5-19.アルドシールの股肱の十臣
後書きがまた長いですごめんなさい(平謝り)。
その後しばらく、レギーナたちは朝の間に文献調査を進め、昼からは鍛錬に明け暮れる日々を過ごした。蛇封山の実地調査には王宮と軍から調査団を派遣してもらい、封印の洞窟の様子を調べてもらうとともに登山道の整備も依頼している。
アナトリア皇城の時とは違って現地の王族が友好的なのでヴィオレの隠密活動は控えめだったが、代わりに彼女は宮殿内外の蛇王に関する噂を多く仕入れてきた。それによるとやはり現代でも蛇王は恐怖の象徴のようで、市井では子供を叱るときなどに「悪い子にしてたら蛇王が来て食べられるよ」などと言うのだそうだ。
レギーナ、ミカエラ、クレアの主戦力3名はそれぞれ自己の戦闘技術を磨くのに余念がない。特にイブリースへの葛藤を抱えるレギーナは、それを払拭するかのように騎士団との模擬戦や体力強化に打ち込んでいた。ミカエラとクレアは王宮の宮廷魔術師たちの協力も仰ぎつつ、東方世界の魔力の理である“相生”の中で自己の魔術の最適化を図る毎日だ。
一方でアルベルトは、基本的には蛇王戦には参戦ができないため、鍛錬は主に新しく主武器となった段平“断鉄”の扱いに慣れることに主眼を置いていた。リ・カルンの近衛騎士団の中にも刀の遣い手がいたため手合わせや指導も仰ぎつつ、時々は刀匠の景季の所にも顔を出している。
レギーナは模擬戦において、最終的に王直属の近衛騎士全員に勝利した。手練も多く無敗とはいかなかったが、何度も手合わせを願って全員から少なくとも1勝はもぎ取った。
だが彼女がもっとも手合わせしたいと願った騎士ロスタムとは、面会すら叶わなかった。副王のメフルナーズにも直訴したが、「彼は王命で現在王都を離れているのです」と申し訳なさそうに言われてしまった。
ちなみに、王であるアルドシール1世との面会も叶わぬままである。というか王宮のどこに行っても王の影すら見当たらなかった。本当に存在しているのかと訝しんだりもしたのだが、ジャワドやダーナらも会ったことがあるというし、そもそも大王殿をはじめレギーナたちが立ち入れない場所も多いため、そうした場所にいるものと思われた。
「……で、どう?何か分かった?」
なのでレギーナが最終的に頼ったのは、やはりヴィオレである。
極星宮のお茶室で茶を楽しみつつ、蒼薔薇騎士団が揃ってヴィオレの報告を聞いている。
「それがねえ……」
なのにそのヴィオレですら口を濁すではないか。
「どうも新王陛下は、限られた公務以外ではほとんど姿を現さないらしいわ」
「そうなの?」
「即位してもう5年目だというのに、実務はほとんどが姉の副王と腹心たちが担っているようね」
「もしかして、傀儡ってこと?」
「それが、そうでもないらしいのよ」
表向きには、アルドシール1世は自分が先頭に立つよりも有能な配下を立てて任せる方針でいるとのこと。その筆頭が副王メフルナーズであり、
「……“アルドシールの股肱の十臣”?」
「ええ。新王陛下の逃亡潜伏時代からずっと近侍して支え続けた最側近たちを、総称してそう呼んでいるそうよ」
アルドシールの股肱の十臣とは、クーデターの際に唯一の王子であったアリアを守って王宮から落ち延びさせた者たちと、彼らが流浪しつつ支援者を募った旅の中、行く先々でアリア王子に協力と臣従を誓って集った者たちのことである。
即位後にアリア王子、新王アルドシール1世が自ら全員の名を挙げて顕彰したため、王宮内の序列とは無関係に彼らは特別視されている。あるいは重要な地位に就き、あるいは堅苦しいのを嫌って自由な立場に留まりつつ、アルドシール1世への忠誠は微塵も揺るがぬ者たちだ。そしてアルドシール1世のほうでも彼らを親愛し重用し、特に重要な役回りを与えることが多いのだという。
その筆頭が、クーデターに迎合せず軍権を剥奪されてもなおアリア王子個人に随従し、無事に王都を脱出せしめた騎士ロスタムと、弟とともにロスタムに守られて脱出し、生き残った王族の最年長者として反抗勢力の先頭に立ちつつ、弟の養育と補佐に徹した王姉メフルナーズの両名である。
彼らはアルドシール1世の新政権でも重要な地位に取り立てられていて、メフルナーズは新たに設けた副王に就任し、ロスタムは実際に軍を率いる最高位である諸将の将の地位に就いている。
「……だからロスタム卿は、王の密命を帯びて動いているというわけね」
「そういうことになるわね。そして何を命じられたのかは、明かされていないそうなの」
「……残念ね。宝剣の継承者だというから、是非とも会いたかったのだけど」
だが王都にいないのならばどうにもならない。戻ってくるまで待つというのも、いつ戻るか分からない現状では選択しづらい。
「会えりゃあ“覚醒”のヒントももらえたかも知れんばってんねえ……」
レギーナに負けず劣らず残念そうに、ミカエラが呟いた。
「仕方ないわ。自力で“覚醒”を目指すしかないってことね」
“覚醒”。
それは宝剣の能力解放の一種であり、レギーナが普段使いこなしている“開放”のさらに上のステージである。開放するだけでは宝剣は固有の特殊能力を発揮するだけに過ぎず、剣自体はなにも変化しないとされているが、覚醒に至ると、宝剣固有の本来の形態が発動すると言われている。
だが宝剣の覚醒に至るにはそれぞれの宝剣に定められた条件をクリアせねばならないとされていて、レギーナはまだその取っ掛かりすら得られていなかった。
「ユーリ様のアドバイスだけでは“覚醒”には至らなかったし、もしもロスタム卿が“覚醒”を得ているなら、と思ったんだけど……」
先代勇者ユーリはそれまでの戦いの中で、旋剣の覚醒に至っている。実際にレギーナも旋剣の覚醒を見せてもらった事があるが、開放とは全く次元の違う旋剣本来の姿に驚かされるばかりであった。
レギーナがもし迅剣の覚醒を体得できたなら、彼女の戦闘力はおそらく数倍にも跳ね上がるはずである。対蛇王戦でも強力な切り札になることだろう。
だが最悪の場合、覚醒なしで蛇王に挑むことになる。なるべくならそれは避けたかった。
「まあ、無いものねだりしたっちゃしゃあないばい」
「……分かってるわよ」
と言いつつ、何とも諦めきれないレギーナである。
「んで、話ば戻すばってん、その他の“十臣”はどげな人のおるとやろか」
「副王殿下とロスタム卿以外で王宮に出仕しているのは3人ね。他に隠棲したのがふたり、拝炎教の神官がひとり、遊んでいるのがひとり、あと行方不明がひとりいるそうよ」
「……なんなのよその遊んでるとか行方不明とか」
「遊んでいる、というと聞こえは悪いけれど。定まった官職を貰わずに身軽な立場を保っているのだと聞いたわね。元は旅の楽士で、リヤーフという名の殿方よ」
「うわ、なんか聞くだけで遊び人っぽかあ」
偏見でものを言ってはダメですよミカエラさん。
「まあ、私は別に関係ないからいいけど。出仕してるのは?」
「まず新王陛下がジャジーラトの地に落ち延びた際に援助してくれたという崇偶教の指導者のひとりで、ムサーイドという長老がいるそうよ」
「あー、崇偶教ば国教化したんはそん人への見返りっちゅう事やろね」
「それに、そのムサーイド老とともにかの地で軍を組織するのに功績があった、バースィラという女性騎士がいるわ」
「おー、女騎士ねえ」
「なかなか腕も立つそうだし、王宮内では新王陛下の側室候補とも噂されているわね。まあ本人にはあまりその気はなさそうだって話だけれど」
「私、多分手合わせしてないわ」
「そうでしょうね。今は近衛騎士ではなくて国軍の将を務めているそうだから」
つまり女騎士バースィラは、今は同じ十臣のひとりであるロスタムの配下の将軍のひとりということになるのだろう。
「あともうひとりは?」
「ラフシャーンという名の将軍ね。元は辺境サカスターンの辺境伯だったそうだけど、出奔してアリア王子の一行に加わって、今は北方面元帥を務めているそうよ」
「北、っていうと……」
「そう。事実上、蛇封山の監視と警戒が主任務らしいわね。今依頼している蛇封山の登山道整備もラフシャーン元帥の麾下が対応してくれているそうよ」
それは、顔を合わせた時にでも謝礼を述べておかねばなるまい。
「隠遁ふたり、ってのは何なん」
「ひとりは“賢人”ファルザーンという殿方ね。ロスタム卿の幼馴染で腐れ縁だそうだけれど、宮仕えしたくないと以前から隠れ住んでいたらしいわね」
「あー、居るねえそげな人」
「新王陛下の即位まではメフルナーズ殿下やロスタム卿と並ぶ功績があったそうだけれど、再統一が成ってからは褒美も全部断って、もとの棲家へ戻っていったそうよ」
「なんか、随分偏屈なお爺さん、って感じね」
「それがねえ、ロスタム卿と同い年って言うから今年33歳なのだそうよ」
「「若!」……くもない、か」
思わずミカエラとハモりつつ、でもアルベルトと2歳しか違わないならそこまで若くもないわね、と思ってしまったレギーナである。もちろん、今年40歳になるユーリのことを考え合せても、老け込むには早すぎる年齢だが。
「姫ちゃん今、おいちゃんのことば頭に浮かべたやろ?」
「えっな、そんな事ないわよ!?」
「姫ちゃん相変わらず分かりやすかあ」
「も、もうひとりはどうなの!?」
「アリア王子の護衛を務めた女性騎士で、ルシーダという西方人だそうよ。“輝剣”の先代継承者の娘だという話」
「「先代継承者がいるの!?」」
「レギーナには残念なお知らせだけれど、その先代継承者は先の内戦で廃人同様になってしまったそうなのよ。だからそのルシーダという騎士が引き取って介護しているのだそうよ」
「…………そ、そうなんだ……」
そういうことであれば、仮に会いに行ったとしても“覚醒”のヒントなど得られないだろう。ガックリ項垂れるしかないレギーナである。
「あとは……拝炎教の神官っちゅう人か」
「ナーヒードという女性神官だそうよ。年齢が分からないそうだけれど、新王陛下と出会った頃に20歳前後に見えたそうだから、わたしと同じくらいの歳かしらね?」
「出仕はしてないわけね?」
「拝炎教の総本山で今も神々に仕えているそうよ」
「おー。法術師の鑑やね」
「……で、あとは行方不明だっけ?」
「その人物が一番怪しいのだけれどね。本名も年齢も不明で、さすらいの男と呼ばれていたそうよ。旧王宮に突入するところまでは居たらしいのだけど、その後誰も姿を見ていないそうなの」
「え、それ戦死したんと違うと?」
「新王陛下ご本人が最後に話したそうなのだけれどね、『そろそろお暇する』と言い残して居なくなったのですって」
「…………それは、行方不明って言われるわけだわ」
それ以来さすらいの男を見た者は居ない。どこで何をしているのか、そもそも生きているのか、彼に関しては何ひとつ手がかりがないという。だがアルドシール1世は生きていてまた会えると信じているらしく、もしも彼が王宮なり公官庁なりを訪ねてくる事があれば手厚く歓待するように命じているのだそうだ。
「それとは別に、あとふたりいるのだけれどね」
「……え、もう10人出たわよね?」
「平民で身分が低くて、数に加えられなかったそうなのよ。でも新王陛下の覚えはめでたくて、今でも近侍しているそうよ」
「って事は、侍従とか侍女とかかいね?」
「その通りよ。侍従はミールという名で、新王と同い年でずっと苦楽を共にしてきて、互いに親友だと言っているらしいわね。それで臣下や民衆も彼のことは王の中の王の友と呼ぶそうよ」
「なんかそれ、ちょっとレギーナとミカエラに似てない?」
ブハッ、とミカエラが飲みかけた茶を吹き出して、レギーナに「ちょっと何よもう汚いわね!」とツッコまれた。
控えていた侍女アルターフが、サッとテーブルを拭いて茶器を取り替えていく。
「ちょ、いや、姫ちゃんさあ、そげな不意打ちマジ止めちゃらんかいな」
「なんでよ、思ったことをそのまま言っただけじゃないの」
「照れもせんと、しれっとサラッとそげんこつ言われたらウチだけ大ダメージもらうやんかて!」
と言っているミカエラの顔は照れているのか真っ赤で、それを見てレギーナの顔もみるみる赤く染まってゆく。
「えっ私、そんな恥ずかしいこと言った?」
「その自覚のないとこマジで怖かっちゃけど!」
「はいはい御馳走様」
「私、子供だから分かんないって事にしとくね」
「「ヴィオレとクレアのその塩対応っぷりもなんなの!?」」
なんなのと言われても、それ普段の蒼薔薇騎士団だけどね?とアルベルトが居たらツッコみそうである。
ちなみにヴィオレが語りそびれた侍女の方は、名をニルーファルという。ラフシャーンが拾って育てていた孤児で、いわゆる十臣の中でも最年少である。アリア王子が王都を落ち延びてから10年以上が経った今年でまだ16歳なので、逃亡生活の当時は本当に幼い少女でしかなかった。
そのため功績と呼べるものは何もないが、荒みがちになる逃亡生活の中で彼女の無邪気な笑顔が何よりも癒やしだった、とアルドシール1世は述懐しているという。
唐突に始まる百合展開(笑)。
まあ作者は百合書いたことないんで、ほんのりですけども。
この設定、本編に活かせる日が来るんだろうか……?
次回更新は、書ければ25日です。
そしてまた新キャラがわらわらと(爆)。
この中で何人が実際に出せるのかなあ?(汗)
【アルドシール1世と股肱の十臣】
10人+2人だけど十臣。「5人いるのに四天王」みたいなもんです(笑)。
[ロスタム] Rostam 642年〜
(アリヤーン人/男/独身/騎士/33歳)
国軍を統括する最高位である諸将の将の地位にある。いわゆる制服組トップで、彼の上には王と軍務卿(背広組トップ)しかいない。
国内最高の剣士で、“輝剣”クヴァレナの当代継承者でもある。ロスタムの名は伝説上の最高の英雄の名にあやかってつけられた。
[メフルナーズ] Mehrnāz「太陽の栄光」 650年〜
(アリヤーン人/女/独身/王女/25歳)
アリアの姉で先王の第三王女。美しくたおやかな大人の女性であり、その知性と美貌で臣下や民衆からの支持も厚い。だが適齢期も過ぎようとしているのに未だに婚姻しておらず、婚約者も仲を噂される殿方もいないため、密かに周囲をやきもきさせているとかいないとか。
[ルシーダ・エスティーマ] Lucida「最も明るい星」 647年〜
(西方人/女/独身/騎士/28歳)
父祖の代からリ・カルンに土着し生まれ育った西方人で、国内最強の剣士エスティムを母に持つ。ロスタムとともにアリア王子の王都脱出を助け、それ以来常に付き従った護衛騎士であり、また王子の剣の師でもある。
僭主を打倒して再統一を果たしたあと、廃人同然になってしまった母の世話をするためにアルドシールの元を離れて隠棲している。なお生活費その他は全面的に王宮から援助されている。
[ファルザーン] Farzān「賢者」 642年〜
(アリヤーン人/男/独身/賢者/33歳)
若くしてその智謀を称えられ、「賢人」の二つ名を持つ。だが人嫌いで皮肉屋で、騎士ロスタムとは幼馴染で腐れ縁。貴族の出身で一度は出仕したものの、すぐにその豊かな知識と才能を嫉妬されて陥れられ放逐され、若くして隠遁生活を送っていた。
ロスタムに連れられてやって来たアリアに請われてその覇業に多大な貢献をしたものの、「仕事」が終わるととっとと元の棲家に帰ってしまった。なのに今でも年に一度はアルドシール1世が(遊びに)やって来るので迷惑しているとかいないとか。
[ナーヒード] Nāhīd「明星」
(アリヤーン人/女/独身/法術師/年齢非公開)
年齢不詳(教えてくれない)の謎の美女で拝炎教の炎官。見た感じは20歳前後。10年前から美貌に全く衰えがなく、そのため神の化身とか痩人の血が混じってるとか色々言われるが、本人は妖艶に微笑むだけ。
現在は拝炎教の総本山である聖山の大拝火院の幹部のひとりで、王宮には年に数度しか顔を出さない。
[ラフシャーン] Rakhshān「閃光」 632年〜
(アリヤーン人/男/バツイチ/貴族/43歳)
辺境サカスターンの辺境伯の家系に生まれて、自身も辺境伯を継いでいた。ロスタムとは遠縁の間柄になる。享楽的な性格で、妻に逃げられたあとも孤児二ルーファルを拾って育てたり、落ち延びてきたアリア王子について行くために全てを捨てて出奔したりと、やる事が破天荒。
アルドシール1世が再統一を果たした現在は、誰もなり手のない北方面元帥に就任して蛇封山の監視と警戒を行っている。
[リヤーフ] Riyah「風」 644年〜
(トゥーラン人/男/独身/吟遊詩人/31歳)
元は旅の吟遊詩人。見目の良い色男かつ美声の持ち主で、軽妙で洒脱。浮いた噂は数知れず、女好きのチャラ男遊び人……と見せかけて実は?
[ムサーイド] Musaid「助力者、援助者」605年〜
(ジャジーラト人/男/既婚者/長老/70歳)
アレイビアに落ち延びたアリアたちを受け入れ、その要請を容れて軍を起こした。崇偶教の指導者のひとりで、リ・カルン国内の布教活動を目論んでいる。
[バースィラ] Bāsilah「勇敢な、果敢な」 645年〜
(ジャジーラト人/女/独身/騎士/30歳)
アレイビアの女騎士。アレイビアのとある部族の長の娘で、ムサーイドの紹介でアリア一行と出会い、若き王子を気に入って仲間に加わった。自分の部族の若者を中心に組織した軍を率いて、当時の王都ハグマターナまでの血路を切り開いた功労者。
現在は国軍において外国人部隊を率いる将軍のひとり。豪放磊落な性格で婿の来手がないのが悩み。
[サール・ガルダーン] sar-gardān「さすらいの」
(出身不明/男/独身?/旅人/年齢不詳)
本名不詳、年齢不明。アリア王子の逃避行の道中でなんとなく同道することになった謎の人物。アリアたちを助けて旧王都に乗り込むまでは一緒だったが、その後ふっつりと行方が分からなくなった。
[ミール] Mir「平和」「世界」 653年〜
(アリヤーン人/男/独身/従者/22歳)
賢人ファルザーンの小姓だった孤児の少年。同い年のアリア王子と親しくなり、無二の親友として腹心として苦楽を共にした。
アルドシール1世の即位後は「王の中の王の友」(šāhān šāh bandag)と称され、最側近として近侍している。
[ニルーファル] Nilūfar「青い蓮、睡蓮」 659年〜
(アリヤーン人/女/独身/侍女/16歳)
ラフシャーンが拾って育てていた孤児。彼が出奔してアリアに随行した際に一緒について来て、それ以来アリアの侍女を務めている。
【その他】
[エスティム・エスティーマ]Estim 627年〜
(西方人/女/独身(未婚の母)/剣聖/48歳)
宝剣“輝剣”の継承者。軍務卿(僭主)に個人的に怨みを買っており、クーデターのさなかに呪いをかけられ一時的に隷属していた。王都の地下水路から脱出しようとするアリア王子を追い、追手を防ごうと向かってきた愛娘エミーナを殺してしまう。
そのことで錯乱し制御不能になったため、長らく王城の地下牢に囚われていた。アリア王子が軍務卿を倒したあと救い出されるが、すでに心身が崩壊しており、ロスタムに宝剣を託してエミーナの双子の妹ルシーダと余生を送っている。




