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 魔法師団の中で行方不明者が出ているというのは、まだ公にはされていない情報だ。

 誰が敵で、誰が味方か。

 それが、明確に分かっていない。

 もっと信頼できる存在が沢山いれば、ヴァルも動きやすいだろうけれども——組織とはやはり難しいものなのだろう。

 前世の日本よりも、人の命が軽い世界だ。

 だからこそ、日本よりも、人間関係が殺伐としている。

 裏切りもあれば、それに伴い命が奪われる事だってもちろんあるのである。

 私はヴァルの事を幼馴染として信頼している。ヴァルも私の事を信頼してくれていると思う。だからこそ、私はヴァルの期待や信頼を裏切りたくない。

 この魔法師団の中で問題が起きているというのだから、魔法師団の一員としても——、ヴァルの幼馴染としてもこの問題を解決するために行動しよう。もし、問題を解決するために尽力を尽くす事が出来れば、私は魔法師団の一員として、他の人達にも認められる事が出来ると思うから。

 魔法師団の中で行方不明者が居るという事は、親しい仲でも言っていいものではない。そのため、ラーちゃん、ノノアンさん、タチークさんにも秘密である。もし、魔法師団の中で行方不明者が居るという事を彼らに言うとすれば、きちんとヴァルから許可をもらってからになるだろう。勝手にペラペラ話してしまうのはいけないって私、ちゃんと分かっている。

 それにしても行方不明者ってどういうことなのだろうか。

 我が国に対して、何かを起こそうとしている他国の陰謀? ありえそう。

 他国に引き抜きされている? それとも魔法師団の戦力を減らそうとしている? それもありえそう。

 ただたんに魔法師団での暮らしが大変過ぎて、やめようと思って逃亡する? それもありえそう。

 あらゆる可能性が考えられるのだ。それか私が思ってもない理由でもしかしたら行方不明者が出ているのかもしれない。

 日本よりも命が軽い世界だからこそ、行方不明になっている人たちが亡くなっている可能性もある、とそれを思うとやっぱりこの世界は怖いなと思う。私は魔法を使うのが好きだし、この世界で楽しんで生きているけれども、やっぱり地球で生きていた頃の記憶があるからこそこの世界で恐怖心って感じてしまう。

 ……だからこそ、最初はこういう魔法師団っていう色々危険も伴う仕事をするつもりはなかったんだけどなー。まぁ、結果的に入るのを決めたのは私だし、頑張ろうと思っているのは本心だけど、そういうこの世界が現実だという実感があるからこその不安とかも本心なのだ。

 ――私は、目の前にいる人達を、かかわりのある人達を、なるべく助けたいのだ。

 魔法師団に入って頑張ろうと思っているのの、一番の原因はヴァルの助けになるからだ。ヴァルは大事な幼馴染だから。

 さて、まずは魔法師団の敷地内を色々と巡ってみよう。

 その過程で私自身が行方不明になったら問題だからきちんと対処をしないと。もし、誘拐されるかもしれない場合があった場合の事も考えないと。心配しすぎといわれるぐらいに考えていた方がいい。うん、私は行方不明の問題を簡単に解決できるなんて思ってもいない。寧ろ失敗とかしてヴァルに迷惑をかけてしまう可能性もある。だからこそちゃんとしなきゃね!!

 行方不明者のリストはもらっていない。そういう情報を紙で残すのは色々と危険かもしれないからって。だから口頭で言われただけだ。私は暗記は結構得意な方だから覚えている。

 行方不明者は、何人もいる。その中で共通点は下級貴族や平民であるという事だろうか。上級貴族の者達は、そういう風になっていない。そういうのにも何か理由があるのだろうか。そもそもどうしていなくなったのか。全員が同じ理由なのか、それとも異なる理由なのか。

 んー、難しい。

 こういう難しい問題と向き合っていかなければならないなんて頭が痛くなりそうだ。

 そう思いながら、魔法師団の敷地内をうろうろする。見回りをしていく中で、何か変わった事が見つかったりしないだろうかとそれを期待して。

 だけど、やっぱり簡単に何かを発見できるわけではない。

 一人で姿を消してぶらぶらする事をしているから、ラーちゃんには「ヴィーちゃん、最近何してるの?」とか聞かれてしまった。誰にも悟られないように魔法を使いながらうろうろしている私は急に消えて何かこそこそしている変な子って認識になっているかもしれない。まぁ、ぼっちだった時はともかく、周りと交流を取るようになってからも同じように一人で姿を消してうろうろしていたら確かに不審かもしれない。

 はっ、不審者を探しながら自分が不審者になっているってまずくない? まぁ、ヴァルが私の事をちゃんと知ってくれているから私が行方不明に関わっているとか、犯人だとかいう冤罪はかけられないと思うけどさ。

 でも、他の人には疑われるかもしれないから、余計にさっさと解決するのを目指して行方不明事件の真相を突き止めないと、と私は気合いを入れるのだった。

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