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お茶会開催

 その部屋はとても可愛らしい薄ピンク色の壁紙に、様々な動物のお人形、多くの花が飾ってある。


 大きなベッドと鏡、服を入れるクローゼット、ベッドの近くに丸テーブルが置いてあり、既に4人の女の子たちが椅子に座っていた。


「さ、こっちですわ。皆さん、フォルビア様がおいでになられましたよ」


「は、初めまして。フォルビア・ナーベスと言います。よろしくお願いします」


 私は軽く頭を下げ、4人それぞれの顔を見て驚愕した。


――1人はさっき会った、レオナさん。こちらを見て手を振ってくれている。


 他の3人を私は知っている。


 しかもゲームで相当重要なポジションの3人だ。


「ちょっと! どれだけ私を待たせたら気が済むのですか!」


――2人目に今、私を怒鳴りつけている、黒髪の眼がキリとした女の子。メナス・ユークリアさん。このゲームの悪役令嬢の1人である。


「まぁまぁ、落ち着いてくださいメナス様、フォルビア様も遅れようと思って遅れたわけではありませんわ」


――3人目、メナスさんを落ち着かせているこの、神が描いたかのような美少女がナナリア・ルシウスさん。ゲームの設定では第2皇子と結婚するはずになっているお方。


「………お菓子は、どこ」


――4人目は何と! こんなところで会えるとは……。ロメリア・アラストロさん。この小さい少女が将来、女性初の騎士団長になるなんて誰が思うんだろう。ゲームではあまり出てこないんだけど、そのカッコよさから凄いファンが多かったんだよね。


「もう! 皆さん、今日はお茶会ですのよ。楽しまないと損ですわ」


「フォルビア様こちらにいらしてください」


 レオナさんが開いている席を教えてくれる。


「うん……」


 脚の少し長い椅子に座る。


 すると、丸テーブルの為、もちろん相手の顔が良く見える。


――ま、眩しい……。自分の顔にちょっとでも自信あったのが恥ずかしく思える。


「では、イザベラ様。今、お菓子とお紅茶をお持ちいたしますので少々お待ちください」


「ええ、よろしくお願いしますね」


「失礼いたします」


――先ほどから触れなかったが、みんなの後ろにはそれぞれのメイドさんが静かに立っている。こんな光景、普通おかしいんだけど、この世界じゃおかしくないんだよね。実際、私の後ろにもミリアさんが立ってるし。き、気にしない、気にしない。


 少し沈黙の時間が空いたが、ある話題によってその沈黙は解消された。


「フォルビア様はレイス王子と踊られたのですか! 羨ましですわ。私、誕生日パーティーの日にお兄様の入兵式に出席しなければらなかったので出られませんでしたの。いったい、どんなお方だったんですの!」


「私もメナス様と同じでお兄様の入兵式に出席していたのでレイス王子を見られませんでしたわ。だから、どんな方なのかスッゴク気になります~」


 一番食いついてきたのは、メナスさんだった。


 その黒く鋭い瞳をこちらに向けられると凄くおびえてしまう。


「え……えっと、優しい方でしたよ」


 私は斜め45度方向を向き、それっぽいことを言い放つ。


「優しい方、そうなのですね……」


――メナスさん。何もう乙女の顔をしていらっしゃるのですか。そりゃあ……主人公ちゃんと王子を取り合う設定ですけど。


「お菓子まだ……なの」


――ロメリアさんは……お菓子の事しか頭にないらしいです。


 他愛もない話で盛り上がれるのは女の子同士のいいところ、すっかり話しこんでしまっている。


「皆さま、大変お待たせいたしました。お菓子とお紅茶にございます」


 イザベラさんのメイドさんが、ワゴンでお菓子を次々と運んくる。


――こんなにいっぱい、普通食べられないでしょ。


「皆さま、我が家のシェフが丹精込めて作ったお菓子、どうぞお召し上がりください。好きなものをどんどん取っていって構いませんからね」


 私たちの目の前に皿とフォークが置かれた。


 1番最初に動き出したのは、もちろんロメリアさんだった。


 眼にもとまらぬ速さで移動し、皿いっぱいにお菓子を積んでいる。


「ふん〜! ふん〜! ふん〜!」


――何とも嬉しそうな顔。鼻歌まで歌ってるよ。お菓子がすっごく好きなんだろうな。


「フォルビア様は何いたしますか? 私が取ってあげますわよ」


「いえいえ、イザベラ様にそんな手を煩わせることなんてできませんよ。自分でやりますから」


「あら、そうですの」


――なんかちょっとガッカリした顔をするのをやめてくださいよ。イザベラさんにそんなことをさせるわけにはいかないでしょ。


 ワゴンいっぱいに並べられていたはずのお菓子は見る見るうちに消えていき、綺麗さっぱりなくなってしまった。


「ふ〜、もうお腹いっぱいですわ」


「はい~、もう食べられません……」


「あれ……もうお菓子無いの?」


「うっぷ、ヤバイ、食べ過ぎた……」


「…………」


「美味しかったですわね。さすが我が家のシェフですわ」


ーーイザベラさんとロメリアさんの2人は、なんかまだまだ余裕あるみたいな顔してるんだけど、どうしてなの。レオナさんなんて食べ過ぎで声も出てないよ。


「そう言えば……皆さまは婚約のお話を頂いておりますの?」


「!」

「!」

「!」

「!」

「?」


 イザベラさんのいきなりの爆弾発言に、この場にいるほぼ全員がほぼ同じ顔をする。


「い……イザベラ様はそう言ったお話がおありで」


 メナスさんが引き攣った表情で質問する。


「はい、もう既に15名ほどの殿方から婚約のお話が入っておりますの。でもなぜかしっくりこないのですわ。どうしてなのかしら……」


――え……なに、イザベラさんは、そんなに多くの人から話が来てるの。しかも、しっくりこないって……。まだ5歳のいう言葉じゃないよ


「私はまだですわ~、でも別に焦ってはいません。時が解決してくれると思ってますから~」


 ナナリアさんは、何も心配していないみたいで微笑んでいた。


――それはそれでちょっと心配になっちゃうんだけど。


「わ……私はまだ、そう言った殿方と会ったことが無くて……。お家で病気の治療をずっと受けていましたから」


 レオナさんは顔を赤くして、俯いている。


――ううう……それも可哀そう。


「婚約って何? 美味しいの?」


 ラメリアさんはフォークを咥えながらテーブルに突っ伏している。


――貴方はやっぱりそうなんですね。お姉ちゃん凄く心配。て! 他の人の心配している場合じゃなかった。どうしよう。王子から婚約してくれって言われたことを話した方がいいかな……。いや、ここは言わない方がいいよね。実際、婚約は遠目に断っているような状態だし。


「どうなさいましたの、フォルビア様。何か考えているような、お顔ですわね」


――す、鋭い。


「い、いえ、私もまだ婚約はされてないです」


「婚約は、されてないということは何かほかにあるのですか? もしかして、恋のお話が聞けたりするのでしょうか」


「こ……恋!」

「恋」

「恋~ですの」

「鯉?」


 今度は私の方に注目が一斉に集まる。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


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毎日更新できるように頑張っていきます。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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