プロローグ
※『転生少女は自由に生きる』のヴィーア・ノーヴィス編です。よろしくお願いします。
地球という惑星の、日本という国。それが、前世の私の生きてきた場所だった。
前世の私は、漫画やアニメ、ライトノベルなどといった所謂二次元と呼ばれる世界の物語が大好きだった。もちろん、沢山ゲームもしていた。
死ぬ直前にはまっていた乙女ゲームは、私の大好きな美男子や美少女が沢山登場するもので、本当に最高だった記憶しかない。
そのゲームをフルコンプする前に死んだのだけが私の心残りだった。なんて話を、同じ地球からの転生者である先輩に告げたら笑われたけど!
でもでもでも、私って基本的にゲームはフルコンプする主義だったんだよ! なのに、なのに、麗しいスチルを全て回収する前に死んだとか、もうそれが本当に心残りで!
でもこの生まれ変わったファンタジー世界が、その乙女ゲームの世界だって知った時ね、もう本当に、私大興奮した。
だって、あの大好きだった美しい登場人物たちを見て居られるんだよ! かかわるものではなく、観察するものっていう主義の私はさ、まずやった事は隠密系の魔法を極める事だった。
もうね、将来冷たい副会長になる美形が幼馴染になってしまって、なんか性格変わったのにはうがあ、何故気づかなかったし、私の馬鹿! ってなったけど、かかわってしまったものは仕方がないってことで開き直った。
それに乙女ゲームの世界とはいえ、此処は現実で、人の行動一つで未来はどうにでもなるものだってそんな風に実感したからね。
ノーヴィス男爵家っていう、ゲームでは欠片も出てこなかった貧乏貴族に生まれた私は貴族だけが通う学園に通って、それで私と同じ転生者であるルビアナ・アルトガル―――ルビ先輩と出会って、ゲームの時期が来るのをそれはもう楽しみにして待っていたものだ。
だって私はあのゲームが本当に大好きで、そのゲームの世界に折角こうしてこれたのだからどうしても観察したかった。大好きな世界を、大好きな人たちを! そのために極めた隠密の魔法なんだから!
で、ゲームの時期はやってきて転入してきたヒロインは同じ転生者で色々とやらかしていたわけだけど、それはルビ先輩の働きで上手く収束してくれた。私も同じ転生者としてヒロイン、メルト・アイルアに不幸になってほしかったわけではなかったから、良かったとは思った。
でもさ、乙女ゲームが終わってね、正直次は何を目標にすればいいか考えてみてわからなかったんだ。
私も、それにルビ先輩もだけど、この世界が乙女ゲームの世界だっていうのが頭の中に前提としてあってさ、それがメインだったんだと思う。でも、そのね、乙女ゲームの時期が終わってもさ、人生は当たり前だけど続いていくものだった。
乙女ゲームが終わったのは、高等部の一年生の時。その時には色々やらかしたせいで私は学園でも目立つ存在になってしまって、それは本当に嫌だったんだけどさ。
ゲームが終わっても美しい人たちを観察するって趣味は変わらなかったけど、次は何をしたらいいかわからなかった。
卒業した後、私はどうなっているんだろうっていう想像も全くつかなかった。色々とさ、会長とかにも勧誘されてたけど、うん、全然わからなかった。
でもそんな風に私は悩んでいたのに、
「ああ、ヴィーの就職先なら魔法師団に決まっているぞ」
なんて幼馴染で、乙女ゲームの攻略対象の一人でもあったヴァルガン・サラガント――ヴァルに言われて本当に驚いた。
「では、これより第六十七回魔法師団、入団式を行う」
―――そして、卒業して私は、本当に魔法師団に入団した。
これは、乙女ゲームの世界に転生した私、ヴィーア・ノーヴィスが乙女ゲームが終わった世界で、自由に生きているそんな物語だ。