5話
庭園の入口には、見慣れたアッシュ色の髪をした青年が立っていたのだ。
見忘れるはずが無い、少し大人びた顔つきになっていたが、猫目と幼さの残る顔立ちは、いつも一緒だった。
「スレッド!!」
「走ったら危ないですよ。姉様」
思わず駆け寄るレイナを優しく抱きとめながら、スレッドは注意する
意識不明になる前は、レイナと身長も変わらなかったはずだったが、今のスレッドは、レイナより大きい。
淑女たるもの走ったらいけないと、言われていたが久しぶりの再開に感動してしまった。
許して欲しい。
「まぁ、スレッド!こんなに大きくなったのね。」
「そりゃそうですよ、スレッド様は来年レイナお嬢様と一緒に入学する位立派な大人になりましたから。」
嬉しさの余り、はしゃぐレイナを宥めながら、ポプリが言う。
いつの間にかスレッドの分の紅茶まで、入れ直してくれていたようだ。
「そうなの?凄いわ!!」
ゆっくり席に戻ると、ポプリは嬉しそうに紅茶を入れてくれた。
昔からレイナが大好きな時間だ。
「姉様落ち着いてください、病み上がりですよ」
「そ、そうだったわ。」
「この様子なら、学園も大丈夫そうですね」
「ええ、そうね。」
魔法学園は、基本的には16歳から入れる。
それは、大体の人が魔法に目覚める歳が、16歳位だからだ。
本来レイナも入学しているはずだったが、事故により意識不明になった為、入学が1年後になってしまった。
16歳から入学が出来るが、人によっては魔法に目覚める時期のズレがあり、早い人や遅い子もおり。
基本的に15~17歳から入学が多いため、レイナは余り気にして居なかった。
ただ、スレッドは昔から魔法の才能があったのは確かだ。