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 思わずタチークさんがわかってくれたことに感激してしまって、じーっとタチークさんを見てしまう。

「おい、答えろよ」

「タチークさん!!」

「あ?」

 ちょっと黙ってしまったらタチークさんに苛立ったように声をかけられた。私はそれに対して、大きな声でタチークさんの名前を呼んでしまった。

「やあああああと、わかってくれたんですね!」

「は?」

「私がコネ入団とかではないって! というか、私がコネ入団とかするわけないのですよ! 私はそもそも魔法師団にも入りたくなかったのですよ! それなのにヴァルが私をいれるとか、勝手に外堀埋めて決めちゃったんですよ!!」

 私のテンションは高い。だって、タチークさんがわかってくれたんだよ! 今まで全然誰も私の能力とか理解してくれなくて、コネ入団とか言われて。私の悲しきぼっち生活が改善されていくんだ! というこの喜びを知ってほしい。というか、本当に嬉しい。天使のラーちゃんが私を理解してくれて、そこからこうしてぼっち生活は脱却できていってるけどさ、やっぱ、皆にわかってほしいよね。

 だって魔法師団っていう折角の仲間なんだよ。仲間なのにコネ入団疑惑とかさ、悲しすぎるよ!

「……いや、なんだ、その言い方は。というか、サラガント様のことかヴァルとは」

「何だも何も、私は今凄くテンション高いです! 今までコネ入団コネ入団言われてすごく悲しいぼっち生活を私は送ってたんですよ!? コネ入団とかするわけないじゃないですか、そもそも魔法師団に入るつもりもなかったのにヴァルに推薦させるし、親には根回しされてたしー。まぁ、魔法は好きなのでそのあたりはいいんですけどね!! で、ヴァルはヴァルです。幼馴染なので! だからこそ、コネ入団とか言われたんでしょうけどね!」

「……ああ、とそれが、素か? ……君は、隠密系の魔法が得意なのか?」

「そうなのです! 今まで散々自分の趣味の観察のために磨き続けた隠密魔法ですからね! これは私の自慢です。会長にもばれないレベルなのです」

「会長?」

「私が通っていた学園の会長です!」

「……というと、あのフィルベルト・アシュター様か?」

 おお、会長凄い。有名。でも、それはそうだよね。会長あれだけ実力者で、美形で凄いし。

 若くしてアシュター公爵家を継いだ凄腕の当主様だもんね。うんうん、あれだけ凄い会長には大好きなルビ先輩を任せられるよ。

 それにしてもタチークさん、ちょっと考え込んでる顔もいい。凄いショタ美形とかも私見てて好きなんだよ。

 もう気を抜いたらそんな思いを爆発しそうだよ。でも流石に引かれそうだから頑張って自重するよ。

「そうです。その会長です」

「アシュター様とも親しいのか?」

「先輩の旦那さんですからね! よく遊びに行きます!」

「遊びに行くのか……、というか、公爵夫人が親しい先輩なのか」

「はい! ルビ先輩は大好きな先輩なのです!」

「そうか……、アシュター公爵が気づかないというレベルだと、君の隠密魔法は相当なものなのだろう」

「多分、そうです。少なくとも誰にも気づかれずにヴァルの執務室に行くぐらいは出来ますよ! この前不法侵入者も捕まえましたし」

「……それほど、か」

 とりあえずタチークさんがわかってくれたと嬉しすぎてぺらぺら話してしまっている気がするけど、まぁ、タチークさんのことは観察していて知っているし、タチークさんは知られても問題なさそうな人だから大丈夫なんだけどね。

 幾ら美形ショタでも、私は信頼できない人にはこんなぺらぺら話さないしね。ふふん、魔法師団って案外一枚岩ではないからね。もしかしたらスパイとかもいるかもしれないんだよ? そういうことはちゃんと警戒しなければならないような団体なんだよ。だから私結構ヴァルに頼まれて少しずつ調べてるし。

「それならば、すまなかった。勝手に決めつけてしまって。しかし、ノーヴィス、君が最近急に現れたりしていたのはわざとか?」

「謝らなくて大丈夫です! わかってくれれば私は十分です! えっと、そしてわざとです。どうにか誤解をとくためにどうしようかラーちゃんにきいたら考えてくれたので」

「ラーちゃんとは、君が仲良くしているラーニャさんのことか」

「はい! ラーちゃんは天使なんですよ!」

「……天使? まぁいい。君の誤解を解けるように俺も協力しよう」

 まさかの、タチークさんがそんなことをいってくれた。

 というか、天使発言スルーされたよ! 突っ込んでくれたら私ラーちゃんが如何に天使であるかをタチークさんに告げることが出来たのに。

「本当ですか?」

「ああ。君がコネ入団ではないというのならば、きちんとその誤解はとくべきだろう」

「ありがとうございます!!」

 嬉しくなって思わずタチークさんの手を握ってぶんぶんと上下に振ってしまった私であった。タチークさんがわかってくれたと嬉しくて仕方がなかった私はタチークさんがどんな表情をしているかさえも一切見ていなかったのであった。



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