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さて、相変わらずコネ入団疑惑によって敬遠されている私だよ!
とはいえ、ラーちゃんと仲良くなれたからぼっちは回避できたけど。ただ、私に近づいているからラーちゃんも周りの同僚に少し距離を置かれ始めているらしいから、その辺はどうにかしてあげたい。というか、私の評判をどうにか覆せたらそれで大丈夫なはず。そしたら色々解決できるはず。
ただ私の地味な魔法が、有効的であるってどんなふうに示していけばいいんだか。入団したばかりで実践が少ないから証明しにくい。でも、証明していかなければならない。
「むむむ……」
「ヴィーちゃん、どうしたの?」
「ラーちゃん! ごめんね! 私のせいでラーちゃんが敬遠され始めちゃって」
「いえ、それは大丈夫よ。ヴィーちゃんは悪い子ではないもの。私は好きでヴィーちゃんの隣にいるのだし……」
「あー、もうラーちゃん、可愛い!!」
ラーちゃんにそういって私は抱きついてしまった。
だって可愛いんだもん。ラーちゃん、本当に天使。天使すぎてこうやばい。こうにじみ出る天使さ。これは守らねばならない。これは私の使命キリッ。って気分になったよ!
「ヴィーちゃん、ってば……」
ラーちゃんは仕方がないなとでもいうような優しい声で受け止めてくれた。ラーちゃんは私よりも背が高い。というか、私が背が低いんだけどね! 150も相変わらずないからね、私!
私丁度、抱きついたらラーちゃんの胸に突入してしまいました。やわらかいです。
「ラーちゃん、ラーちゃんのことは私が全身全霊をもって守るからね!」
「え、う、うん」
ラーちゃん戸惑っていたけど、頷いてくれた。
私はラーちゃんを守るのです! これは決定事項!
私はそんな思いのままに、ラーちゃんのことをよく見ることになった。
隠密系の魔法でこっそりと見ていたりもするのです。ラーちゃんとペペーストさんの行く末も見たいしね。しかし、私のせいで二人がくっつかないのも嫌だしなぁ、やはりコネ入団疑惑の釈明を早くしなければならない。
うんうん、とそんな思いにかられながら二人を見つめていたのだけど、そんな二人の近くにタチークさんを発見した。タチークさんは、仕事終わって帰ろうとしているところみたいだね。
ちょっとタチークさんの方も気になるけれど、ラーちゃんの方が優先ですね。ああ、ラーちゃん天使だよぉなんて思いながら覗き見していたら何だか妙な気配を感じた。
私はそちらが気になってその気配の方へと移動をする。
あれ、変な人発見。
これって魔法師団をよく思っていない系の勢力かな。隠密魔法の能力がそこそこ高いんだと思うけど、私に気づかれるようじゃまだまだだね。とりあえず、出来るのなら気絶させてとらえる。駄目でも、情報をすり取られないようにしなければならない。
魔法を、行使する。
気づかれないように、近づく。
私に相手は近づいていない。
この距離なら、気絶させることぐらいできるかな。
私はそう思って、その相手を気絶させようと動く。眠り薬を塗りたくった小さな針を、投げつける。よし、的中!
男が倒れた。
さてさて、どうしようかな。このままヴァルの所行くのが一番良いけど。浮遊させて、持っていく?
目立たないように、しながら持っていきたいけど難しいかな。
そんなことを思いながらも、その男を浮かせる。そして自分は気配を殺して移動する。途中でタチークさんとすれ違いかかって思わず隠れてしまった。
なんか隠れなきゃいけない気になった!
ヴァルの所へいって、怪しい人間を差し出した。
「ヴァル、こんな潜入してた人いたよ!」
「……ヴィー、よく気づいたな」
「わかりやすかったよ」
「それはヴィーがそういう魔法に優れているから気づけただけだから。もっと自分が優秀だって自覚してくれ」
ヴァルにそんなことを言われた。こうやって認めてもらえるのは嬉しい! 特に魔法師団で散々コネ入団言われたあとだと、嬉しい!
「というか、さっきの話聞いた限り……タチークの前で堂々としていた方が良かったんじゃないか。隠れなければヴィーの実力だってわかっただろうに」
「はっ、確かに。いや、でもヴァル……そんなね、わざわざ私が捕まえましたよーって自慢するのもアレじゃない!? わざわざタチークさんの前に出るのも出にくいよ!」
確かにそうかもしれない、って思うけど、わざわざタチークさんの前に出るのも出にくいよ。いや、でも手っ取り早くコネ入団じゃないと思わせるためには前に出た方が良かったのか……と思うけど……。
「ヴィーはそういうところあるよな……」
「目立つの嫌いなんだよ!」
そもそも乙女ゲームの世界だって自覚した瞬間から私はこそこそと見守ろうと考えていたんだよ! それが終わってからもその生き方は変えられないものだ。んー、目立つのはあんまり得意じゃないし……いや、でもそうはいっていられないか。
「目立てっていってるわけじゃない。ただ、魔法師団の仲間たちに認めさせるぐらいは見せておくべきだとは思うが」
「うん……それは、うん、そうだね」
確かにヴァルの言うとおりだ。というか、認めさせなければならないのに隠れてしまうのが問題なんだよね……。あー……うん、よし、今度こういうことあったら私がやりました! って出るようにしよう。いや、出なければ……。
私はヴァルに侵入者を引き渡して、そんな決意をするのであった。




