさんを選んで、それで結婚して幸せになりましたというハッピーエンドで終わりなんだろうけどさ。そんな風にはどうしても思えなかったから。

「ヴィーか、どうした?」

 うん、ヴァルの顔見るとちょっと落ち着いた。

 実家から縁談が来ているとか言われて混乱し、タチークさんに告白なんて予想外のことをされて混乱をしていた私の心が落ち着いていくのが分かる。

 なんだろう、ヴァルとは幼いころからずっと一緒に居たから美形だから落ち着かないって感覚はもうすでになくなってるんだよね。ヴァルはそれだけ私の隣にいたし、それにヴァルなら私にアドバイスくれるって信じてるし。

「あのね!! なんか、実家から手紙が来たんだけど、凄く予想外のことが書いてあったの!! それにさっき、もっと予想外のことが起こってしまったの!!」

「うん。ヴィーが混乱しているのは分かった。ヴィー、ほら、深呼吸して」

 ヴァルにそう言われて、私は深呼吸をする。落ち着くようにとヴァルに言われて、ヴァルの声を聞いてなんとか落ち着くことが出来た。

「ありがとう、ヴァル!! そう、あのね……、手紙に私に縁談が舞い込んできてるって聞いて!!」

「へぇ、うん、それで?」

「私、混乱したからとりあえずヴァルに相談しようと思った!!」

 混乱しっぱなしだった私は一つ一つヴァルに説明をしていく。容量を得ない言葉になっている自覚はあるが、ヴァルは私が混乱して変なことを言ったり、分かりにくい事を言っていたりするのに慣れているのだ。というか、私がどれだけ変な風に伝えたとしても理解するのだ。流石幼馴染としか言いようがない。

「それでね!! さっきタチークさんに会ったの!!」

「うん」

「タチークさんが好きとか言ってきたから、驚いた」

「ふぅん」

「タチークさんも縁談申し込んでたって、え、なんでってなった!!」

「それで? 返事はしたのか?」

「うん!! 断った。そういう目で見てない!!」

 私がそう言い切れば、なぜかヴァルは笑った。何で笑っているのかいまいち分からない。うーん、ヴァルは私のことなんでそんなに分かってるの? と思うぐらいに分かっているのに、私がたまにヴァルのことを分からないのは不平等に思えてしまう。

「それで、ヴァル!! どうするべきなの? 私、こうやって結婚の話来ると思ってなかったからすごく驚いているんだけど!! でもさっきタチークさんに私が魔法師団で頭角を現してきたからこそこういう縁談が来ているって聞いたけど!! でもおかしいよね? 私みたいなのに縁談が多いとか!!」

「いや、おかしくはないだろ。ヴィーは面白いし、魔法師団でやっていけるだけの実力があるし。それでヴィーはどうしたいんだ? 結婚は考えていないんだろ?」

「うん!! 流石、ヴァルよく分かってる!! というか、私は結婚とか今まで考えてきてなかったもん。そんな私に急に結婚の話されても混乱しかないんだよ!! でも、ヴァル、こういう縁談って断っても大丈夫? 手紙には私がしたいようにすればいいと書かれていたのだけど、本当にそれでいいの?

 もっと立場が上の人から求婚されていたら家が駄目になったりとかしない? 家族の事大好きだから、迷惑とかかけたくないんだけど!!」

 私は幾つもヴァルに向かって質問を飛ばす。明らかに混乱している私にヴァルはいつも通り受け入れてくれる。結構早口でまくし立てあげてしまっているが、ヴァルは全部受け止めてくれている。

「ヴィー、そういうのは心配しなくていい。それにヴィーの家に何かするというのなら俺の家も動くし、アシュターたちだって動くだろう。ならば、例え何かしようとしても問題はない。ヴィーはその来た縁談を受けるつもりはないんだろう?」

「本当? なら断る!! 受ける気はないよ!!」

「でもヴィーが断ったとしても縁談はしばらくやまないだろうな」

「えー。なんで?」

「それだけヴィーが将来有望だってことだよ」

 ヴァルはそんなことを言うが、私よりも将来有望な奴が何を言っているんだという気分である。

 ヴァルは私よりもずっと将来有望で、家の格だって高いのだ。というか、私でこれだとヴァルにはもっと縁談が来ているのでは? と思ってしまうが、それは今気にすることではないので置いておくことになる。

「なぁ、ヴィー。縁談が来ないようにすること出来るぞ」

「え。本当?」

「ああ。俺に任せてくれれば縁談が止むようにする。だから俺に任せてくれないか?」

「じゃあ、任せる!! 流石、ヴァル!!」

 私がヴァルが何とかしてくれるというのならば何も問題がないだろうと、笑顔で頷いたのだった。









 しかし、ヴァルに任せたのは間違いだったかもしれないとその後、家から届いた手紙に書いてあったことを見て私は思うのだった。

 そこには驚くべきことに、私とヴァルの婚約が成立したという事が書かれていた。




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