18話
「スレッド!落ち着きなさい!」
まさか、スレッドがそんな事を考えるとは。
急いで外に出てみると、今にも食いつきそうに睨むスレッドと、泣きそうな顔のシャーロット、そして胸元を掴まれているジョシュアが目に入った。
ジョジュアは仮にも王族であり、この国の王子だ。
もし殴ったとあったら、スレッドもだがコストレイス家が迫害されてしまう。
姉として出来るのは、頭に上がっているスレッドを止めるしかない。
嫌な予感がしていた、レイナは、スレッドがシャーロットに興味がある姿を見せてなかったから、大丈夫だろう。と余裕をしていた自分を殴りたくなった。
大人びて見えるが、スレッドはまだ14歳なのだ。
姉が大好きで、恋など知らない子供だと思っていた。
しかしよく考えたら、あの映像にいたではないか。
「スレッド!落ち着きなさいって!」
「姉様離してください!
俺は殿下が許せないんです!」
何とか胸元から手を離させると、それでも食ってかかるスレッドに、レイナは思わずビンタをかました。
「え……」
キョトンとした表情のスレッドに、ビンタをしたままレイナはまっすぐ見ていた。
彼女の瞳は怒りに燃えていた、それを感じ取ったのか、痛みでなのか段々、スレッドの焦点があっていく。
彼女が弟を叩いたのは初めてだったし、スレッドも叩かれたのは初めてだった。
乾いた空気の中、シャーロットがゆっくりレイナの近くに歩み寄るまで、誰一人動けない。
「手を出してください……」
「シャーロット様。」
「ジョシュア様、レイナ様の手当をして来ます。ここは失礼します。」
凛とした声を発しながら、ジョシュアの返答もまたずにシャーロットはレイナを引く。
まだピリピリ痛む手を見つめながら、レイナはその流れにのるしかなかった。
彼女はショックだったのだ。あの状況でレイナ自身、どうすればスレッドを止められるのか分からなかったし、まさかあんなに暴走してしまうとは考えもしなかった。
夕暮れに近い時間帯で、学園はもちろん図書館も人が居らず、二人の女子生徒の影が広い廊下に伸びる。
真っ直ぐ歩くシャーロットの表情は読み取れず、それがレイナには不安を仰いだ。
……あれは、スレッドがシャーロットを好きだから嫉妬よね。
自分の恋愛はそっちのけだが、恋愛小説を沢山読んだので相手の心情がわかる。
それだから、レイナは余計唇を噛み締めた。
データベースとしては個人情報が分かるが、あまり見たくないのが本音だ。




