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王子様へのプレゼント

 その次の日から、私はミリアさんから色々と指導を受けることになった。


「フォルビア様いいですか、王族の誕生会に呼ばれるというのは大変すばらしいことなのです。それ故、多くの貴族の方々や大臣など上流階級と呼ばれる方々が大勢参加されます。その中で、万が一もう1度あのような挨拶をしてしまったら最後、フォルビア様の評価が駄々下がりになり、最悪貰い手がいなくなってしまうかもしれません。旦那様も貴族の端くれですがまだまだ、大貴族と言えないため、フォルビア様の教育が成っていないと判断された場合、それは旦那様の教育が成っていないということになってしまうのです」


「え……そんなに面倒な所だったの」


「はい! 言葉遣いに気を付けてください」


「ご……ごめんなさい」


ーーやだ、息が凄くつまる。


「では、挨拶から練習しましょう。練習すれば多少上達するはずです。誕生会は明日の予定となっておりますので時間がありません。速度を重視していきましょう」


 ミリアさんは私に色々叩きこんでくれたが、身に全く入っている気がしない。


 練習は夜遅くまで続いた。


「お父様……おはようございます……今日は良いお天気ですね……」


「す、凄い。あのフォルビアがここまで喋れるようになったのか!」


「はい。何とか、最低限の言葉使いは教えられたかと思います」


「これなら、何とか乗り切れるかもしれん……」


「私の名前は……フォルビア・ナーベスと言います。以後お見知りおきを……」


 私はこの時の記憶が無い。


☆☆☆☆


 その夜、私たちは王族の誕生日会に出席するためライアン王国にあるライアン城に来ていた。


ーーさすが王族、大きさが違うな。ずらっと並んでいる馬車は王族の方への贈り物だろうか。ものすごい数が並んでいる。お父さんは何を持ってきたんだろう。


 私はお父さんの方を向いた。


 ただ、お父さんの顔はすでに死んでいる。


「もしかして、お父さん。プレゼント忘れたの?」


 お父さんの頭は壊れたブリキのおもちゃのように震えながらこちらを向く。


 私に苦笑いを浮かべ、意気消沈した。


ーーなんともまぁ、頼りないお父さんである。


誕生日プレゼントと言っても、王族にあげられる誕生日プレゼントっていったい何があるの。金とか?


「ま! 何とかなるでしょ!」


しかし……


「入れません!」


「そこを何とか、頼む! 王、直々に招待してもらったんだよ!」


「例え、上官であっても王族へのプレゼントを持参されていない方は中に入れることが出来ない決まりなのです。上官も分かっておりますよね」


「確かにそうなのだが……そこを何とか! 今度お前が失敗した時、俺が何とかしとくから!」


ーー絶対に忘れてたな……。


「ダメなものはダメなのです! お帰りください」


 私は馬車を降り、近くの道に咲いていた花を一輪手に持つ。


 とても可愛い花だったので『これを誕生日プレゼントにしよう」と思ったのだ。


 私はそのまま、騎士さんの所に走っていく。


「あの~、これを王子様に……」


 私は一輪の花を騎士さんに渡した、周りからは啞然されていたが私は別に気にしない。


「ええっと、これはいいのですか……」


 騎士はお父さんの方を向いた。


「いい! それは、王子へのプレゼントだ! 間違いない! 私の娘が心を込めて王子にその花を渡すために来たのだ!」


「ダメですか……」


 私は子供の特典を使い倒す。


 涙でうるわせた瞳で上目遣いをする


「グ……。わ、分かりました。では、こちらからどうぞ」


「ありがとう! 今度絶対何かおごるから!」


 私たちは何とかお城の中に入れた。


「は~、本当によかった。よくやったぞフォルビア。あんなことを咄嗟に思いつくとは、さすが俺の子だ」


「何となくやってみたら、上手くいったよ。通してくれたから良かったけど。まぁ、何でもやってみることが大事だよね。上手くいかなくても、お父さんが怒られるだけだったから、躊躇なく出来たよ」


「フォルビア……そんなこと思っていたのか」


 馬車はお城の中にある大きな庭を掛けていく。


 馬車でもこれだけ掛かるなんてどれだけ大きな庭なのかと驚いていると、ようやくお城までたどり着いた。


 私たちは馬車から出ると、そのままお城の中に案内される。


ーーこんなお城、シンデレラになった気分だよ。でも、このお城を私は知っている。


 なぜならばこのお城はゲームによく登場してきたからだ。


 私の知っているお城は、もう少し先のお城なんだろうが、対して今と変わっていない。


「お父さんは今から王様に挨拶に行ってくるから、フォルビアはこの会場で食事でもしていなさい。すぐ戻ってくるから、大人しくしてるんだぞ」


「分かったよ、お父さん。私、いい子にして待ってるね」


 私はお父さんに笑顔を向けた。


「はは……本当にいい子にしているんだぞ」


 そうしてお父さんは王様のもとへ行ってしまった。


「それにしても大きなお城だな。天井、高すぎるよ」


 私は天井を見上げると大きなシャンデリアが輝いていた。


 いきなり明るい物を見てしまった私は、眼を細めて手で影を作りシャンデリアの光を遮る。


 すると、天井に描かれている壁画を見つけた。


「あの壁画、ゲームに登場してたな……」


 私はゲームの中の出来事を思い出し、少し興奮していた。


「やっぱりここはゲームの世界なんだ。もしかしたら、この場に登場人物がいっぱいいるかも。でもこんなシーン知らない。5歳児の頃なんてキャラクター設定にも書いてなかったよ」


 そうなのだ、ゲームが始まるのは主人公目線からの為、このような設定があるとは全く知らなかった。


 だが、ゲームに登場するキャラクターたちは皆、高貴な生まれの為、この会場にいること自体不思議ではない。


 私が最も合いたいのはドーラさんと言いたいが、やはりイザベラさんだろう。


 イザベラさんとは主人公と最も仲良くなり、友達思いの素晴らしいキャラクターなのだ。


 デザインも素晴らしく、その優しさからプレイヤーからは聖女と呼ばれ、親しまれていた。


「イザベラさん……イザベラさん、あれだけの美人ならすぐに見つかると思ったんだけどな」


 私は大広間に並べられている食事を皿に移しながら、イザベラさんを探す。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


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毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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