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第一話 自殺未遂

あるアニメを見ていたら、ふと頭から湧いてきたので書きました。パクリと言われたらそうかもしれません。まあでもとりあえずギャグラブバカ青春コメディーで書いていきたいです。とりあえず現在進行で書いているその他の自作品と並行してゆっくり~と書くと思います。一応二話目も早めに投稿したいです。

「午後五時…待ち合わせに来ず…」


 とある学校の屋上で、少年は腕時計を眺めた。オレンジ色の夕日が少年のこみ上げる悲しみを和らげようと必死に暖めてくれる。だが少年は泣いた。左目から一筋の涙が頬を伝って、顎から離れた。少年は周りをふと確認するが、周りに誰もいないことが解ると、ドッと大粒の涙が両目から流れ出た。

 そんな少年の頭上に、人の姿を象った珍妙な服を着た大人の女性が現れた。女性の顔は少年を嘲笑するかのような、下卑た笑顔だ。


「これで証明されたわね。あなたのそれは、もう必要がないってことが――」


 女性はそう言うと、少年に向かって手を伸ばした。すると女性の手が仄かに白く光ると、女性と共に光は消えた。少年が気付いた時には、少年の股間にある大事なものはなくなっていた。





 少年の名は【諸鬨(もろどき)モテ(もてお)】十四才。少年は名前の【モテ男】という言葉を信じ、十四年間女性に対して自信を持って生きてきた。だが、その自信は今、儚く散った。今まで彼女が出来たことがない。話しかけたことすらないモテ男は、放課後、絶望の顔で帰宅の途に着いた。

 「ただいま」と、モテ男は力なき挨拶を、玄関のドアを開けて言い放つ。だが家には誰もいない。それもそのはず、家には両親どころか兄弟すら二泊三日の家族旅行でいない。何故モテ男も一緒に行かなかったのかというと、この家族は恋人数至上主義であることが原因なのだ。つまり人生の中、又は現在進行形で存在する恋人の数が多いほど、地位が高い。諸鬨家は父、長女、次女、長男、次男モテ男の五人家族であり、父は人生プラス現在進行で付き合っている恋人百五十人がトップで、時点で次女百四十人(アイドル活動で得たファンも含まれる模様)、三位に長男百三十人(優秀且つ絶対的イケメンによりファンが未だに増え続けている)、そして四位が長女百人、。最下位は勿論モテ男ゼロ人。モテ男は家族の中で完全に無視され、家事全てを請け負わされている。まさに奴隷と言って差し支えないほどに。

 モテ男は何度も家出しようとした。十四年間で覚えた家事スキルがあれば、それも可能だと自信もある。だがしかし、今も少年は奴隷を続けている。反抗する気力も自身も今この時を持って、ゼロとなったからである。モテ男は洗濯、風呂掃除、五人分の食事作りに取り掛かった。

 深夜零時。少年は家族の顔を思い浮かべた。自分以外のどれも綺麗に整った顔立ちがあり、ただ一人モテ男だけが左右非対称且つ不細工だった。改めて自分の不細工を認めるために、鏡を見た。何十年ぶりだろうか。十四年間自分に自信を付かせるために出来るだけ鏡を見ないで過ごしてきた。だが今思えば、早い段階で気づければ、こんなに大きな絶望はなかったのかもしれない。


―死のうかな…


 モテ男はふと脳裏に過った『死』の羨望は、深夜一時を過ぎた時には切望へと変わっていた。この家庭で生きていく自信も、学校で過ごす気力も失ったモテ男は、自分の通う学校へ足を運んだのだった。そして閉じられた校門を必死で飛び越え、次男から盗んだ忍者セットで屋上まで登った。忍者セットは結構本格的で、十万円の値段に見合った商品だった。そして九時間ぶりの屋上を眺めた。冷えるような冷たいそよ風は、モテ男の体をひんやりさせた。だがモテ男の心はそよ風を超えるほど沈んでいた。だから足は止まることなく、屋上の囲いフェンスを悠々と飛び越え、モテ男はおよそ三十センチ幅の屋上に佇んだ。

一歩足を前に向ければ楽になれる。誰もいない今がチャンスだ。モテ男は大きく深呼吸をして、今までの己の人生を巡った。何故モテ男は今まで愚かにも己を信じることが出来たのか。バカみたいだと思った。早く死んでいれば、これほど絶望を感じることなく死ねたのに、今まで事故も病気もなく生きてきた己が憎い。だが、もういい。もう死ねるんだから…

すっかり気持ちを落ち着かせたモテ男は、左足を上げた。そして一歩踏み出そうとした。

その時――


「あの――」


 背後から声がした。更に人の気配が後からやってきて、モテ男はすぐさま足を引っ込めると、後ろを振り返った。そこにいたのは自分と同じ学校の女子用の制服を着た女子が立っていた。こっちと地面を交互に見ながら、女子生徒はモテ男の返事を待たずに口を開いた。


「先客ですか?」


 モテ男は返事をしようと思ったが、今己がやろうとしていることへの恐ろしさが今頃になって分かり、無言で頷くことにした。女子生徒はフッと噴き出すように笑った。


「私も何です。偶然ですね」

「―――」


 モテ男は咄嗟に言おうとした。何を言おうとしたかは分らなかったが、結局言えなかった。女子生徒、女子、女性。今初めて女子生徒と会話をしようとする今、モテ男の緊張は底なしの絶望からモテ男を一気に引っ張り上げた。今モテ男が思うのは「死にたい」と思うより、漸く巡り合えた女子と話せるチャンスを逃したくないという気持ちに変わっていた。

 モテ男は過呼吸になった。緊張が胸を締め付ける。モテ男は緊張を抑えるために胸を抑えた。そして女子を見つめた。だが女子はそれを睨みつけられたと思ったのか、小さく悲鳴を上げた。モテ男は覚った。ああ、やっぱりダメか。やっとの思い出モテ男を引っ張っていた緊張は消え、足元から絶望がモテ男に向かって手招きをする。

モテ男はまたフェンスの方に顔を向けた。


―その時。


「お前は本当にこのままでいいのか」


 唐突に空の方から高らかに声がした。声からして男性の声だ。


「ここで死んだら、家族に一生笑われるわね」


 更に唐突に同じ角度から綺麗な声がした。声からして女性の声だ。

 モテ男は大きな声二つに驚きすぎて、本当に屋上から落ちかけ、それを必死に止めた。そして後ろを振り返ると……そこにいたのはモテ男の通う男子校一イケメンの【英娚(えいだん)(いん)月尽(げっつ)】、そして隣にいるのは男子校のすぐ隣にある女子校一の美女【美麗(びれい)()()()】であった。そして二人は声を合わせてこう言った。


「「私があなたを世界一のモテ男にして、(あげる!美美)・(あげよう!月尽)」」


 そこにいた女子生徒とモテ男は口をあんぐり開けたまま、固まっていた。


ある意味二話目で実質一話です。アニメで言うと十五分くらいでしょうか?

とりあえず今日の夜に頑張って仕上げていくので、どうぞよろしくお願いいたします。他の物語を終わらせてからだと、すぐにこの物語を忘れそうなので、早めにいいところまで書きたいです。後は頭に振ってきたら書くかな?

因みにモテ男は漢字にしようと思ったのですが、ここではその漢字は使えませんでした。はあ…

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