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行方不明者の情報を一生懸命探す! と決めたものの、中々情報は集まらない。そんなに簡単な話ではない事は分かっている。——けれど、私は魔法師団の一員として。問題を解決していきたい。
そのため、今日も無駄からもしれないけれど巡回をしている。
こっそりと、魔法師団の建物の中をうろうろしているの。そして、誰がどこで何をしているか、それを頭の中に入れる。必要のない情報かもしれない。でも、何かの役に立つかもしれない。そう思うから。
そう思って、うろうろしていたらラーちゃんの幼馴染のペーペイトさんを見つけた。ペーペイトさんはラーちゃんの事が好きなお仲間だからね。何しているんだろう? と思ってじーっと見る。
ん? なんか様子かおかしい?
目の焦点が合っていないというか、何か魔法が効いている!? そう気づいた私は慌てて、ペーペイトさんの事を追いかけた。
どんどん、敷地の外に行こうとしている。……私は思わず声をかけた。
「ペーペイトさん!!」
私が声をかければ、ペーペイトさんははっとした顔をする。そして、私の顔をマジマジとみる。
「……ノーヴィス?」
そう問いかける声は、不思議そうな、少しだけ寝ぼけたような声だった。
「ペーペイトさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫って……何が」
「なんか、どんどん外に行こうとしていましたよ!」
「え? というか、俺何で、ここに……」
ペーペイトさんの目は、もう虚ろではなかった。先ほどまでの敷地外に行こうとしていたのを、ペーペイトさん本人は覚えていないらしい。
私はその事実に戦慄してしまう。
まさか、この魔法師団の中で行方不明になってしまっている人はペーペイトさんのように自分の意志ではなく、この場を去ってしまった人が多くいるのではないか。その可能性に気づいたからだ。
どのような魔法が行使されているのかは、現状想像しか出来ない。こうして人気のほとんどない場所で自分の意志で魔法師団の外へと向かってしまわれれば、こちらが把握する事も難しい。というか、このままこの場に留まるのは危険かもしれない。
ペーペイトさんの事を魔法師団の外にやろうとしていた、誰かがこの場にやってくるかもしれない。ペーペイトさんがやってこないという事実に痺れを切らして対峙する事にでもなってしまったら、私では対処は難しい。私はあくまで隠密行動などといった裏方業務以外は不得意な人間だ。誰にも気づかれないに誰かを気絶させたりは出来るが、正面から敵と対峙する事はまず難しい。
「ペーペイトさん、一先ず、医務室かヴァルの所行きましょう!!」
「え?」
「戸惑っているのは分かるけど、話はあとから!」
これから危険が舞い込んでくるかもしれない、と言う可能性に気づいた私はペーペイトさんを急かしてその場を後にするのだった。
それから向かったのは、結局ヴァルの部屋へと向かった。
医務室に行った方がいいのではないか、と思ったけれど正直こういう状況で誰が敵で誰が味方なのか私には判断が出来なかった。ペーペイトさんが何らかの魔法を仕掛けられてしまっているという事実があるからこそ、医務室が安全な場所なのかが分からないのだ。もしかしたら、ペーペイトさんをこんな風にした誰かが医務室にいるかもしれない。そう思ったらヴァルの元まで気づいたら足を運んでいた。
だって、ヴァルは絶対に私の味方だから。——こんな風に誰かを信じ切ってしまう事は危険な考え方かもしれないけれど、私はヴァルは絶対に私の敵にはならないと思っている。ヴァルの事をそれだけ私は信頼しているのだ。
「ヴィー? どうしたんだ?」
ヴァルは突然、部屋に足を踏み入れた私に難しい顔をした。後ろにペーペイトさんがいるのを見て、何かあったという事を理解したのだろう。私が何もない状況でこうして誰かを連れてやってこない事をヴァルはちゃんと知っているのだ。
「ヴァル、ペーペイトさんが魔法師団の敷地の外に行こうとしていたの! しかも、魔法か何かかけられていたのか、虚ろな目で! だから慌てて止めたのだけど、その場にずっととどまっていたら危険かもしれないから一先ず安全な場所に行こうと思って連れてきたんだけど、まずかった?」
「……魔法? なるほど、詳しく話を聞く必要があるな」
「うん。ペーペイトさんに詳しく話を聞いた方がいいのと、何をもってしてあんな状態になってしまったのかちゃんと調べるべきだと思うの。ただ、私は現状、ペーペイトさんがこんな状況になってしまった原因が誰なのか、それが分からないからここに連れてきたの」
ペーペイトさんは自分がそんな状況に陥っていた事を知って、ショックを受けていた。記憶がなかったペーペイトさんは自分がどのような状況に陥ってしまっていたのか一切理解していなかったのだ。
本当に末恐ろしい状況だと思った。
それから私とヴァルはペーペイトさんへの事情聴取を開始した。




