32話
☆
シャーロットが正式にジョシュアの許嫁であると公表されたのは、直ぐの事だった。
冬白には、正式に巡礼を受ける予定でその儀式によって、聖女としての名をもらう事になる。
聖女と名乗れるのは、神に祈りをささげる「巡礼」を儀式として、1週間しないといけないのだ。
その間に、きちんと「神の声」を届けれたら正式に聖女という名がもらえるのである。
もちろんそれは、学園でも持ち切りであった。
授業に関して、シャーロットの事をまるで王妃の様に扱う生徒もいるくらいだった。
「相変わらず、シャーロットの人気が凄いわね。」
カフェテラスで、優雅に紅茶を飲んでいるレイナの隣には、珍しくスレッドでは無くサイトが座っていた。
飄々とした笑みで、周りの人に手を振りながら「でしょーねぇ」なんて、のんきにいっている。
「で、サイト様はどうして私を呼んだんですか?」
「それは、コストレイス嬢が一番知っているんじゃないっすか?」
実はスレッドの選択科目が終わるまで、レイナは此処で時間をつぶしていたのである。
幸いにも、シャーロットの「ジョシュアとの展開」を神様が望んでいるようで、スレッドに頭痛などは起きていなかった。
だから別に気にもしていなかったのだが、スレッドが「姉様は一人ではだめです」なんて言うもんだから、こうして一緒に変えるのが毎日の決まりみたいになっていたのである。
……正直、サイト様って苦手なのよね。
内心で大きなため息をつきながら、レイナは隣で優雅にケーキを頬張る青年を見詰めた。
騎士の家計である、リーダス家の三男であり、殿下の護衛騎士。
そして飄々とした性格で、女好き。それが表立って知っている事。
……でも実際は、女好きでは無く敵や警戒を解くための演技なのね。
データベースの力で見えるサイトの情報は、彼の「役者」としての実力だった。
だから、下手に嘘もつきにくくなっていた。
そしてもう一つ、見えているのは「レイナ嬢が怪しい」とか「ライについて調べている警戒中」って言葉なのである。
「レイナ嬢は俺の考えがみえているんでしょう?」
相手もレイナの調べている事に警戒しているようだし、レイナは自分を振るい立たせながらサイトを見詰めた。
「そうですね、少し違いますが思っている事というか、単語的に見えるだけです。
なんか警戒されているようなので、単刀直入に話します。」
「なんすかね?」
「私が情報を見える人は、スレッド、殿下そしてサイト様です。
でも、なんとなくもう一つ気がかりがあるんです。」
「気がかり?」
2年間見続けていた映像には、シャーロットなる「主人公」は、4人の男の子と交流をしていたのである。
その4人目は、サイトと一緒にいる人物だった。
しかしそれを、レイナは一度も出会っていなかったのだ。
「私が知っている人物は4人でした、3人は貴方たちなのは知っています。
4人目の…‥・白銀の青年をご存じではないでしょうか?
あの人と会うと、何かわかる気がします。」
ヒュッと目の前の人物の息をのむ音を感じられた。
でもそんな事を気にしている余裕はない。
あと1か月で、冬白の季節に足を踏み入れてしまう。
聖女になった暁には、本当に戦争の火種になってしまいかねないのだ。
……そんなの、やっていられるもんですか!
「サイト様が私を警戒しているのも知っています、でも私はシャーロットを聖女に仕立て上げるのは、この流れは良くないって思っているんです。」
「そいつを紹介して、君になんの得があるんだ」
少し冷たい言葉に、レイナは思わず身構えてしまった。
たしかにその通りである。
青年をシャーロットに紹介する訳でもなく、レイナが知ってなんの特になるのか。
それはレイナ自身も分かっていない。




