4話
少し険しい顔をしながら、お医者様は仰ったのだ。
「足だが、怪我してから寝たきりだったから、一応治癒術等はしたんだが、歩ける可能性は低いかもしれん。」
つまり、体がショックを受けて歩けない可能性があるとの事だった。
しかし、そんなに精神が弱くはなかったらしい。
私は、1ヶ月もするとリハビリも慣れ、普通に生活が遅れるようになっていたのだ。
なんか、お医者様にごめんなさいと謝りたい気分だ。
ポプリは、歩けなかったらと泣いていたのに、あっさり歩いた私に爆笑までしてしまうし。
我ながら神経の図太さに関心してしまう。
「そうね、これなら本邸にも意外と早く行けそうね。」
ニコッと笑うポプリに、釣られて笑った。
ここはスコトス邸の別荘で、本邸はまた違う場所にある。
元々別荘で、スレッドと使用人達といたのだが、スレッドが学園に入学したのをきっかけに、本拠地を本邸に移したらしい。
なので、ここは最小人数しかいない。
個人的には少ない方が居心地がいいが、悠々と遊んでいられる訳ではない。
それに、スレッドにも1度もあっていない。
記憶では泣き虫だったのに、既に学園に行く年齢になっているのに驚きだ。
しかも、目が覚めてから1度も会いに来ていない。
……お姉ちゃん悲しいわ。
「レイナお嬢様は、スレッド坊ちゃんを気にしすぎですよ、あれでも今お年頃なんですから」
「んー、でも私の中では泣き虫スレッドのイメージしかなくて。
また泣いてないか心配になるの。」
「大丈夫ですよ、坊ちゃんは。
それに泣き虫スレッドとか言うと怒られますよ。」
くすくす笑いながら、 ポプリは紅茶を入れてくれた。
ありがとう、と受け取ると庭に視線を向ける。
この庭で良くスレッドと走り回ったものだ。
「私には、いつまで経っても可愛い泣き虫な弟よ。」
「それは、心外だな。」