39話
静かな書斎で一つ、うっすらと炎が燃えている。
時刻は深夜、周りには人の気配すらない、そんな時刻だ。
月も隠れたそんな夜、影が二つ書斎の炎とともに立っている。
「また失敗か……」
そんな声を発したのは、白いローブを深くかぶった人影だ。
背丈もそれほど高くないが、月の色で輝くローブはまるで月夜の使者のようである。
「まぁ、いつものことデスネ」
片言に近いその声は、黒いローブを被っている人影だ。
二つの影はともに、ろうそくを手に持ち向かい合っている。
「ちょっと、うまく行ってないデスネ」
「またそんなノンキな事を言って、だれかが脚本を変えているんじゃないの?」
「そんなハズ……聖女でもない限りありえないデショ」
手に持っている本を開きながら、ローブの影は楽しそうに笑っている。
真正面に座っている白いローブは、そんな影を見ながら思わず口元に手を当ててしまう。
彼がこうなってしまっては話にならない。
いや、話にならないどころではなく「使えない」が正しいかもしれない。
思わず立ち上がって怒鳴りたくなる衝動に耐えながら、「もう一人」を見つめて大きくため息を吐いた。
似たような姿形をしていて、それでいて「全然違う自分」には、正直不快すら覚えてくるのだ。
これ以上彼を煽ってはいけない、嫌な予感に白いローブの人は咳払いをして話をそらすことにした。
「では、このまま聖女を連れ出してみますか?」
「嫌、いやいや、別の方法を考えよう」
「別の方法?」
「そう、ボクだって創造できるでしょ?いや、想像?なんでも一緒ダネ。
ここを少し変えてみようと思う」
そう言って「もう一人」は楽しそうに笑うのだった。




