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加速する町作り

 スライムに電気を流して、分泌液ネバネバを吐き出させずに我慢してもらうと、蓄電ができる。

 しかし蓄電量には限界があるようで、飽和すると分裂を起こして、新たなスライムが誕生する。


 ――さて、それでは蓄電量の限界はどの程度なのでしょうか?


 電流を量る方法がないので、こればかりは体感で覚えるしかありません。


「ど、どうしよう……」

「……どうしようと言われましても」


 よーし実験しちゃうぞー♪ という勢いで遠慮なく試し続けた結果、更に三回の飽和を引き起こしてスライムが五匹に(エリカ含む)。

 新たに誕生したスライムはエリカの周りで、地下室内に転がる木片に(ほお)をすりすりとしたり、一度体内に取り込んでからベッと出してみたり、まるで好奇心旺盛な子供のように色々なものへ触れています。


「なんとなく限界量は(つか)めてきたけれど、五匹……」

「……まさかスライムの増殖まで連続で成功してしまうとは、思っていませんでした」

「このままの勢いで増やしていくと、ここはスライムの村になってしまいそうだ」


 人間八人、スライム五匹。すでに多めの割合です。

 絶滅を危惧されていたほどのスライムを増やせるのなら、きっと良いことなのでしょうけれど……。これをみんなに、どう説明すれば良いのかな。

 しかしそんなことを考えている私を、ニコが不思議そうな目で見つめてきます。


「どうした? ボクの顔に何か――」

「いえ……。どうして困っているのかなぁ、と思いまして」

「スライムが増えてしまったからだろう」

「蓄電量が増えて困るのでしょうか?」


 ――ニコ、スライムを完全にバッテリーだと思っています!

 でもそういう役割を果たしてくれるのなら、多くても良いのかな。ネバネバも手に入りやすくなりますし。

 ただ。


「統率が取れなければ手に余るだけだと思うんだ。エリカはともかくとして、他のスライムと意思疎通を取れるのか。そこがわからないことには――」


 不安と疑念を混ぜ込んで発した言葉に、今度はエリカスライムがピョンピョン跳びはねて『こっちを見て!』と合図を送ってきます。

 するとツノを真上にピンと立てて、瞬間、他のスライムたちも同じくしてツノを縦にシャキッと伸ばします。

 そしてエリカの後ろへ整列。

 エリカのツノがビシッと右を指すと、スライムたちが右へ向き。次いで左にツノをビシッとすると、回れ右で左へ。


「凄いな」

「……ちゃんと統制も取れているようですね」

「エリカ、この子たちにビリビリをしてもいいのか?」


 ツノでうんうんと頷かれます。


「よし――。じゃあまず、この子」


 同じスライムのように見えて、瞳の色、大きさ、体の青の濃さ、透明感、一体一体に違いがあります。

 最初に生まれた子は目が黄金色。ブルーとのコントラストが美しく、優美な印象を受けます。


「とりあえず、君から試させてもらうぞ」


 両手で触れて、ゆっくりビリビリを開始。

 最初は弱くじっくり、そこから段々と強くしていって……。『あふぅ……っ』という表情のところでストップ! これ以上は(おう)()か出産の二択です! って、もしかして吐いていたのは悪阻(つわり)の一種? 私、ひょっとしてエリカを妊娠……ゲフン。なんでもありません。


「ニコ、電源プラグを」

「はいっ」


 スライムちゃんの中へ、差すように電源プラグを投入。こうなってくるともう、本当に持ち歩けるコンセントみたいだなぁ。

 先ほどと同じハンマードリルに繋いでもらって、レバーを引きました。

 ギュウイィィィン――。


「成功だ」

「よかった……。今後はリタがやってきた作業を、みんなに振り分けることもできるのではないでしょうか?」

「電動工具を動かすためにはボクが近くにいなければならない。その制約が外れたわけだ」

「それに防衛だって、統率が取れているなら!」

「……なるほど。スライムと一緒に町を守れば良いのか」


 それから私たちは地上へ出て、みんなにこの出来事を報告。

 さすがにスライムの増殖には一様に目を丸くして驚かれましたが、蓄電ができることと、統率が取れていること、そして防衛の力にもなるかもしれないこと――。

 これらを全て説明すると、新しい仲間として彼らを受け入れてくれました。


 更に、せっかくだから八人に合わせて八匹まで増やして『一人と一匹』の状態を作ってみてはどうだろうという提案があり、八匹へ増加。

 スライムは膝丈ぐらいで小さいけれども、重い物を持つこともできます。

 エリカだって今まで、私のそばにいるだけに限らず自分にできることを探して、色々なことをサポートしてくれました。

 そのサポート力が全員に行き渡ると思えば、復興速度は間違いなく加速の一途です!

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