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「魔法師団で行方不明事件? それは大事件ね」

「問題だな。しかも意志を奪っての誘拐か。どういう思惑があるのか分からないが、解決させるべきだろう」

 リーラちゃんとシエル君はそう言って、その美しい顔をしかめている。

 ああ、なんていうか本当にリーラちゃんもシエル君も作りものみたいに綺麗な顔をしていて、見ているだけで幸せな気持ちになる。綺麗な顔をしている人ってそれだけで人類の財産だよね。だって見ているだけで幸せな気持ちになるんだよ? 凄くない?

 ヴァルもほら、見慣れているとはいえ美形だから……こう、綺麗な顔が三つ並んでいると思うと私得な状況だよね。

「それでヴィーアが行動を起こそうとしているのね。サラガント先輩、確かにヴィーアは隠密系の魔法は得意かもしれないけれど、魔法師団の中にまで手を伸ばしているような相手だと万が一がありますよ」

「リーラの言う通りです。何があるか分かりませんから、ちゃんと準備をして挑むべきでしょう」

 二人はそういうと、私の方を向いた。あら、私何て空気と思ってくれていいのに。美しい顔の三人が話している中に混ざるなんてこう烏滸がましい気持ちになるんだけどっ。なんて場違いな事を考えてしまっている。流石に口に出したらこんな中で何を考えているのと言われそうなので、言いはしないけどさ。

「ヴィーアは、本当に気を付けてね。考えなしに行動なんてしたら駄目だからね。もしヴィーアに何かあったらアルトガル先輩も悲しむわよ」

「……無茶はしない方がいい。魔法師団を欺けるような相手ならそれ相当の相手だろう」

「分かってるよ!! 流石に私も自分の命とか色々おしいから。無茶は……その場にならないと分からないけど、何よりも命大事に! って行動するから」

 うんうん、気分は前世のRPGの行動であるような”命大事に”だからね。

「うーん、これはサラガントさんも心配ですね。いい、ヴィーア。貴方がどれだけ隠密行動が得意だろうとも、どうしようもない時はあるの。その時はちゃんとサラガントさんに頼るのよ?」

「そうだな。自分だけで突っ込まないように」

「そうね。あとは私たちの方でももっといろいろと魔法具を作ってみるわ。流石に魔法師団がそんな事態になっているのは、国としても問題だわ。そうだわ、サラガントさん、ぬいぐるみの分析まだ終わってないのでしょう? 私たちも見に行っていいかしら?」

 先ほどぬいぐるみの話もしたので、リーラちゃんはそれが気になったらしい。いまだに分析が終わってないぬいぐるみだが、リーラちゃんとシエル君と言う天才であるのならば何か気づきがあるかもしれない。

 二人とも大人になっても天才だからね。天才と噂されてても大人になれば凡人になったりする人もいるのにさ。それなのにちゃんと二人はずっと天才で、なんかすごいなって改めて思う。

 それに処に敵が潜んでいるか分からなくて動くに動きにくい状況を、二人ならば打破してくれるかもしれないって気持ちもある。

 どちらにせよ、ラーちゃんのために私は動く予定だけど仲間は多い方が動きやすいしね。リーラちゃんとシエル君なら信頼できるし。王立魔法研究所の魔法師としても、個人としても――この二人が国を敵に回すことは……ないと思うから。二人ともリサ様の事大好きだから、リサ様が嫌がる事はしないだろうしね。

「それなら頼む。場所は――」

 そしてヴァルが場所を告げると、二人そろってぬいぐるみの元へ向かっていった。私は案内してほしいと言われたけど、リーラちゃんとシエル君と一緒に居たらまた目立っちゃうもん。それにヴァルの部屋にこっそりきたのに、出てきたら面倒そうだからってことで、他の人が二人を案内することになった。


 さて、残されるのは私とヴァルである。




「リーラちゃんとシエル君がぬいぐるみを見た結果を聞いてから、ラーちゃんのことで動けばいいよね。二人ならなんか手がかり分かるかもしれないしさ」

「そうだな……。寧ろあの二人が何も気づかないレベルのものだと、流石に問題だな」

「だよねー。本当に何が魔法師団を狙っているのかって怖いよね」

 本当にさー、リーラちゃんとシエル君って天才なんだよね。まごう事なき天才。だからこそ、リーラちゃんとシエル君が分からないレベルだと本当にヴァルの言う通りヤバい案件だと思う。

 魔法師団ってさ、国の要の一つなんだよ。だからこそ、その分危険も多かったし、面倒な陰謀とかもあったりする。前世でも一般市民だった私としてみれば、陰謀とかかかわりたくないんだよね、本当。とはいえ、魔法師団の一員だし、知ったからには頑張るけどさー。

 そう考えていたら、驚いたことにすぐにリーラちゃんとシエル君が戻ってきた。

 そして、

「サラガントさん、大変です」

 とそう口にして、次に驚くべきことを続けたのだった。




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