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第二章 第6話

拍手と共に姿を現したのは、顔を黒布で覆った十数人の男たちだった。彼らは教会の聖騎士とも、街の暴漢とも違う。一歩一歩の足運びに無駄がなく、死線を超えてきた者特有の冷ややかな殺気を放っている。

「流石はベーカー街の探偵。……だが、その知恵もここまでだ。家宝は我々が、本来のオズワルドに届けるために回収させてもらう」

 オズワルドがニヤリと歪んだ笑みを浮かべる。やはり、この襲撃者は彼がアロイトの手を借りて引き入れた軍勢だった。

「リリ、下がっていろ。……埃が舞うのは、あまり好きじゃないんだがな」

 蓮は何処ともなく一振りの日本刀――漆黒の鞘に収められた**『無銘』**を取り出した。

 異世界アステリアにおいて、剣と言えば重量で叩き切るブロードソードや、魔法を付与した魔剣が主流だ。しかし、蓮が構えたそれは、戦場という極限状態において個が多を屠るために磨き抜かれた、古流武術の粋であった。

「抜剣しろ! 魔法障壁を張れ!」

 リーダー格の男が叫ぶ。同時に、数人の魔術師が詠唱を開始し、蓮の周囲を幾重もの青い光の壁が囲む。だが、蓮はただ静かに、刀の柄に手をかけた。

「――『気』を練る、という概念を教えてやろう」

 蓮の全身から噴き出した濃密な気が、刀身に吸い込まれていく。黒い鞘から解き放たれた刃は、ただの鉄ではない。白く、そして鋭利に発光する「概念の刃」と化していた。

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