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データベースなら、華麗に逃げてみせます  作者: なつやさい
データベースの学園生活
14/41

14話

 

 レイナがジョシュアと出会って翌日、昼日中の食堂。

いつものように、学園限定のオムライスを目の前に浮かれ気分で席に着いた。レイナがこの学園に入って最初に知ったのは、このオムライスの美味である。

 もちろん領地の屋敷で働く、料理長のオムライスも美味だし、今住んでる伯爵家の料理長のオムライスも美味である、どちらも兄弟だから美味しいのは当たり前なのだが。

 このオムライスは絶品すぎて、入学してから毎日購入してしまっている。いまではシェフに「ああ、いつものね」と言われる始末である。


……仕方ないじゃない、美味しすぎるんだもの。


 もうチップを大量に投げたいくらい、見事にレイナの舌を奪ったこのオムライスを食べる為に学園にきているようなものだった。

しかも、いつもなら目の前にいて「たまには違うのも・・・」というスレッドが今日はいないのである。


 たくさんの令嬢などがいる学食は、お昼の為か空いている席があまりなかった。

もっと上の階級の物は、特別に席があるだろうが、レイナはそんな事で揉めるほど気が短くもない。

せっかく購入したホカホカオムライスを早く食べたいのだ。

 周りを見回すと、ちょうど中庭の見える位置のテーブルに空いているスペースを見つけた。

4人掛けのテーブルは、1人しかおらず、場所も取っている雰囲気もない。


「あの、ここいいでしょうか?」


 レイナが声をかけると、座っていた人が顔をこちらに向けてくれた。桃色の髪に青い空のような瞳、どこかのお人形を思わせる女性に、レイナは思わず声をあげそうになった。


……シャーロット様?!


そこには、神に愛された子こと、シャーロットが座っていたのだ。さすがに遠くからしか見たことがなかったから、気づかなかったが、シャーロットも何かを食べていたのか驚いたように口に手を当ててもごもごしながら、コクコクと小さい子供のようにうなずいた。

 

「お食事中だったのね、ごめんなさい。」


とにかく座らないと失礼だろうと思い、シャーロットの向かい側の空いてる席に座った、

 食べていたパスタを飲み込んだのか、シャーロットはレイナを見つめながら嬉しそうに笑った。


「大丈夫です、はじめましてですよね?聖伯の娘でシャーロット・メサイアといいます。」


まっすぐレイナを見つめる空色の瞳が、きらきらして見えてこれは神に愛される訳だわ。などと、能天気な事を考えてしまう。

鈴のような声といい、可愛いお人形さんのような表情といい、確かに肩書かピッタリな少女はこういないであろう。


「シャーロット様は、聖伯なのね?」

「はい、この前父がいただきまして・・・。」


 聖伯とは、最近設けた爵位だったはずである。聖なる力に強い人がいる伯爵だけが与えられるらしく、男爵家の中でそのような爵位になるのは多分メサイア家だけであろう。

 つまりそれほど、シャーロットの治癒力が強いという事なのだろう。この見た目から考えられないが、国王が大事にしている理由もなんとなくわかる。


……こんなぽやぽやした感じなら、大事にしたくなるもんね。


 シャーロットはマイペースな人だった。見た目は間違いなく整っているが、たれ目の印象もあって人をなつかせるのが得意そうな雰囲気をしている。

それにスレッドと違い、のほほんとした犬のような印象をレイナは持ってしまった。

 人を引き付けるのがうまいのだろう、それも無自覚で。これが神様からのプレゼントなのかわからないが、警戒していたレイナも緊張がストンと落ちてしまい、思わずおしゃべりに夢中になってしまった。


         ☆


……あの映像の女の子と仲良くなってしまった。


 実際その「ゲーム」を夢の中でみている状態だったので、自分の立場が「データベース」という脇役なら関わらなければ大丈夫と意気込んでいた。

しかしそれがあっさり、攻略対象のジョシュアとシャーロットに会ってしまい早くも作戦が崩れてしまっている。

 レイナはズキズキする頭を押さえながら、唇をかみしめた。


シャーロットと別れてから、一気に情報が流れてくるのだ。

これが「データベース」というやつかわからないが、ジョシュアの事を伝えなければならない。という欲求が口から出てしまいそうになる。

 はたから見たら、ただのストーカーのような情報まで頭に流れてくるのは勘弁してほしいくらいだ。


……これが、神の遊びなのね。シャーロットに話せってことね。


 神が遊びをするために、どうしてもシャーロットとジョシュアを引き合わせたいようである。

でもそんなの自分がしなくてもいいじゃないか、とレイナは耐えていた。

中庭のベンチまでくると、頭痛は収まってくるのを感じた。


「本当にやっかいね。」


……自分がこの「遊び」につきやってやるもんですか、死ぬくらいなら逃げてやるわ。


シャーロットに一切情報を離さないのは、それは抗う意思の表れだった。

 ゆっくり中庭のベンチに座ると、ふわっとした春のにおいが鼻に突いた。このにおいがレイナは大好きだった。

 その匂いに交じり、緑魔法特有の間隔で夏のにおいを感じ、レイナは大きく背伸びをするのだった。



もうすぐ夏がやってくる。

 




 

聖伯は私の勝手な爵位になります。

正式にはないので、ご注意下さい。あと、緑魔法やら緑属性とかも。

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