30話
秋を表す金の月、もとい「秋金」の季節がやってきた。
そして冬白には、シャーロットが聖女としてデビューを果たすとジョシュアからの手紙が届いている。
つまり、国王がシャーロットを聖女にし、なおかつジョシュアと婚姻させる予定にしているのだろう。季節的にも聖女にふさわしい冬なのだから。
しかし、それと合わせて、なぜか最近王都周辺にモンスターの存在が耳に入ってくるようになった。
レイナも父のリチャードが慌ただしくしているのを何度かみている。
モンスターもとい、魔獣は基本王都には入ってこない、それは歴代王都が聖域であった為守りに特化した壁が出来ているからだ。
コストレイス家の領土である、離れた地には昔から森に魔獣が出ており、王都から離れた場所ほど魔獣の被害がある。
しかし、なぜこんな都会にくるのだろうと、レイナは内心不思議にっていた。
「魔獣といっても、魔犬みたいなもんでしょ?」
「でも、魔犬だって領土でさえ中々奥に入らないといなかったのよ?」
1年間意識が戻ってから生活していたから知っているが、基本魔獣は人里に入ってくることはない。
彼らが飢えて入る位か、もしくはより『マナ』という魔力がつよい人がいるくらいである。
しかしそのマナも等に枯渇しており、今では白魔法ですら『マナ』に近くはないと言われている。
だからシャーロットでも違うと思うのだが。
「最近王都に出ているとサイト様から聞きました」
そういうスレッドは、不安そうなレイナにサイト様達騎士がいれば大丈夫ですよ、と伝えるしかできない。
実際、魔獣の討伐は魔法使い等より、騎士の剣が効果が良いのだ。
「姉さまは色々悩みすぎです。」
「でも、スレッドは隠しているよね」
「データベースを使わないでください」
…ち、ばれたか
とレイナは内心舌打ちをしつつ、最近スレッドがレイナに隠し事をしているのに気づいていた。
魔獣の件しかり、王族の関わりに足を踏み入れさせないようにしている
なんていうか、殿下と話す時すら警戒するのだ。
そんな所が可愛いと思う姉馬鹿ではあるが、流石にこの話は聞きたかった。
レイナ自身そんなに強い魔法が使えるわけではないが、もし、スレッドや父親、また殿下になにかあったら示しがつかない・・・・。
そんなことを考えて、はた?っと固まってしまった
・・・・わたしなんで殿下に何かあったら?って思ったのかしら?
きょとんとした姉に、いぶかし気にみてくるスレッドに愛想わらいをしつつ、自分に不思議になってしまう。
・・・・殿下はもうすぐシャーロットと婚姻するのだ。
「私はデータベースの仕事が終わるのよね。そして領地に戻ってゆっくり・・・」
ずきっと胸がいたみ、ふと胸に手を当ててしまう。
殿下がシャーロットと並んでいるのを見るのがつらい、しかしそれが何でなのか分からないのだ。
・・・これは病気、どうしましょう!
まさか胸に、いや心に病気ができてしまったのだろうか。
ズキズキ痛むこの心をどうすればいいのか、しかしスレッドに話すと余計心配される。
とりあえず、レイナは愛想笑いでスレッドを誤魔化しつつ、自分の一番信頼できるポプリに相談することに決めた。
悲しい事に、レイナは眠っていた子供時代から現在にいたるまでこの感情を親馬鹿と姉馬鹿によって阻止されているのをコストレイス家みんなが知っている事実である。
そしてレイナ自身、それが何かは分かっていなかった。
「ポプリ、ご飯を食べたらちょっといいかしら?」
「はい、レイナ様」
「姉さま、俺はダメなんですか?」
思わず聞いてくる弟に、レイナが困ると助け船を出してきたのはポプリだった
「女性のデリケートな話ですよ、スレッド様」
ポプリの言葉に顔を真っ赤にしたスレッドを見て、なんとも申し訳ない誤解をさせた気がしたが、レイナはそれ処ではない
だって、ずっと胸がいたいのだ。何か病気の可能性がでてきた
そんなレイナの様子を、リチャードは嬉しそうに見つめポプリも内心微笑んでいたのは言うまでもない。
しかし、何もわからないスレッドは心配そうに見て来るだけだった。




