38話
「え……。」
シャーロットの目線の先には、ジョシュアとサイト、そしてその後ろに慌てた様子のスレッドが立っていた。
「姉上、すみません……」
そう言ってしおらしくなっているスレッドに、レイナは「気にしないで」と笑う。
実際、殿下とサイトがスレッドのいう事を聞くわけがない。
それはレイナも分かっていながら、少し時間稼ぎをスレッドに頼んだのだ。
まぁ、それも良いところまで粘った方だと思う。
実際、シャーロットが何を思って「聖女」になりたいか分かったし。
「そんな、殿下やサイト様まで……」
「シャーロット様の言葉、聞いてしまいすみません。」
ジョシュアは優雅に頭を垂れた。
まさか殿下に言われると思わなかったのか、シャーロットも慌てたように「顔を上げて下さい!」と言っている始末だし。
「で、殿下は何か思いついたんですか?」
「まぁ、話を聞いた限り。
シャーロットが何故聖女になりたいのか、その意味は理解したよ。」
ボっと顔を赤くするシャーロットが可愛いと思える。
レイナはそんな彼女の頭をなでながら、目を細めた。
……データが消えてない、まだデータベースとして動けってことか。
シャーロットがジョシュアやサイトに興味がないと知ったら、データ自体の表示が消えると思ったが。
そんな事は微塵も起きていない。
つまり神の遊びはまだ続いているってわけだ。
「でも、このまま聖女になってしまっては戦争になるし。
そうなった場合、一番戦場にでる可能性があるのは、エディだしなぁ……」
「そんな、エディ様が?!」
何気なくいうサイトに、シャーロットが驚いたような表情で聞く。
「ああ、だって彼は騎士団長の直属の部下だから。
そりゃ戦いになった場合、彼が一番出る事になる。」
そういうと、サイトはにやりと笑ってシャーロットを見詰めた。
そして彼はこう言った。
「貴方が聖女になって、彼の頭痛などを完治したら余計その可能性が高いですね。」と。
……腹黒!!
思わず声を出しそうになって、レイナは口に手を当てた。
もちろんその可能性も無きにしも有らずだけど。
でもシャーロットにそれを言うのが、明らかに狙っているだろう。
それはレイナ以外、スレッドやジョシュアも思っている様で。
特にジョシュアは慣れているのか、呆れたような表情で見ていた。
「そんな……。」
「嫌なら、気安く聖女になるって言わない事よ。」
すかさずレイナが言うと、ついにシャーロットは泣いてしまった。
でもこればかりは、彼女をサポートするつもりはなかった。
……だって、私の人生もかかっているもの!




