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 私は今、とてもご機嫌である。

 まだ魔物退治の演習は終わってないし、相変わらず二人は私の事を訝しんでいるけれど! でもね、ノノアンさんが私の事を理解してくれたって凄い私にとって嬉しい事なんだよ。だって美人さんなんだよ。私の美男美女レーダーに反応するぐらいの美人さん。美人さんに嫌われていて私とても悲しかったから、こうして普通に会話を交わしてくれるようになっただけでも嬉しい。

「ノノアンさん本当美人さんですよねー」

 思わず嬉しくなって、そんな本音が漏れるぐらいである。だって美人なんだもの。今まで近づけなかったけれど、本当に綺麗で、見ているだけでニヤニヤしちゃうぐらいなんだもの。

 やっぱり綺麗な人とかって見ているだけでも幸せな気持ちになるよね。見慣れてるヴァルにはそんな風な興奮を覚えたりはしないけれど、私、会長とルビ先輩の様子を見ているだけでも結構ニヤニヤしそうになったりする。だって会長はルビ先輩に甘いのだもの。こう、あれだよね、好きな人にだけ見せるやわらかい笑みとか私大好物なんだよね。そういうのって凄くいいよね。ノノアンさんもいつか好きな相手とか出来たらそんな表情を誰かにさらっと見せたりするのだろうか。私はそういう表情を覗き見するのが好きなんだよね。

 ノノアンさんは私の言葉におかしそうに笑っていた。うんうん、やっぱり美人さんは良いよね。

 魔物退治はそれからもさくさく進んだ。

 正直、学園に通っていた頃に予想外の魔物に襲われて大変だった事件があるから凶悪な魔物でも潜んでいたらどうしようと思っていたけれど今回は何事も大きな問題は起こらずに終わりそうでほっとした。

 魔物退治をどんどんこなすにつれて、ノノアンさんの友人の二人も私に対して何か言うのをやめるようになってきていたから、多分、少なからず私の事を認めてきてくれていれば……嬉しいなぁと思った。


 それで魔物退治の演習も終わりかけていた頃に事件が起こった。




 なんと、同じ魔法師団の新人の一人が行方不明になってしまったらしい。

 正直、え、どうしてそんなことになったのかと私は呆然としてしまった。帰りの集合場所に集まったらそんな会話をしていたらそれはもうびっくりするよね。

「虫型の魔物が突然出てきて驚いた者が走り出してしまったのだ」

 正直そういう予想外の事態のために先輩の魔法師団のメンバーがいるんじゃないのかとその班についていた先輩の一人には何とも言えない気持ちになった。

 私の班についてくれていた先輩も「どうしてその時に止められなかったんだ」と問い詰めていたら「自分も虫が嫌いで動揺したから」などと言っていた。えー……だよ。それはもう他の先輩たちだって微妙な顔をしている。

 新人の魔法師団の子が動揺して周りを見えなくなるのは分かる。私も虫はそこまで得意じゃないから。でも何かあった時のために先輩がつけられているというのに……って思ってしまった。

 とりあえず班に分かれてその子を探すという方針になったようだ。

 私たちの班についている先輩が言うには、こういう事は今までなかったらしい。それは新人の師団員の面倒をきちんと先輩たちが見ていて、こういう大事にはなってなかったようだ。だけど、こういう事が起こってしまったのは問題だと。

 その行方不明になってしまっている新人の女の子が無事でいてくれればいいがとも言っていた。

 魔物が出てくる土地で一人はぐれてしまうなんて大変な事態だ。やっぱり前世の記憶があるから人が不幸な目に合うのは嫌だと思うし、しっかり見つけなければ。でも、魔法師団に入団したからには苦手でも虫の魔物が出てくることはあるだろうし、私たちは戦えない人たちの代わりに戦うような立場にあるのだからそういう事で逃げ出して取り乱すのはどうなんだろうって思ってしまった。

 私は私より前に魔法師団に入団していたヴァルやその両親から魔法師団がどういう仕事をしているのかとかそれなりに聞いていたし、ヴァルが私を魔法師団にいれると言い出しはしたけど、結局自分で魔法師団に入ろうと覚悟を決めて……入ったつもり。だからよけいに、んーってなってしまった。

 まぁ、そんな私のちょっともやもやした気持ちはともかくとしてそのいなくなってしまった子を探さないとね。

 探索する魔法を思いっきり使って頑張って貢献しよう。急がないと、怪我をする——最悪の場合死ぬ場合もあるだろうからね。

 その走り出してしまった子のおいていった荷物をちょっと貸してもらう。何をするんだって目で見られたけれど、この荷物に残っているその子の魔力の残光を探っている。少しでも感じ取れたら、それはその子を探すための重要なものとなるから。

 よし、大丈夫。

 思いっきりその子の魔力が少し残っている。なら、これで探しやすい。

「その子の魔力覚えたのでじゃあ、探しに行きましょう!」

 私がそう宣言したら、何だか変な目で見られたけれど、こういう魔法きわめてたらこれぐらい出来るよね?




 

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