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 私はもどかしい気持ちになってならない。

 ラーちゃんが私にとっての敵ではないのだと、それをはやく証明してあげたいのに。あのぬいぐるみにある込められてる魔法を解析するのは時間がかかるようだ。もう少し危険な目にあったとしてもラーちゃんのためなら頑張りたいなーって思うんだけど。

 ヴァルはちょっと過保護だから許してくれないしー。というか、私に対してヴァルってば昔から心配性な所あるよね? でも私も魔法師団の一員なんだから少しぐらい無視してもいいじゃーんって感じるけど、私ってヴァルには中々口で勝てなかったりするんだよなぁ。

「ノーヴィス、どうしたんだ、唸って」

「タチークさん!!」

 むむむーっと唸っていた私に声を掛けてきたのはタチークさんだった。相変わらず美しいショタだ。同年代と思えない。これは学園に迷い込んでてもきっと誰も疑わないレベルだよねー。あ、でもこれだけ綺麗だと目立つだろうから逆に部外者だって思われたりするんだろうか。

 それにしてもタチークさんがこうやって私に話しかけてくれるのは嬉しいなぁと思う。思わずえへへっと笑ってしまう。

「な、なんだ、そんな嬉しそうな顔をして」

「いや、タチークさんが私と仲よくしてくれて嬉しいなーって思ってるだけですよ!!」

「そ、そうか」

 私の言葉にタチークさんは照れたのか、顔を赤くしている。うんうん、こんなに綺麗な顔をしたショタが顔を赤くしているっていいわーってなる。だってよくない? 私は少なくとも凄い眼服としか言いようがないよ。でもあれだね、出来れば私にじゃなくて他の人にそういう表情を見せているところを見たいっていうのが一番だけど。

 ヴァルが魔法師団に私を入れるから……。まぁ、魔法師団に入団したからこそこうして魔法師団の美しい人達を見れるわけだけど。流石に入団していないのに魔法師団の敷地に入ったりはできないしさー。

「……それでどうしたんだ? 唸ってたが」

「うーん、ちょっともどかしい気持ちになってるんですよー。私はちょっとやろうとしていることがあるんですけど、ヴァルってば心配性だから駄目っていうんですよねー」

「あのサラガント先輩が心配性……?」

「そうですよ!! 『お前は私のおかんか!』って思えるぐらいの心配性なんですよー」

 タチークさんのことも正直言って信頼していいものなのか、っていうのが私にはまだ分からない。ラーちゃんの作ったらしいぬいぐるみにあんな魔法が込められているというのだから敵の手が此処まで入り込んでいるってことだし。

 タチークさんは悪い人間には見えないけれど、誰が敵か分からないからなー。

 細かい事情とかって内部機密だろうしさー。というわけで詳細は言わずにヴァルが心配性ってのだけ伝えた。あとは、私がこういうことを言えば敵だったら何かしらの情報を溢したりしないかなーって期待がありとかする。

「そうか。サラガント様はそういう風には見えないが、そういう一面があるんだな」

「はい。ヴァルは昔からそうなんですよ」

「……まぁ、ノーヴィスは放っておいたら何かやらかしそうな雰囲気があるからな」

「えー、何ですかそれ」

 なんかさらっと何かやらかしそう! とか言われた。私、ショック。ああ、でも昔から私は色んなものに興味を持って見て回ったりしていたからなぁ。気づけば消えてたりしてたから、ヴァルっては心配していつも私の事を追いかけてた気がする。ああ、でもそうだ。乙女ゲームとヴァルが差異があったのは私の影響だろうしなぁ。

 というか、ヴァルがあれだけ過保護なのって私にだけっぽいんだよね。なんだろ、妹みたいに思ってんのかね?

「まぁ、反対されたからってそのやりたいことをやりたいっていうなら説得するか、無理やりやるかしかないだろ」

「んー。無理やりはやりたくないんですよねー。ヴァルに心配をかけたくないですし」

 無理やりやるのはなーって思う。大体個人的なことじゃないし、仕事に関わることだしね。上司の許可なく勝手に行って、大変なことになったら困るし。

「そうか。本当にサラガント先輩と仲が良いんだな」

「幼馴染ですからね!! でも説得ですか、そうですねー。ヴァルに口で全く勝てないけど、やりたいのに出来ないのってやだから、ヴァルに話してみようと思います」

「ああ。そうするといい」

「ふふ、ありがとうございます。タチークさん!! 私、落ち込んでばっかりじゃいけませんね。なんとか、動いてみせます!!」

 私はそう言って、タチークさんの元を後にした。

 私の後ろ姿を見ながらタチークさんが「ノーヴィスは元気だな」と優しい目をして笑っていることに、私は気づく事はなかった。




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