『走力』
【10月12日(金)】
––––グラウンド
雅「………………」
京子「どないしたん?」
雅「麗華ちゃんって走るの速いですわよね」
京子「せやな〜」
雅「だから麗華ちゃんは遅刻しないんですわね」
京子「走る速さは関係ないと思いやす」
雅「絶対、足が速いから間に合いますのよ」
京子「早く家を出れば、えぇんとちゃいます〜?」
雅「そうかもしれませんが…………あっ」
京子「戻ってきたなぁ」
麗華「靴の中に砂が入ってしまったわ」
京子「よくあるやつやな」
雅「……あの、麗華ちゃん」
麗華「何かしら?」
雅「どうしたら、速く走れますの?」
麗華「あなたには無理ね」
雅「……わたくしの胸を見ながら即答しないでくださいな」
麗華「そもそも、どうして速く走りたいのよ」
京子「ヒント」
麗華「聞くわ」
京子「遅刻」
麗華「……走れば間に合う、みたいな?」
雅「大正解ですわ!」
麗華「あのね、そもそも早く家を出ればいいでしょ」
京子「ほらなぁ、うちもそう言ったやろ〜?」
麗華「それに、そもそもあなたは遅刻しそうになっても絶対に走らないじゃない」
京子「そうなん?」
雅「走りますと髪型が崩れますので」
麗華「………………」
雅「何ですの?」
麗華「なっ、なんでもないわ」
雅「変な麗華ちゃんっ」
京子「………………」
麗華(『走ると胸が揺れて痛いので』って、言うと思ってたわ……)
京子(……って考えてはるんはお見通しや)
おわり! ですわ!