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【祝・書籍化!】融合スキルで武器無双!ゴブリンソードから伝説へ  作者: 田中ゆうひ
第三章

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致命の一撃

 アメジストリンゴとダガーの融合は――失敗だった。


 見た目こそ神秘的な紫色の刀身に変わったものの、攻撃力は変化せず、睡眠効果もなし。マリィの期待に反して、実用性のない結果に終わってしまった。


 だけど、気を取り直してダンジョンへと向かう。今の目的はあくまで三階層以下に稀に出現するという白毛のコボルトだ。


 コボルトのダンジョンは、すでに3階層までのルートを把握済みだ。メモを頼りに、迷うことなく3階層への階段に辿り着く。ここからが本番だ。3階層は敵の数が最大3体同時に出てくるし、黒コボルトもいるので油断できない。


「じゃあ、三体出てきたらマリィも前線に並んでね」


「ええ、任せて」


 マリィが右手にパラライズファング、左手にアメジストダガーを握り、気合十分に答えた。アメジストダガーは通常のダガーと攻撃力は変わらないがせっかくなので使うことにした。通常のダガーは予備として腰に付けている。


 三階層に足を踏み入れると、すぐに敵の気配。最初に現れたのは二体のコボルト。これは問題なく撃破。その次は単体のコボルトもあっさりと撃破、そして――


「三体だわ!」


 マリィがいち早く気づき、声を上げた。彼女は素早く僕の左に並び、武器を構える。


 三体とも、普通のコボルトだ。敵意をむき出しにして、こちらに向かってくる。


 接触の直前、マリィが素早く飛び出した。左端のコボルトの脇をすり抜け、背後に回る。次の瞬間、そのコボルトが不自然に動きを止めた――麻痺だ! すれ違いざまにパラライズファングで斬りつけたんだろう。


 僕は正面のコボルトに集中する。盾を構え、攻撃を受け止める。右側のコボルトは視界の端で捉えてるけど、心配はいらない。リリエットがしっかり対応してくれるはずだ。案の定、右からの攻撃は来ず、リリエットの剣の閃きがちらりと見えた。


 結果、僕らはそれぞれで一対一の状況を作り出した。マリィの動きが少し気になるけど、今は目の前の敵を倒すのが先。数合打ち合い、コボルトを倒す。


 すぐさまマリィのほうを見ると、麻痺が解けたコボルトと交戦中だった。攻撃はしっかり回避しており、危なげない。だが決め手に欠けているようだ。


「マリィ、行くよ!」


 すぐさま駆けつけ、加勢する。二対一じゃコボルトに勝ち目はない。あっという間に倒した。振り返ると、リリエットもコボルト相手にとどめの突きを放っていた。


「大丈夫そうだね」


 あたりを見渡しながら言うと、


「そうみたいね」


 マリィが軽く息を整えて答える。まだ余裕はあるようだ。


「大丈夫か?」


 リリエットが静かに尋ねる。


「ええ、これぐらい問題ないわ」


 その言葉通り、特に疲弊も見られない。新しい陣形はうまく機能しているようだ。三体をスムーズに捌けたんだから、成功と言っていいだろう。


 そのまま探索を続け、再び三体のコボルトと遭遇。


 先ほどと同じ隊列で迎撃し、撃破。ドロップアイテムを拾う。


 やはりこの隊列が今のところの最適解なのかもしれない、そう思った矢先、マリィが口を開いた。


「ねえ、ちょっと提案があるんだけど。あたしとリリエットの位置を変えてみない?」


「私は構わないが、何か考えがあるのか」


「パラライズファングを左手に持って、アメジストダガーを右手にしてみたいの。さっきの戦い、あとちょっとで麻痺したまま倒せた気がしたのよね。右手のほうが力入れやすいし、仕留めきれるかもって」


 なるほど。パラライズファングは、麻痺効果は強力だけど、鑑定上の攻撃力は4。アメジストダガーは攻撃力5で、切れ味も金属製のアメジストダガーの方が上だろう。攻撃力が高い方を利き手に持てば、とどめを刺せるかもということだろう。


「なるほど。左手で状態異常を入れて、右手でとどめ。理にかなってるね」


「そう。頭のなかで動きのイメージができてるから、試してみたいの」


 異論はなかった。


 そして探索を続け、本日三度目の三体編成のコボルトと遭遇。


 提案通り、僕が中央。右にマリィ、左にリリエットという並びで構える。


 コボルトたちが突進してくる。


 その瞬間、マリィがするりと前へ出る。右端の敵を狙い、すれ違いざまに左手のパラライズファングで切りつける。麻痺が入った。


 マリィはそのまま麻痺した敵の背後に回り込む。


 そして――


 動けなくなったコボルトの背後から首に左腕を回し、手の甲で顎を跳ね上げる。


 そして、露出した喉元に、右手のアメジストダガーを鋭く突き立てる。


 そのまま、刃を横に引く。


 喉を切り裂かれたコボルトは、反撃の暇もなく、その場に崩れ落ちた。


 あまりにも、鮮やかな一撃だった。

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