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データベースなら、華麗に逃げてみせます  作者: なつやさい
データベースと王族
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データベースと聖女


火月も後半に差し掛かってきた頃、シャーロットの聖女への儀式が行われる通達が瞬く間に貴族たちの間に広がった。

 それは、コストレイス家も同じで食事をしていたレイナはその話に眉間にしわを寄せた。


「聖女って何よ。聖女って。」


「姉さま、声を抑えてください。」


「だって、スレッド。シャーロットが白魔法が強い神に愛されし少女だとしても、もっと肩書がつくって事よ?」


招待状に嫌そうな顔をするレイナに、スレッドは苦笑しながらたしなめる。

あの一件以降、スレッドは不思議な頭痛とかなくなり普通に食事をとってくれるようになった。

それがレイナとしては嬉しく、浮かれていたのだが。


「しかし、そうなると姉さまの言っていた話が困りますね。」


「困る?」


 コテンと首をかしげると、スレッドが「んん!」っと咳払いをして近くにいた執事やメイドを下げさせた。つまり聞かれてはいけない話であろう。

レイナもそっと近くにいたポプリに合図をすると、彼女は紅茶を注ぐとそっと部屋を出てくれた。

 

 それを見送った後、スレッドは紅茶を口にしながら目の前のレイナを見つめる。

実はスレッドにはあの一件以降、レイナは自分の事を話していた。それは自分がスレッドやそしてサイトなど他の人の情報が見えてしまう事。

これが何を意味しているかは、詳しくは話しては居ないがスレッドは思っていたことを当てられて信じてくれたのがレイナには心強い。


・・・・・・一人で抱えていた分、スレッドがいてくれるのはありがたいわ。


スレッド自身、神に愛されし少女の力を体験しているからか。はたまた自分の姉だからか信じてくれたのだ。

そしてこのことは、ジョシュアやサイトには伝えないように言っているので、このような話をするときは人払いをしてくれるようになった。


 苦笑するスレッドに、焼き立てのパンを頬張りながらレイナはぷーっと口を膨らませた。

ありがたいが、偶に弟より兄のような表情をするのがしゃくに触る。


「姉さまが、もしそのデータベースなら。多分神様はシャーロット様を幸せにする予定なんですよな。」


「だと思うわ、だから昔からシャーロットには声が聞こえたのかなって。」


「でも、聖女なら。まぁ、シャーロット様の気持ちは置いておいて将来的に殿下と結婚するじゃないですか?

まぁ、シャーロット様がそれが狙いなら神様はその言葉を聞いて、良いように運命を書き換えたとします。

でも、姉さまは俺とかサイト様の情報がまだ見えるんですよね?」


「ええ、そうね。因みに今欲しいのは腕時計ね。

今度一緒に見に行きましょうね、スレッド。」


そっとスレッドを見ると、「お姉さまと同じ腕時計」と頭に浮かんでくる。

その通りに思っていたことを教えると、スレッドは少し顔を赤くして視線を外しながらぶつぶつ文句をいっている。

 すねたかと思ったが、まんざらでもないようでトーストを頬張りながら「約束ですよ。」とつぶやいているので、ひっそり微笑みながら「もちろんよ。」とつぶやいた。

他者がスレッドは姉馬鹿だというが、レイナも弟には甘いのだ。


「ええと。だからつまりは、このままシャーロットが聖女に任命されたらスレッドとかの情報が見えなくてもいいんじゃないか?って事よね。」


「そうですね。姉様が何故そのような(役回り)になってるか分かりませんが。

俺やサイト様はたまに頭痛がありますし、まだシャーロット様の好みであることに間違いないかと。」


「うーん。よくわからないのよねぇ。

殿下とシャーロットが仲良い姿もあまり見ないし、元々加護の力が強いから国王陛下が気に入っていたけど、特にそれといって何故いきなり聖女にすすめ始めたのかしら?」


聖女に任命されれば、間違いなく王妃に任命されるのも長い。

レイナ自身、シャーロットが任命されても良いが彼女がそう望んでいたようには見えなかったのだ。


「やっぱり、姉様は隠れてないで。ジョシュア様とかに伝えたほうがいいんじゃないですか?」


「隠れてないけど。なんか言うのは怖いのよ・・・。」


ぎゅっと、ナプキンを握りながらレイナは苦笑した。

自分が一度投げ捨てた命だ、好きに生きる予定だったが、なんか知らない間にいろいろ巻き込まれてる。


自分だけならいいが、神が弟に手を出すのはレイナは許せなかったが、それよりジョシュアに気味がられるのも結構堪えるものがある。

それが何なのかわからないが、無意識に手を胸に当てる姉の姿に弟は寂しそうに笑うのだった。


「とりあえず。俺は遠回しに相談してみますね。

大丈夫です、俺の頭痛の件を知っているから、ジョシュア殿下も気にかけてくれてますし。

まぁ。神様は信じてるか分かりませんが、悩まないでください。姉さま。」


「そうね。」


ふっと笑うと、ポプリが「そろそろ旦那様がいらっしゃいますよ。」とドア越しに伝えてくれたので、そっとドアをあけポプリやスレッドのお付のメイドを中に引き入れた。

 リチャードが何事もないように、食事を用意するので二人もそのまま姿勢を戻し食後の紅茶を飲みながら父を待つのだった。


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