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ループした悪役令嬢は王子からの溺愛に気付かない  作者: 咲桜りおな
第二章 ルーファスの婚約者編
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王都に戻りました

 わたし達が王都に戻って来てから数週間が過ぎた。その間ルーファスの記憶は大きく改善される事はなかったが、それでもわたし達は婚約者として互いに城と公爵邸を行き来しては交流を深めていた。


 春の休暇も終わり、ルーファスは学園生活が再開した為一緒に過ごす時間は限られていた。こんな時に同じ学年だったら良かったのにとは思うけど、そればかりは仕方のない事だ。


 今年から弟のフィーニモが学園に入学したので、ルーファスの学園での様子はたまにフィーニモから聞かされる事がある。それというのもフィーニモはルーファスが王太子になってから正式にルーファスの側近の一人として任命された為、行動を共にする事が多いからだ。


(今までのルークが王太子だった時にはこんな展開はなかったのよね。元々ルーファスとは親しくはしてたけど)


 フィーニモはゲーム内でも攻略対象者ではないし、言うならば名前すら出て来ないモブ的存在だ。ただ、悪役令嬢とヒロインの弟という事もあってか容姿はかなりな美形ではある。


 ルークの失脚によって数人居たルークの側近達は出世コースから外れる事にはなったが、その中でも次期宰相候補と言われていたラムディ・シアーはルーファス直々に自分の側近として引き抜いたらしい。


 確かにラムディ以上に未来の宰相となるべき人物はなかなか見つからないだろうというのは、わたしから見てもよく分かる程の逸材だ。ルーファスが欲しがるのも納得する。


「今日もマーガレット嬢がまとわり付いてて疲れたよ」


 学園から帰宅したフィーニモがわざわざわたしの部屋までやって来て悪態をついた。馬車事故が起こる前はマーガレットは遠くからルーファスを見てるだけだったのに、事故以来急に彼女は積極的になったみたいだ。


(まさかマーガレットも転生者って事はないよね? 事故がキッカケで前世の記憶が戻ったとかやめて〜)


 ヒロインであるモニラが退場してしまった為、マーガレットを新たなヒロインとして物語が動き始めたとかあり得ない話ではない。ゲーム期間は実質まだ二年残っているのだ。


 もし自分がマーガレットとして転生していて、あの事故で記憶を取り戻したと仮定したらどう動くだろうか。ルーファスが推しキャラとして考えてみる。


 ルーファスには悪役令嬢のわたしという婚約者がいる。ヒロインからすると、モニラの立ち位置とそう変わらないだろう。今がゲームスタート時点だと思えば、出来る限りアピールして攻略したいと思うのは普通かもしれない。


 どうして好きな人が被ってしまうのだろうとも思うが、よくよく考えてみればルーファスもルークも攻略対象者だ。転生者が狙うのも当たり前だし、そうでなくともこの国の王子でありあの美貌だ。ライバルが多いのは当然の事だった。


(わたしだってルーク推しから始まったんだもの。人の事言えないわよね)


 そう考えると思わず苦笑いしてしまう他なかった。ルーファスの事は推し対象でも恋愛対象でも無かったけど、あっという間に彼の魅力に堕とされてしまった訳で。


(もう彼無しでは生きていけないくらいに好きになっちゃってるもの。困ったわ)


「あぁ、そういえば姉上。マーガレット嬢から言伝を預かって来ましたよ」


 どうやら部屋を訪ねて来たのはそれが目的だったらしい。


「マーガレット様から?」

「週末に我が家に訪ねて来たいそうです。姉上が気乗りしないなら断っておきますよ。いや、断りましょう。それが良い」


 勝手に断る方へと持っていくフィーニモ。弟なりにわたしに気を遣ってくれてるのが嬉しい。


「ありがとう。でもわたしも少しお話をしたい事があるし、せっかくなのでご招待致しましょう」

「本気ですか、姉上。無理する必要はないのですよ?」


 わたしの返答に目を丸くするが、むしろマーガレットには聞きたい事が沢山あるので丁度良い機会だ。


「大丈夫よ、心配してくれてありがとう」

「姉上がそう仰るのなら……ルーファスにも同席を頼みましょうか?」

「ううん、マーガレット様と二人きりでお話がしたいの。お願い」

「……わかりました」


 そう答えたフィーニモの顔は納得はいってないと書いてはあったけど、あえてわたしはそれには気付かない振りをしたのだった。

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