「皮の鎧」×「スライムゼリー(緑)」
今日も真面目にゴブリンダンジョンへ向かい、黙々とゴブリンを狩り続ける。
防具の融合は一日一回まで。残りの部位をすべて強化するには、あと四日かかる計算だ。
一瞬、もう第二層に降りてしまおうかという誘惑が頭をよぎる。
昨日買った回復ポーションがバックパックの中に入っている。
だが、例えば未強化のグリーブを狙われて怪我をし、身動きが取れなくなったら?
その状態でなぶり殺しにされたら?
そう思うと、ポーションを飲む余裕すらあるか分からない。
あくまでポーションは保険だ。最初から頼るようではいけない。
村を出てきてから半年、少しずつ前進してきたんだ。
あと四日くらい、我慢できないでどうする。
今日も二十体のゴブリンを狩り、素材はすべて売却する。
稼ぎはぴったり200ゴルドだった。
宿に戻って、いつものように食堂で夕食をとっていると、隣の席の冒険者たちの会話が耳に入ってきた。
「おい、聞いたか? 新しいダンジョンの話」
「西門のスライムが出るダンジョンの近くだろ? なんでも植物系の魔物が出るらしいな」
「稼げそうか?」
「どうだろうな、まだ情報は少ない。でもドロップが果物って話だ」
「果物か……旨けりゃ売れるかもな」
「ギルドの買い取り価格はまだ決まってないらしいぜ。しばらく様子見だな」
植物系の魔物、か。
火属性が効きそうだし、火花の両手槍なら相性がいいかもしれない。
それに果物がドロップするなら、鑑定できる可能性もある。
融合の素材として使えるかもしれない。
そんなことを考えていると、ネルコがエールを運んできてくれた。
ポーションを買ってからこの三日間、真面目にゴブリン狩りを続けていたおかげで、懐があたたかい。
今日は少し贅沢に、追加のエールを頼んでいた。
「新しいダンジョンが見つかったんだって?」
「そうよ。今日はその話題でどこも盛り上がってるわ」
「僕も今度、行ってみようかな」
そう言うと、ネルコはじと目を向けてきた。
「何言ってんの。見つかったばっかりで何も分からないのよ? ソロのユニスが行くなんて、危ないに決まってるでしょ」
そう言い残して、ネルコはさっさと厨房に戻っていった。
まあ、ネルコの言うことも一理ある。
とりあえずは様子見だ。防具をすべて鍛え終わったら、予定通りゴブリンダンジョンの第二層に挑戦しよう。
翌朝。
スライムゼリー(緑)と皮の鎧を融合する。
《緑色スライムの鎧 防御力4 刺突耐性+2 魔法耐性-1 ※ユニス以外が装備すると破損する》
なるほど、刺突耐性か。
斬撃耐性と打撃耐性の両方を持つ夢の防具を期待していたが、そう簡単にはいかないらしい。
火花の両手槍がスライムに効いたのも、もしかしたら刺突属性だったからかもしれない。
まあ、防御力が上がっているのは確かだ。
ナイフで切りかかられても致命傷になりにくいが、突き刺された場合はそうもいかない。
刺突耐性があるなら、それはそれで当たりだ。
しかし、融合の効果は申し分ないとしても、どんどん見た目がゴチャついてきている気がする。
緑色の鎧、青色の小手、黄色の靴、兜とグリーブはまだ何も融合していないので元の色である茶色だ。
まあ、見た目を気にして命を落とすわけにいかない。割り切るしかない。
朝食をとり、準備を整えて宿を出る。
掃除中のネルコが僕の姿を見るなり、少し怪訝な顔をした。
「なんか、最近どんどん装備がカラフルになってない……? 色は統一したほうがかっこいいわよ」
案の定、ネルコに言われてしまった。
僕だって、好きでカラフルになってるわけじゃない。
「アドバイスありがとう。参考にするよ。とにかく、行ってきます」
「まあ、ユニスがいいならいいけど…。
気を付けてね。
行ってらっしゃい!」