表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/106

エリカ、進化する ①

 マルシアちゃんが来る(ころ)に木板作りが終えていなければ、ガラス板との交換ができない――。

 ということで、ニコと二人で急いで丸太を板に変える作業をします。


 ニコとマルシアちゃんは期日を設けてお互いに納品する量まできっちり決めていたそうで……。その納品する木板が、倉庫にたんまり(たくわ)えられていたものだったそう。

『そこまで詳しい話は聞いていないのだが……』と伝えたところ、ニコはマルシアちゃん経由で知らされているものだと思っていたようで。

 報告・連絡・相談の(ほう)(れん)(そう)って大事ですねぇ……。


 なにはともあれ、壁に使った分を一気に再生産しなければ、信用問題です! 相手は大企業でこっちは中小零細のようなもの!

 これは町と町……っ、いえ、今は町と国。もしくは国と国の問題です!

 大規模ですし、これは直接取引。行商人のパーカー夫妻が間に入ってくれるわけでもありません。

 ……そういえばロメール領はどこの国家にも属していないわけで、そうすると私たちは何人になるのでしょうか? ロメール人?


「ニコ、この町は今、どこの国にも属していないよな」

「仕方がないとはいえ、見放されてしまいましたから……。正式には、そうなると思います」


 残る都市を防衛するためには、やむを得ない。その事情は察しますけれど、私は王族のかたとも知り合いなので少しショックです。

 そうでなくとも、安定して(はん)(えい)を続けた国家に対する忠誠心は国民全体で高い(けい)(こう)でしたから、私以外の人だって――。

 救いとなるのは、私たちのような生存者の受け入れだけはしてくれている、ということでしょうか。

 マルシアちゃん経由で(うかが)った話では、その生存者、つまるところ『難民』の受け入れについてもかなり(しん)(ちよう)を期したようで、すんなりと違う土地での生活というわけにはいかず、(いま)だに(かく)()()()がとられているとか。


 生存者に見せかけて犯人が(まぎ)れているとか、衛生が悪化した(かん)(きよう)で数日を過ごしたことによる(かん)(せん)(しよう)への(きよう)()――――。

 正しいことだとは思いますけれど、(つら)い目にあった人がもっと辛い目に()って、それでも失ったものを()(もど)せるわけではない。

 理解せざるを得ない事情の中に、ありとあらゆる()()(じん)さを()()んだような(じよう)(きよう)です。


「ボクはダリア領で国家の樹立を宣言した。しかし、それをもって国が国と認められるわけではないと思う。人口は八人。商業面はまだ貧弱で、法は一つも無い」

「……ですね。しかし国家樹立の宣言というのは、どうやってするものなのでしょうか?」


 国連とか無いですからね。

 一応、王都から更に山を()えた先には幾つかの国がありますが、(やま)()えが厳しすぎて戦争にならないぐらいなので、ほとんど()(えん)状態。

 命がけの貿易商人が情報と物品の(はし)(わた)しになっているそうです。


「王族のマルシアに宣言したわけだから、ボクたちの意思はしっかり王都にも伝わっているだろう」

「あの――、ずっと気になっていたのですが、それで戦争になったりとかは……」


 女の子が八人集まってだけでは、戦争と言うよりただ侵略を受けるだけです。国防費なんて当然ゼロですから。


「千年も大きな戦争をしてこなかったのだから、しないと思う……けれど。情勢としては千年の中で最も()れているのだろう。ここが経済的に成り立って価値があるとわかれば、武力行使という可能性の否定は……難しくなるかもしれないな」

()(ちゆう)に山があるわけでもありませんし、私たちには防衛能力が無いです。仮にダリア領で食い止めてもらえたとしても、リオネロ領の側から攻めてこられると……」


 難しくて、考えたくない話。私は一つ溜め息を溢しました。


「いざとなったら『(あく)()の力』で――と、何度か考えてはいるのだけれどな。ボクだけでは多勢に無勢だ。そもそもエリカを生み出したあとに気絶しているから、遠くから人を攻撃するような方法を連発するのは不可能だろう。脅しにしかならない」


 もし国家樹立を目標とするならば、この問題は今後、大きなものとなりそうです。


「確か……日本という国では、電力を作る()(せつ)があったのですよね?」

「ああ。発電所があった。発電方法は色々あるけれど、この場所ですぐに再現することはできないだろう。ボクには専門の知識も無い」

「では、作った電力を(ちよ)(ちく)する方法は無かったのでしょうか? LEDライトや電動ドリルはバッテリーというものに電力を()めているようですが、あれの大型のものなど――」

「もちろんあった。だがやはり専門の知識がなければ無理だ。自然のものでもないから、いくらこの世界と日本のあった世界に(るい)()(てん)が多いとしても――」


 グリフィールドと呼ばれるこの世界には、レコブロック、ココの実、スライムなど、全く違うものが多数存在しているわけで。

 うーん……。でも、違うところに活路がある……とか。

 元の世界に存在しなかったものに(ちく)(でん)できる可能性はあるのかな?

 例えば――。


「ニコ、少しお使いを頼まれてくれないか?」

「なんでしょう」


 そう言って小首を傾げる姿が愛らしいです。


「ココの実を一つと、エリカを連れてきてほしい」

「わかりました。エリカさんなら多分、日課の()(なた)ぼっこをしていると思います。すぐに連れてきますね」


 水分でできたスライムの日課が日向ぼっこ……。

 最近はお日様も全力を出していますし、蒸発して()からびなければ良いですけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ