表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝・書籍化!】融合スキルで武器無双!ゴブリンソードから伝説へ  作者: 田中ゆうひ
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/112

即死コンボ

 トレントに《ヴェノムエッジ》の脱力が効くことが分かった後も、僕たちは一階層に留まり、数度にわたってトレントを倒して連携を確認した。


 やはりトレント相手に脱力はかなり有効だ。それにマリィの「作戦」――といっても、脱力したトレントを蹴り飛ばして転倒させるだけのもの――が意外に重要であることもわかった。


 大切なのは再現性だ。トレントの動きを止め、こちらが確実に攻撃を叩き込める状況をつくる。ただ脱力させるだけでは、その後の動きはまちまちで安定しない。だが、転倒する方向を制御できれば一気に勝負を決められる。


 特にリリエットとマリィの連携は、戦うごとに磨きがかかっていった。マリィがトレントを前方へと倒し、そこへリリエットがアイスブランドで正確な突きを繰り出す。硬い外皮を貫くのは難しいが、顔にある目のような洞だけは例外だ。そこに突きが炸裂すれば、あっという間に勝負はつく。


「マリィもリリエットも、二人ともすごい連携だね」


 ドロップアイテムを拾い上げながら、僕は素直に感心して声をかけた。


「あたしは転ばしているだけよ。リリエットがすごいの」


「いや、私もただ倒れてきたところを突いているだけだ。むしろマリィのおかげだな」


 二人は互いに謙遜しつつ、、どこか誇らしげに笑みを浮かべていた。


「でも、これならトレントが同時に二体現れても、かなりスムーズに倒せそうだね」


 今までは僕が一体を受け止め、もう一体をマリィとリリエットに任せていた。武器の相性もあって二人にとっては少し荷が重かったが、今の連携なら十分対応できそうだ。


 前回の探索では、距離がある場合はナズカの魔法で一体を先に仕留めていた。しかし、これからは必ずしも必要ないかもしれない。魔法には回数制限がある以上、温存できるならそれに越したことはない。


「ねえ、ナズカ」


「やれやれ、僕はいつまでお預けを食らっていればいいんだろうね」


  僕が声をかけると、ナズカはむくれたように答えた。今回の探索では《ヴェノムエッジ》の効果を確かめるため、ナズカには魔法の使用を控えてもらっていた。退屈に感じるのも無理はない。


「それなんだけど、トレント相手なら魔法はなくても十分だと思うんだ」


「えっ……」


 ナズカは思わず声を詰まらせ、表情を固くした。ほんの一瞬だけ、取り残されたような顔をしたのが見えた気がした。


「その代わり、五階層の人食い花からはナズカに活躍してもらいたいんだ」


「……なんだ、そういうことか」


 安堵が混じったような声でそう言うと、すぐにいつもの調子に戻る。


「そうだね、僕の最強の雷魔法をトレント相手に浪費するのは、やっぱりもったいない。いいとも、五階層までは君たちに任せようじゃないか」


 ナズカは胸を張り、再び自信に満ちた笑みを浮かべた。


 * * *


 だが、五階層に足を踏み入れてみると、僕たちは思わぬ誤算に直面することになった。


 いや、誤算といっても、ある意味では嬉しいものだったのだ。


 ――人食い花には、麻痺も脱力も驚くほどよく効いた。


 つまり、魔法に頼らずとも、拍子抜けするほど容易に倒せてしまったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ