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【祝・書籍化!】融合スキルで武器無双!ゴブリンソードから伝説へ  作者: 田中ゆうひ
第二章

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32/112

懸賞金

 融合の光が収まると、僕の手には奇妙な武器が残った。


 骨と骨がクロスするように繋がった、見たこともない形の武器だった。

 一見すると十字型の打撃武器かとも思ったが、その割には持ち手などはない。


 鑑定。


 《ボーンブーメラン:投擲武器 攻撃力1 ※ユニス以外が使用すると破損》


「それはなんだ……?」

 リリエットが首を傾げながら言った。


「ボーンブーメラン、だって。投げて使う武器みたい」


「なるほど……」

 少し考え込むように眉を寄せたリリエットだったが、しばらくしてあっさりと口を開いた。


「ハズレだな」


 僕は苦笑しながら、頷くほかなかった。


 ***


 その後、僕たちはいったんそれぞれの部屋に戻って身支度を整え、夕食時刻に合わせて宿の一階にある食堂で再び合流した。


 ほどなくして、食事を運んできたネルコがテーブルに料理を置きながら、何気ない口調で話しかけてきた。


「ねえ、あなたたち、懸賞金の話はもう聞いた?」


「え、なにそれ?」


「やっぱり、まだ知らなかったのね」

 ネルコは得意げに微笑むと、声を落として続けた。


「ついさっきギルドの方で発表があったそうよ。トレントのダンジョンとサハギンのダンジョンに懸賞金がかけられるんだって。金額は──十万ゴルド」


「え、すごい!」

 思わず声が上ずった。


 十万ゴルド。

 僕が日雇いの肉体労働をしていた頃、日当はたったの百ゴルドだった。

 それが一気に千日分ももらえるなんて……。


「こんなので驚いてちゃだめよ」

 ネルコは楽しそうに肩をすくめた。

「過去にはもっと大きな額の懸賞金が出たこともあるんだから。それに、今回のやつはちょっと特殊でね──」


「……特殊?」


「懸賞金はどちらか、先に討伐された方のダンジョンにしか支払われないのよ」


「え、なにそれ。じゃあ、仮にトレントのダンジョンが先に攻略されたら、サハギンのダンジョンを討伐しても懸賞金はもらえないってこと?」


「その通り。先着一名様ってことみたいね」

 ネルコはにやりと笑った。

「明日ギルドに寄ってみるといいわ。掲示も出てるだろうし、ちゃんと自分たちで確認しておくことね」


「わかったよ。ありがとう」

 僕がそう言うと、ネルコは満足そうに頷いて厨房へ戻っていった。


 食事を口に運びながら、僕は向かいに座るリリエットに話しかけた。


「懸賞金……もしうまくいけば、大金が手に入るね」


「ああ」

 リリエットはうなずいたが、すぐに視線を上げて僕を見た。

「だが、さっきの話、どう思う?」


「先に討伐した方だけに懸賞金が出るってやつ?」


「そうだ」

 リリエットはまっすぐに言った。

「ギルドとしては、どちらか一方でも潰せればいいという判断なのだろう。だが、二つのダンジョンに同時に懸賞金をかけるのは、少し中途半端な対応にも見える」


「なるほどね。でも冒険者側からすれば、選択肢が広がるのは悪くないんじゃない?」


「それは確かにある。だが……私はギルド内で意見が割れたのではないかと思ってな」

 リリエットは静かに続けた。

「どちらのダンジョンを優先するか決めきれなかった結果、この形になったように見える」


「確かにそうかもしれないね。

 でも、実際僕らにとっては助かるかもね。」

 僕は一度言葉を区切った。


「実はね、最近ちょっと考えてたんだ。サハギンのダンジョン、四階層以降はリザードマンが出てくるって話でしょ?前に一体だけ倒したけど、あれは手負いだったし、戦闘もかなりギリギリだった。今の装備だったら、トレントのダンジョンの方が向いてるし、稼げるんじゃないかなって」


「私も同じことを考えていた」

 リリエットはうなずいた。

「トレントのダンジョンで稼いで装備を整えた方が、結果的にどちらの攻略にもつながるかもしれない」


「じゃあ、明日はまずギルドに行って情報を確認して、それから久しぶりにトレントのダンジョンに行ってみようか」


「ああ、それが良いと思う」


 そうして僕たちは食事を終え、部屋へ戻って休むことにした。

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― 新着の感想 ―
骨棍棒くんが素材として微妙すぎるwブーメランが活躍する日は来るのだろうか……
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