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1/19 二話目

 私はタチークさんの言葉に思わずと言ったように固まってしまった

 だってありえない。タチークさんはとても綺麗で、魔法師団に入団出来るぐらいに有望な人だ。そんな人が私に対して縁談を申し込んでいるなんてありえないとしか言いようがない。

「おい、ノーヴィス」

「……」

「ノーヴィス!!」

「はっ、ごめんなさい。思わず固まってしまいました!!」

 夢であるか、と思ってしまうが目の前には確かにタチークさんがいる。いや、マジで、いやいやいや、おかしいでしょ。そんな風に考えてしまう。

「タ、タチークさんが私に縁談を申し込んでいるって!! なんですか、それ!! あれですか、家同士のつながりとか、親からの指示とかですか?」

 タチークさんが私に縁談を申し込むなんてそういう政略的なこととしか思えない。しかし、私の家はそんな政略的な結婚をする価値なんて皆無なほどに弱小貴族なんだけど!!

 真面目にどういうことなの!?

 私はただでさえ実家から縁談が舞い込んできていると聞いただけで混乱していたのに、タチークさんからそんな予想外のことを聞いてしまい益々混乱に陥っていた。

 本当に意味が分からない。ヴィーアは混乱している!! ってテロップが流れてもおかしくないレベルの混乱具合だよ。

「……なんでそうなるんだ」

「だって、そうじゃなきゃタチークさんが私に縁談なんて申し込むわけないじゃないですか」

「なんだ、その決めつけは……。俺が自分からノーヴィスに縁談を申し込みたいといったのだ」

「は?」

 本当に意味が分からないぞ?

 タチークさんが自分から私に縁談を申し込みたいと言った? いや、本当に意味が分からない。何でタチークさんみたいな誰かのヒーローになれそうな美形ショタっ子が私に対して縁談なんて申し込んでくるんだ??

 私の頭の中は??でいっぱいである。寧ろ混乱しすぎてそれ以外に思い浮かべられない。

「……混乱しているところ、悪い。俺はノーヴィスのことを好いている。だから縁談を申し込んだ」

「はい? タチークさんが私のことを好いている??」

 本人に言われても相変わらず私の頭の中は混乱しかない。

 嬉しいとかそういう感情ではなく、何故に!? って感想でいっぱいだよ。

「……ノーヴィスのことは最初はコネで入団したと思っていた。あの時の態度は本当に悪かった」

「あ、いえ、それは全然かまわないです」

「それでノーヴィスが実はコネ入団ではないと知ってからは、面白いなと思っていた」

「面白い?」

「ああ。お前は面白い。性格も少し変わっているところがあるが、ころころと表情が変わってみていて面白い」

 タチークさんにとって私は面白い存在らしい。美形ショタっ子に面白いと言われるのは悪い気はしない。

「それでだ。観察していると面白くて、ノーヴィスのことを好ましいと思った」

「えーっと、その好ましいというのは友人としてですか?」

「さっきの話聞いていたか? 俺はノーヴィスに縁談を申し込んでいるんだぞ? 異性としてに決まってる」

「えー……」

「サラガントさんと仲がよさそうなのを見て俺はもやもやしていた。それでノーヴィスのことを好いているらしいと気づいた。

 魔法師団の中で活躍をしてきたノーヴィスとつながりを持ちたいと思っている連中は多くいるからな。それで縁談をひとまず申し込んだ」

「えー……」

 おおう、本気? 本気なの? 私は告白と言うものをされているらしい。

 しかしそうかー、私に縁談が舞い込んできたのって私が魔法師団で活躍するようになったからか。魔法師団に所属しているってだけでそれだけネームバリューになるし、つながりを求められるのも当然なのか。

 一つ謎は解けたものの……うーん、なんだろう、タチークさんに告白されても私は驚愕しかしていない。これって多分、タチークさんのことをそういう目で一切見ていないからって事なんだと思う。

 私にとってあくまでタチークさんは観察対象であって、美形ショタっ子って枠でしか見ていなかった。でもそういう観察対象という枠を外して見たとしても、私にとってタチークさんは同僚でしかない。

 タチークさんと恋仲になるというのは想像が出来ないし、その美しい顔で愛の告白っていいね!! って興奮はあるけど、出来れば私以外に言っているのを覗き見したかったと思ってしまう。

「えっと……ごめんなさい!!」

 折角告白してもらって悪いのだけど、タチークさんと結婚するという選択肢が私の中にはなかった。そういう想像が出来なかった。一緒に過ごすというのが思い浮かべられなかった。

「どうしてもか?」

「ええ、と、はい!! 私タチークさんのことは美形だなーとは思うんですけど、そういう対象としては見れないです。それにタチークさんみたいな美形と一緒に居たら落ち着かないですし。こうして喋っている相手も落ち着かないぐらいですしね!! なので、ごめんなさい!! そう言う目では見れないです!!」

 嘘をついても仕方がないのではっきりと私はそう言った。

「……サラガント先輩はいいのか?」

「ん? ヴァルですか? ヴァルのことはもう見慣れているので」

「……そうか」

 私の言葉にタチークさんは何か思案したような表情を浮かべる。

 そして次に、

「引き留めて悪かった。縁談の申し込みはこちらから下げておく。サラガントさんの所に行くんだろ、行ってこい」

 と言ってくれた。

 なので、「受けられなくてごめんなさい!! タチークさんならだれか可愛い子が見つかるはずです!!」と口にしてからヴァルの元へ私は向かうのだった。




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