24話
お待たせいたしました。
父親との食事を終えたあと、レイナは自室に戻るとポケットから紙を取り出した。
高級な用紙で書かれた紙は、インクも高級なのか滲みすらしていない。
これは、食事後に席を立つ際にリチャードがそっと渡してきた手紙である。
基本、レイナ宛に届く手紙は爵位を狙う縁談が多くリチャードが最初に目を通す。
以前は開封すらしなかったのだが、川に溺れてから
リチャードも気を引き締めなおしたのか、はたまた父の命令なのか、リチャードは開けるようになった。
レイナ自身、恋の文などしていないから開ける事に抵抗はないのだが。
今回は珍しく開封していないのだ。
理由は宛名をみて、すぐに分かった。
「殿下からだわ。珍しい。」
ジョシュアからの手紙ならいくらリチャードでも開封は出来ない。
レイナは一応、光にかざし偽物か確かめたが、呪らしきものも見えない、ら
「まさか、文とは。可愛らしい所もあるわ」
開封してみると、殿下らしい挨拶と面倒臭い日常の話が最初にくる。
……多分これがメインかしら。
2枚目には、そんな社交辞令と打って変わってレイナを苦笑させる内容だった。
【さて、コストレイス家も話は聞いているだろう。
父上である王が、聖女様に気に入っている内容だ。
シャーロットは確かに、白魔法で一流かもしれない。
しかし、今の彼女はどっちつかずである。
俺としたら、シャーロットに喝を願いたい。
大丈夫、コストレイス家の眠り姫なら簡単だろう。
始業式には頼むよ。ジョシュア】
「何が頼むよ。よ!」
バンッと思わず手紙を叩いてしまった。
つまりジョシュアは、レイナに丸投げしたのだ。
頭を抱えたいのは、レイナ自身もである。
……なんでイライラするのかしら。
無駄にイラつきを感じながら、レイナは息を吐いて呟いた。
「関わらないで、逃げるのはいけるのかしら?」
データベースだが、シャーロットに関わらないでいるつもりが、知らぬ間に関わってきている。
頭を抱えたくなるのを耐えながら、レイナはひとまずスレッドに相談することにした。
☆
パタンと小さく音を立てながら、極力静かにシャーロットは自室の扉を閉めた。
父があまりバタバタ音を立てるものじゃないとに指導した為、気づいたら身についた所作だ。
戸締りは厳重に。そう使用人に言われていたが、シャーロットは、バルコニーに続く窓を開けて外にでた。
ちょっとだけ内心言い訳をして。
深夜の夜空は綺麗で、シャーロットの不安を取り除いてくれるように感じた。
屋敷を囲むように生えた木々は、ひんやりとした夜風に騒めき、怪しい音を立てている。
シャーロットはバルコニーの欄干寄りかかると、祈りの姿をしながらため息を吐いた。
「主よ、私は聖女になるんですか?」
ぽつりと呟くと、風に乗って流れていく。
彼女は不安だった、別に聖女になりたい訳ではないのに、周りに流されてるようで。
信頼できるのは、祈りを捧げる【神】くらいなのだ。
神の声に従えばいいのだろうか。
シャーロットが思い出すのは、昼間にあった出来事である。




