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 私はヴァルから、功績を得るのが当たり前というようにすればいいと言われてからちゃんと目に見える形で結果を残すように、前よりも頑張ることにした。

 目立ちたくない――という気持ちは強い。でもそれは前世も含めて注目を浴びるということに慣れていなかったからというのもある。結果を出し続けて、それが当たり前になればいちいち結果を出したところで今のように見られ、囲まれることはないだろう。

 そんなわけで私は一生懸命行動を起こしている。

「ヴィーちゃん、最近頑張っているね」

「そういうラーちゃんこそ!! 最近、凄く頑張ってるってヴァルに聞いたよ!!」

「私はこの前、連れて行かれそうになったからだよ。魔法師団の一員としてもうあんなふうに連れ去られそうになるなんて嫌だもの」

 ラーちゃんは、連れて行かれそうになった経験を経て、以前よりも鍛錬に勤しむようになっていた。もう二度とあんなふうに操られることがないようにしたいって告げていて、頑張っているのだ。

 そんなわけでラーちゃんも魔法師団の中で頭角を現している。ペーペイトさんはそれで結構焦っていた。ペーペイトさんはラーちゃんが大好きだからね。大好きな女の子が鍛錬に励み、自分よりも活躍しそうになっているのを見て、男のプライドとして負けたくないって思っているみたい。ペーペイトさんも頑張っているのだ。

 というか私たちだけではなくてこの前の隣国の動きを知って、魔法師団の団員たちはもうそんな事態を起こすことがないように!! って気合を入れているのだ。

 魔法師団の団員たちが魔法によって隣国に連れ去られていたなんて大事件だ。その大事件が起こったことで、魔法師団の団員たちの身も引きしまったと言える。戦争なんてしばらく起こっていないし、魔法師団の中でも気のゆるみが会ったのだと思う。なんというか、そのゆるみがなくなった感覚なのだ。

 ちなみに隣国では捕らえた開戦派の連中の尋問には、国から人が派遣された。尋問が上手く行ったようで開戦派の連中の静粛は上手く行きそうらしいってヴァルが言っていた。国家間の問題なのでフィル先輩もきっちりそれらの情報は把握しているらしい。あと陛下の指示の元、捕らえられている人たちを引き取るための動きも働きかけているんだって。

 ルビ先輩がフィル先輩が忙しそうだって言っていた。この前遊びに行った時に「フィルが忙しそうなのよね」って寂しそうに言っていて、ルビ先輩が滅茶苦茶可愛かったもん。

 恋する乙女って可愛いよね!! ルビ先輩は大好きな先輩だし、幾ら見ていても飽きないし、ずっとフィル先輩と仲良く過ごせばいいよ!! 思う。

「ラーちゃんは攻撃魔法も得意で凄いよね! 私はそういうのは苦手だからなぁ。ラーちゃん、私に時間がある時に魔法教えてもらえない?」

「え。いいけど。私よりサラガント先輩に習った方がいいんじゃないの? サラガント先輩は私よりもずっと魔法が得意だよ」

「そうだけど、ヴァル、最近凄く忙しそうなんだもん」

 地球から転生したというのもあって誰かを傷つける魔法は忌避してしまっていたけれど、そんなことも言っていられない。もっと魔法を学びたいと思った。——何かあった時に私がためらって、ヴァルやラーちゃんが死ぬなんてことがあったら嫌だから。

 ヴァルが教えてくれたらなーと思ったのだけど、ヴァルはとても忙しそうにしているのだ。私と違って、平の団員ではないので隣国との問題も含めて多忙なのだ。こっそりヴァルの執務室に行くといつも人がいるし。

 あと、単純に忙しい時期っていうのもあるみたい。書類と格闘している様子を見て居たらただの雑談するのも悪いかなーっと。こっそり紅茶とかは入れてあげたけどね!!

「そうね。この時期だと忙しいはずだもんね。私がヴィーちゃんに教えるわ。ヴィーちゃんも隠密魔法教えてね」

「もちろん!!」

 そんなわけでラーちゃんと切磋琢磨しながら魔法を教えあうことになった。それにしてもこういうのいいよね。互いに不得意な部分を教えあうって。凄くラーちゃんと仲良し! って感じられて私は終始にこにこしちゃうよ。

 ラーちゃんは元々から優しくて天使みたいな人だけど、魔法教えてもくれるなんて天使を超越した優しさって感じ。本人に言ったら困った顔されたけど、ラーちゃんは本当に私にとって天使みたいな友達なのだ。

 本当にラーちゃんがこうして無事でよかったなぁ、連れて行かれそうになっていた時に頑張って良かったとラーちゃんの笑顔を見ながら私は思った。





 それから私はラーちゃんと一緒に魔法を教えあったのもあって、あまり得意ではなかった魔法も少しだけ上達することが出来た。

 盗賊団の討伐に出向き捕らえたり、魔物退治に向かったり、不穏な動きをしている貴族の情報を集めたり――、何か問題があった時に率先して動いた。

 その結果私は上手く魔法師団の中で結果を出していくことが出来た。まぁ、運が良かったというのもある。たまたま私が功績を出せたというだけで、一緒に出向いた人たち皆が頑張ったのだ。

 でもそれにより、私の名が恥ずかしいけど少し広まってきたのは確かだった。

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