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 交渉の場に訪れると、にこやかに笑いかけてくる組とこちらを訝し気に見ている組がいる。うーん、戦争開戦派の人が誰で、反対派が誰なのかは一見すると分からない。

 開戦派の連中がいたのでは、戦争反対派の人たちだってきっと動きにくいだろうけど。というか、戦争を起こしたいって連中はこの場で何を起こそうとするだろうか。戦争を起こすためのきっかけ。過激な意見を言うならこちらを殺すか、あちらの戦争反対派を殺して私たちにその罪を押し付けるか。

 どちらにせよ、物騒なきっかけを作ろうとする気がする。

 ……正直、そういう物騒なことは嫌いだし、そんな物騒なことをやらかしてまで戦争をしたいという気持ちも分からない。もっと平和的な解決をしていたほうがきっといいだろうに。まぁ、私がそんな風に考えたとしても、実力行使して無理やり自分の願いを叶えようとする人は少なからずいるのだ。

 ヴァルが交渉はやるから私は何も口出しすることはないけどさ。ちなみに話を聞きながら、周りにはちゃんと気配りをしている。

 何か周りが魔法を起こそうとしているのならば、分かるようにしておかなければならないから。

 これで私が此処にいるのにヴァルに何かが起こるのは嫌だもの。

 そんなわけで話を聞いているわけだけど、隣国からしてみれば不当な手段で外国から人を攫ったということは認めたくないことのようだ。とはいえ、戦争反対派は戦争は絶対に起こしたくないということで公式には認めることは出来ないが、実際に行方不明者が出て、開戦派が動いていた事実があるので非公式に行方不明者を発見次第返すことは出来るということ。そのさいに、隣国が面倒をかけているというのもあり、こちらに有利には進めてくれるらしい。

 しかし国家間の関係も色々大変だな。国となると、人がそれだけ多いわけで色んな考えの人がいる。この世界に転生して長い時間が経っているけど、それでもまだ地球で生きていた頃の感覚が私には根付いている。だからもう少し平和に過ごせたらいいのになぁとそんな気持ちになってしまう。

 怖い事も嫌いだし、平和にのんびり皆で仲良く過ごせたらいいのにーってなるけど、そんな甘い事も言っていられないのだ。

 この世界は乙女ゲームの世界とはいえ、現実的に考えれば危険なものであふれているのだ。

「――では、こちらでその行方不明者を見つけ出します。見つけ出し次第連絡させていただきます」

「よろしく頼む」

 そんな感じで話は終わる。

 うん、あえて詳しい情報を相手のトップの人が言わないのって、開戦派の人がおそらくいるからだよね。同じ国内の人相手にも休まらないっていうのは大変だと思う。まぁ、私の国も一筋縄ってわけではないけどさ。

 それにしても現状、開戦派が大人しくしているのが恐ろしい。

 なんていうか、何かやらかそうとはしているようには見えるんだけど……。私はそう思いながら、じっと周りを見渡す。

 なんとか話はまとまって、このまま戻るだけになった。根本的な問題は全然解決していないけどさ。一旦これで話を持ち帰って、あとは国やミミィさんたちが決めることだろう。

 とりあえず今のところは、何も問題は起こってないけど――って思ってたら、微かな魔力反応を感知した。

 あとはもう帰るだけっていうのに、本当にやめてほしい。

 私は即座に隠密魔法を行使する。今は私への注目がない状況だからね。隠密魔法を使った方が私も対応がしやすい。これで私のことは周りが認識しにくくなっているはず。学生時代よりもずっと隠密魔法が得意になっているからこれなら動きやすいはず!

 さて、あの微かな魔力はまだ何の魔法にも使われていない。あの魔力で何を起こすつもりなのだろうか。私は集中して、何が起こるだろうかと見守る。

 あ、魔力がもっと集まった。これを向けられてるのは……ヴァルじゃん!

 ダメダメ、ヴァルに何かあるのは駄目だから、私は慌てて魔法を行使して、妨害する。よしっ!! いい感じに魔力の拡散が出来た。これだけ上手く拡散したら魔法として形をなさないからね。

 私は攻撃的なのは苦手な分、他のことは結構得意なのだ。こういう点は私の自慢の一つでもある。

 魔法を使おうとした人が驚いた顔をしている。えっと、どうしようかな。結局魔法は行使させなかったのは良いとして、いっそのこと魔法を行使させてやらかさせた方が相手を捕まえれたかな。微かな後悔も芽生えるが……ヴァルに魔法が向けられてるのを見過ごせないしなぁ。

 うーんと悩んでいると、別の魔力を感知出来た。はっ、出遅れた。今度は私が拡散させる前にもう魔法として形になっていた。

 あ、でも魔法が使われたとしても大事にならないように行動は出来るか。ということで隣国の人に向けられた魔法を対処して、その魔法を使った人を現行犯逮捕しよう。

 拘束するための魔法を行使して、身動きを取れなくさせる。

 ……って、此処までは出来たけど他にも開戦派はいるんだよね。こそこそと隠密魔法を使って、行動を起こしている私。勝手に魔法が拡散されたりしているように見えるみたいで、目を白黒させている人がいるけど、さっさと行動をしなきゃね。


 というわけでちゃちゃっと、私は自分が感知されないうちに行動を起こすのだった。

 

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