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「ラーちゃん! ヴァルってば凄い心配性なんだよ」

「サラガント様は、ヴィーちゃんのことを本当に大切に思ってるんだね」

「ふふ、ヴァルとは幼馴染だからね!」

 ヴァルとは、ずいぶん幼い頃からの仲だ。幼い頃はヴァルが攻略対象なんて思ってなかった。気づいた時にはヴァルの性格はもう変わっていて、正直失敗したなと思いはしたけれどそれで幼馴染をやめるなんてことはしなかった。よく考えれば、幼い頃からヴァルと幼馴染として親しくしていて、魔法学園にも学年は違うけど通っていて、今は魔法師団に一緒に勤務していて、ヴァルとは思ったよりもずっと一緒に居るなと思った。こんなに長い腐れ縁になるとは、であった頃は思ってもいなかった。

 ――そう考えると、不思議だなと思う。

「でも、サラガント様ってヴィーちゃんのこと幼馴染って認識じゃないと思うんだけど」

「えっ。それショック。他人ってこと? ただの知り合い的な?」

「いや違うよ、そうじゃなくて、ヴィーちゃんの事それ以上に大切に思っているんじゃないかって思うんだけど」

「ないない」

 私は即答した。

 私とヴァルが幼馴染以上の何かになるとか、ヴァルがそんなこと考えているとかありえない。そもそも、ヴァルは中々結婚相手としてみればハイスペックなのだ。この乙女ゲームの世界だからこその美形率の高い中でも、見劣りしないぐらいなヴァルだ。魔法師団で立派に働いていて、有能さを示しているし。貴族の子息だし。そんなハイスペックなヴァルが私なんかにそういう感情抱くわけないし。

「うーん、そうかなぁ。というか、ヴィーちゃんって、貴族の令嬢だけどそういう結婚とか考えていないの?」

「ないかなぁ。別に私、一人っ子ってわけじゃないし、家に関してはお兄様が継ぐし。孫に関してはお兄様とお姉様が親には見せるだろうし」

 結婚、とか言われても全然ぴんとこない。前世の年齢も含めたら結構なおばちゃんな私だけど、結婚経験はないというより、恋愛も全然ない感じだからなー。というか、自分の恋愛よりも人の恋愛みたい。私の恋愛とか正直どうでもいいと思う。そんなものよりも美男美女とかの恋愛を私はこの目に焼き付けたい。

 いつも澄ました顔をしているクール系美少女が恋を知って顔を赤くするとか、そういう系を見たい私なのだ。

「そうなんだ、サラガント様も……大変そう」

「ん? なんでヴァルが大変なの?」

「私が大変そうだなぁと思っただけよ」

 何が大変なのかさっぱり分からないけど、ラーちゃんはヴァルのことで何か分かったらしい。

「はっ、ラーちゃんもしかしてヴァルの事好きなの?」

 ヴァルのことが何か分かっているなんて、もしかしてそれだけラーちゃんがヴァルのことを好いていて見ているということかと考えると私はキラキラした目でラーちゃんを見てしまったけれど、ラーちゃんはその言葉を否定した。

 残念、ペーペイトさんとの三角関係でも繰り広げられるかと思ったのに。それにヴァルの奥さんがラーちゃんみたいな天使だったら凄くいいなぁと思ったのに。

「ところでタチークさんはヴィーちゃんの誤解を解くために手伝ってくれるんだよね?」

「うん!」

「タチークさん……ヴィーちゃんに興味を持ったかもって思うのだけど……」

「ないない!」

 タチークさんは、まじめな性格だから正当な評価がされていないのを気にかけているだけだと思う。

「ヴィーちゃんって……」

「どうしたの、ラーちゃん」

「鈍感って言われない?」

「えー、私色々察する方だと思うよ?」

 色々と人のこと観察してきた私だからこそ察することが出来ること一杯あると思うんだよね。というか、鈍感ってルビ先輩みたいなのを言うと思う。会長の好意を全然気づいていなかったし、バレバレだったのに。

 うんうん、やっぱり鈍感っていうのはルビ先輩みたいなことだよね。私は鈍感とかではないと思う。

 っていったのに、何かラーちゃんが「そっか」といって笑っていた。

「とりあえず、ラーちゃん、私誤解とけるように頑張るよ。頑張って、此処で認められるようになりたいもん」

 折角魔法師団に入ったんだから、認められて、コネ入団ではないってわかってもらわなきゃっと私は意気込んだ。それに対してラーちゃんは「私も手伝うよ」と笑ってくれた。ああ、ラーちゃん、マジ天使。

 タチークさんも分かってくれたし、頑張るぞーって思った私なんだけれども……タチークさんが気にかけてくれるようになって弊害があった。

 タチークさんは凄い美少年だから、「タチークさんまでたぶらかして」と凄く周りが騒がしくなった。ヴァルと仲良い事も色々言われているから、タチークさんにまで気にかけられたらそうなるよね! まぁ、でも誤解がとけていっているのは確かだから、頑張るよ。



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