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私、ヴィーア・ノーヴィスはスパイがいたら大変だから、スパイを探そうと行動を起こしている。ほぼ強制的に魔法師団に入ることが決められたわけだけど、魔法師団という場所については気に入っている。あと、前世でファンタジー世界とか大好きだったのもあって、魔法師団とかいう響きに心を惹かれてしまっているというのもある。まぁ、幼馴染のヴァルの大切な場所でもあるしね。今は私にとっての職場だし。スパイとかいるのならばどうにかしたいっていうのは当然の感情だよね。
さてさてスパイをどうにかするためにまずはどうするべきかというのを色々考えているんだよ。ただ私はあんまり考え事するのとか得意じゃないんだよね。頭脳派はヴァルに任せているし。私はどっちかっていうと考えもなしに突っ込むほうだと自分で思っている。だからスパイを探す過程は全部ヴァルに報告はしている。ヴァルにはあまり無茶するなとも言われているけどさ、安全第一で行動したところでヴァルの目を掻い潜っているようなスパイが見つかるかっていうと見つからない気がするんだよね。もちろん、私も危険なことはしたくないけどさ。
そんなことを思いながらこそこそしていたけれど、中々成果は上がらない。そんな状況の中で、私は見回りの仕事とかせっせとやっている。少しずつ、私の実力を示していく作戦はしているけれど今の所タチークさん以外は気づいていない。と、いうことをヴァルに嘆いても「ヴィーの隠密はすさまじいからな」と呆れられた。
そんな日々を過ごしている中で、ようやく私たち魔法師団に入ったばかりの面々も外に魔物退治に出かけることになった。魔物退治って、正直怖いし、恐ろしい。でも魔法師団は、そういうこともするのが仕事だ。だから入ったからには私も頑張る。直接的な攻撃力の低い私だから中々成果は上げられないかもしれないだろうけど、頑張る。
まぁ、最初の魔物退治だし、新人たちだけでいかせるわけでもないしね。
ヴァルを含む魔法師団の先輩たちが私たち新人を率いていく形なの。今回はそこまで危険度の高くない魔物だし、特に何事も起こらないはずと思っているけれど……なんか起こったらどうしようかな?
「ヴィーちゃん、魔物退治、ドキドキするね」
「うん」
魔物退治にいかなければならない、ということを聞いてラーちゃんは緊張した面立ちだった。なんかラーちゃんが可愛くてとても癒される。ラーちゃんの幼馴染のペーペイトさんの誤解は相変わらず解けていないけれど、「ヴィーちゃんは良い子だよ」とかいってくれるラーちゃん、本当天使。
魔物退治の班、ラーちゃんと一緒だったら嬉しいのにと思うけれどどうなんだろう?
「私はあんまり得意なことないからなぁ…」
「ラーちゃんは特化していないだけである程度色々な魔法使えるじゃん。それは凄いと思う!」
そうなのだ、私の天使であるラーちゃんはどれか一つの魔法に特化しているというわけではない。ラーちゃんは、ある程度色々なことが出来るという人材なのだ。攻撃的なものも防御的なものも何でもある程度こなせるというのは凄いことだと思う。
前世の記憶があるからこそ、攻撃的なことに対して少なからず躊躇いのある私よりも断然凄いと思うんだよね。まぁ、魔法師団に入ったからには前世がどうこういってられないし、攻撃しないとは言わないけどさ。
ある程度一定水準よりこなせるって文章にしても凄いものだと思うんだよね。タチークさんみたいに攻撃力が高いとかではないけれど、それだけ凄いからこそ魔法師団に入れたわけだし。
「そうかな?」
「うん、凄いよ。私は隠密系は出来るけどそれ以外は全然だし」
うんうん、凄いと思う。特化型ばかり目立つ世の中だと思うけれど、ある程度色々できて器用な人って凄いと思うんだよね。前世の漫画とかゲームでも出てきたそういうキャラ結構活躍していたし、とても凄いと思う。
「ラーちゃん、私魔物退治一生懸命頑張る。そして私がコネ入団ではないってわかるようにする第一歩にするんだ!」
「頑張って、ヴィーちゃん」
「うん、頑張る!」
さて、ひとまず魔物退治という私が頑張れば、私がコネ入団ではないとわかりそうな感じのイベントが起こるわけだから私は頑張る。頑張って結果を残せればいいなぁと思ったり。あとは魔物退治という危険なことを行うわけだから、先輩がいるからと油断をせずに、きちんと自分の身の安全を守ることも大事だよね。そして魔法師団の皆は私にとって仲間という枠組みに入るわけだから、傷ついたりしないように助け合いをしていく。うん、助け合い大事。私も助け合いをして仲間と認めてもらえるように頑張るんだ!




