役割分担
木工品を売るという仕事ができたわけですから、そろそろ八人の作業内容を再分担していかなければならないでしょう。
ターシャは農作物担当で固定。マリーさんは医療方面の画策を。ニコは商家の知識と飛び級少女の才能を活かしてもらうとして……。
ニーナは骨折している限り重労働不可なので、全体の調整役になってもらいましょう。武器は明るさです。
そうなると、残るは三人。
「ボクの他に木工品を仕上げられる人が必要になるのだけれど、ウサリア、一緒にやってくれないか?」
ウサリア=アンコート。この町で生まれ育った中の一人で、両親は傘職人だったそうです。
「う、うさは、その。物作りができるなら、喜んで!」
一人称が『うさ』というのが愛らしい。ニコと同じく可憐なタイプの人です。
「助かるよ。あとは、アルしゃん。デザイン面での力を貸して欲しい」
「デザインのことなら、任せなさーい」
間延びした口調で幼く感じますけれど、実は最年長なのが、このアルしゃん。
本名はアルテミシア=キャスパーなのですが、学校入学が周囲より遅れたため『アルさん』と呼ばれることになったのだとか。
しかし本人が馴染まなかったらしく、自ら『アルしゃん』と呼ばせたと。ちょっとした違いで一気に身近になりますね……。
将来は服飾デザイナーになりたいそうです。
こんな状況だから夢を諦めないといけないとか、そういうことは無いですから。むしろ夢をハッキリ持ち続けてくれることは、みんなの希望になります。
「最後にマリメロだが……」
「わ、私もですか?」
マリメロ=アンダース。学年は一つ上ですが、産まれた月は私とほとんど離れていません。
落ち着いていて、どこか温もりのある語り口。いつかはロメール領で保母さんになりたかったそう。
色々な町から子供を集めてきいますから、その仕事には需要がありました。いつかもう一度、マリメロの夢が叶う町にしていきたいです。
「その、工作は苦手でして……」
言うとおり、コップ作りで一番苦戦していたのが彼女です。
苦手分野に無理をさせる必要も無いでしょう。
「マリメロには工作ではなく、ターシャと一緒にみんなの生活が上手く回るように手伝ってほしい。しばらくは木工食器と町造りに重点を置くことになるから、そこのサポートをしてもらえると助かる」
「あ……、そのほうが助かります」
眉尻を下げて、安心したような表情を見せてくれました。
「物作りよりは接客業みたいなことのほうがいいか?」
「そうですね。人と接していると安心できるタイプなので」
「なるほど――、わかった。行商の他にも人が訪れる可能性があるから、とりあえず一泊でも休める宿を作ろうと考えている。しかし形だけ作ったところで対応する人がいなくては、どうしようもないからな。いわゆる『おもてなし』を任せたい」
「は――、はい!」
「人を招くことができるようになれば、町の復興にとって好ましい一歩になるだろう」
三人はここへ戻ってきた当初こそ、気落ちしていましたが。
コップ製作の辺りから顔色が良くなってきて、今では気兼ねなく接することができます。
私は電動工具の利用方法を考えたり、使い方を説明しながら…………ドアを作ったり床を作ったり…………!
要するにDIYライフを満喫です!
私の夢も諦める必要はないんです。むしろレコブロックと木を組み合わせた町作りのためには、もっと腕を磨く必要があります。




