データベース 暴走する
シャーロットは、今回の事でショックが大きかったようで。
1度戻るという事になった。
もちろん国王も関わっている以上、簡単に聖女を降りる事はできないけど。
「んーーー、これで少し落ち着くかしら?」
ひと悶着が終わって、背伸びをするレイナにスレッドも大きくうなずく。
「そうですね。戦争にならないなら良い事です。」
「シャーロットが下りるって言っても、あの状態じゃどうなるか分からないわね。」
治療術が特級で、ましてや神様の声が聞こえる少女。
そんな素敵な存在を国王が野放しにするとは、どんなバカでも想像できる。
……私にこの力をくれた子は、何をさせたかったんだろ?
川に転落して眠り続けた間、何か大事な夢を見ていた。
最近その内容が、ぼんやりになっている様に思えた。
まるでだんだん大事な情報が上書きされていくような……。
そう考えると、ゾっとしてくる。
もしあの時大事なものを教えてもらっていたんじゃないか。
「貴方は私に何を託したの‥‥…?」
覚えているのは、「お願い、助けてあげて」という泣きそうな声。
そして自分がデータベースという、情報を教えてあげる「役割」になっている事。
そして誰かが死んでしまうという事実。
自分が映像として見ていた夢を最近消されている状態になっているのに、レイナは恐怖を覚えていた。
これも神の気まぐれなのかもしれない。
……そんな事させないんだから。
「どうした?眠り姫が凄い顔になっているぞ。」
眉間にしわを寄せて考えていたのだろう。
いつの間に目の前にいたジョシュアが、屈みこんで声をかけてきた。
「きゃ!殿下!」
「ああ。すまない、おどろかせたか?」
思わずのけぞるレイナに、彼は楽しそうに笑った。
その表情に、思わず見とれてしまう位、彼の笑顔は久々に見た気がする。
……こんな笑うと、少年みたいなのね。
気づかなかったジョシュアの表情に、無意識に胸が痛い事にレイナは気づかなかった。




