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『頭から? しっぽから?』
【6月10日(日)】
––––駅前
雅「麗華ちゃん、麗華ちゃん」
麗華「何かしら?」
雅「たい焼きが食べたいですわ!」
麗華「いいわよ」
*
雅「麗華ちゃん、麗華ちゃん」
麗華「はいはい、何かしら?」
雅「たい焼きって、頭から食べますか? それともしっぽから?」
麗華「わたしはしっぽからね」
雅「わたくしは頭からですわ! あんが沢山入っていますので」
麗華「確かにしっぽは、皮の部分の方が多いわね」
雅「では、なぜそちらからですの?」
麗華「最初にあんの少ないしっぽから食べて、最後にあんの多い方を食べたいからよ」
雅「………………」
麗華「何よ」
雅「そういえば麗華ちゃんは子供の頃から、ショートケーキのいちごは、最後に食べるタイプでしたわね」
麗華「なら、これも覚えているかしら?」
雅「なんですの?」
麗華「わたしが楽しみに取っておいたいちごを、あなたが食べてしまったこと」
雅「にっ、にげろー」
麗華「あっ、ちょっと、待ちなさいよ!」
おわり! ですわ!