10話
「そういえば、スレッドとレイナも学園に入るという事だから伝えておこうと思う。
同級生になるだろうが、【神に愛されし少女】が入学することが決まった。」
「神に愛されし少女ですか……?」
聞き覚えのないレイナは、首をコテンとひねりながら目の前のスレッドを見つめた。
彼は知っているのか、苦笑をすると空中に指先を回し、魔法で書類を出すと手渡してきた。
食事中にお行儀が悪いが、父もリチャードも指摘をしないところを見ると、目を通せという事らしい。
「えっと……、14歳の少女が光魔法の治癒魔法をすべて取得?」
2年前の記事だから、レイナが事故に会って眠る当たりであろう。という事はレイナと同じ年の女の子という事になる、
この世界の治癒魔法は、光魔法でも覚えるのが難しい。神から授けられた力が治癒魔法といい伝えが有るほどだ。
だからこの世界には、治癒魔法を使えるお医者様は少なく、より強い力のあるものは王都で専属医をやっている人がいるほどだ。
どれもレベルが高いのもあり、年齢層は上でコストレイス家の専属医師のようにお爺ちゃんが多い。
それでも14歳で、すべてを取得したという事で治癒魔法の高難易度をクリアした少女、つまり「神に愛されし少女」という事だろう。
「すごいわ、私と同じ年で治癒魔法を完璧につかいこなせるなんて。」
「全くですよ、俺も治癒魔法はまだ完璧じゃないですし。」
少しスレッドがすねたように口をとがらせているを見ながら、レイナは口に手をあてて笑った。
しかし、魔法について天才と言われるスレッドより、光魔法では完璧だという少女にレイナは引っ掛かりを覚えた。
その記事には写真もないので、自信がないが。「神」という単語だからだろうか。
「国王も気にいっているようで、学園に入学が決まったらしい。
ただ侯爵家の人間とかでは無く一般人だったそうだ。」
ワインを口に運びながら、仮にも教師である父は少女が気になっているようで少し気になっている表情をしていた。
それはスレッドも同じだったようで、うーんと悔しそうにしている。
……一般の出なのね。やはりあの子なのかしら?
夢でみた少女なら、自分はあまり関わりあいたくない。
黙りこくった二人に父が苦笑して「気に留めるだけでいい」と言ってくれた。
それは国王のお気に入りになってきている子だから、そのうち王子にも合わせる可能性があるという事だろう。
この国はすべて国王が決めている、それが王族の決まり事だ。
レイナも父のあとを継いで、いずれお見合いをしなければならないだろう。しかし父の親馬鹿と2年寝ていたという事もあり、その話は今のところ無い。
しかしいつ来てもおかしくない、それが侯爵家の長女の決まりなのだ。
「わかったわ。お父様、私も気に掛けることにするわね。
彼女の名前を聞いても大丈夫かしら?」
「ああ、彼女はシャーロット・メサイア君と言ったはずだよ。」
「姉様大丈夫ですか?明日からの学園生活。」
「大丈夫よ、それに困ったらスレッドもいるし、学園には父様もいるんでしょう?
何かあったら相談するし、皆心配しすぎよ。」
まったく、この家族はどんだけ子供だと思っているのだろう。と胸をはって答えると、二人は顔を見ながら心配そうに苦笑するのだった。
☆
スレッドと供に入学して一か月、最初だけポプリのいない生活に苦労していたレイナも今では慣れてきていた。
学園には従者は連れてこれないので、ポプリがいない生活が慣れていなかった。
父やスレッドが心配していたことが、これだったのか。と内心ため息をつきながら、それでも生活を続けるのはひそかなレイナの楽しみだった。
そして、もう一つレイナは学園に入って気になったことがあった。
……やっぱり、このデータベースの力ってあの夢の男子だけ限定なのね。
そう、スレッド以外で夢で見た男性2人も学園で出会ったのだ。
しかも一人は、この国の王様の息子であり王子だったではないか。学園で会長を務める王子を見たときに思わず倒れてしまいそうになったのはいい思い出だ。
「どうして王子なのに気づかなかったのよ、私。」




