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【四話】イオナと言う最強 ②

遅くなりましたすみません。

「その自信は一体どこから湧き上がって来るのか…考えれば考えるほど楽しくなってくる…!」


そう言うとイオナは真正面から走ってきて、二つの剣を自由自在に操り、力も速さもある攻撃をしてきた。

俺はそれを片手剣で傷を負わないように防ぎ続けていると、イオナの顔が一瞬微笑んだ。


なにかしてくる!


そう感じた。

イオナは一歩下がり二つの剣を重ね、大きく振りかざした。

俺はそれを防ごうと剣をかざすとイオナの二つの剣は俺の剣をすり抜けた。


「げっ…!」


そのままイオナの剣は俺の左肩に当たり、そのまま下に斬り込まれた。


「ぐあっ!!」


ドサッ!


左肩から下へと剣がもろ入った俺の腕は完全に切り落とされていた。


「ぐ……おぁ…っ!!」


切り落とされた左肩からは血が大量に出ていて、俺はあまりの痛みに叫び狂い、その場でうずくまってしまった。


「勝負あったようだな」


「ハク…が、負けた……」


ケイは震えながら声を出し跪いた。

ただし、ニイナはビクともしていない。

ニイナは何一つ表情を変えず、俺とイオナの殺し合いを眺めていた。


「ハクと言ったか、私が戦ってきた中では1番強い相手だった。忘れたりはせんぞ」


「………く………そ………!」


必死の思いで出した声だったが既に掠れていた。

顔を上げるとイオナは俺に向かって剣を上から向け、そこから突き刺そうとしていた。

そして、悪魔の力を解除した。


「楽しかったぞ、ハクよ…」


グサッ


ハクは首に剣を突き刺され、動かなくなった。


「あ………ぁ………ハク………」


ケイは信じられないと言う顔をし、涙を流していたがニイナは未だに表情一つ変えない。


「はぁ…はぁ…流石に、悪魔の力をすべて借りるとなると、体力の消耗は激しい…な…はぁ…はぁ…」


その途端、イオナは背後から剣を突き刺された。


「………え…?」


刺された剣は抜かれ、今度は背中を斬られた。


「ぐはぁぁッ!!」


「なんで………」


イオナが後ろを向いた。


そこにはハクが居たそれも左腕がある状態で。


「だーから言ったろ?俺ら最強なんだわ」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー俺はイオナが微笑んだ瞬間、剣がすり抜けて当たる前


《俺はイオナの背後に居る。しかし幻像を残した状態で、幻像が見えてる間俺の姿は見えない》


と、思い込みをした。

流石に大きな思い込みな為1日1回しかこんな大きい思い込みは出来ない。

しかし、ここで使わないと死ぬ可能性があったので使わざる負えなかった。



イオナは俺に斬られた後、そのまま仰向けに倒れた。

俺は倒れたイオナに近寄る。


「俺の特技だ。お前は幻像が本人だと思い込み、倒した」


「私が……思い込みだと……?」


「だって、俺を殺す時『これはハクじゃない』なんて思わなかったはずだ」


「ぐっ…」


「お前は思い込みが激しすぎる。最強最強と言われているが、本当の最強は自分の弱点ぐらい分かっていて当然だ」


「ハハハ……!最強を名乗る男は違うな……確かに私は強さだけを求めてきた……」


「俺はお前を殺しはしない。お前は思い込みが激しい以外にも弱点がある」


イオナの最大の弱点は表情で次どう来るか分かる事だ。


「お前は自分で自分の弱点を探して本当に最強って思われるようにすればいい、まあ俺らの目的は世界を壊すことだからそんな時間はあまり無いけどな」


「なるほど、世界を壊す…か。面白い事を言うやつだ…やっぱり……」


「ニイナ!!イオナを手当てしー」


ニイナに呼びかけた瞬間、俺の持っていた剣にイオナが飛びかかってきた。


「イオナ……お前何を…」


イオナの胸には俺の剣が完全に刺さり、背中から貫通している。

そして倒れるように俺の方に寄りかかった。


「私は…現実世界では高一で……皆の中心に立ち…仲良くなる事が好きだった……仲良く話したり、昼食を食べたり……」


イオナは力がない声で語り始める。

俺は寄りかかったイオナを支えていたが、抑えていた掌には血がびっちりと付いていた。


「そんなある日……私は…イジメにあった……」


「イオナ……」


近づいてきたニイナが現実世界の事を聞いて少し弱い声で言う。


「私は…なにが間違いだったんだろう……ってずっと思って……それでも皆と話して……ゴホッゴホッ……だけど……無駄だった……私は、学校の屋上から投げ飛ばされた……」


「ひっでぇ話だ、それも思い込みが関係していたな」


「この世界に来てから…やけに腹が立った……虐めてきやがった奴らが……!それで何人もの関係ない人達を殺しまくった………殺し合いが起きているこの世界で……」


「私は……殺している間に…自分のやっていることは正しくないと思い始めた……そこから自分自身どう思ったか……分からない……」


「自分に、罰が欲しかった」


ニイナがそう呟くとイオナが大きく、だが力なく笑った。


「そうかもな……罰が、負けが欲しかったのかもしれない……だから自分から動き出したのかもな……」


「俺はお前を仲間にしたかった」


俺がそう言うと、イオナは目を丸くして俺を見つめる。


「たとえ自分で何やってるか分からなくても、関係の無い人を殺しまくっても、俺はお前を仲間にしたかったよ。今は無理かもしれない、また戦うことになるかもしれない。でもいつかはお前を仲間にしたかった」


「冗談じゃない……私からお断りだ……ゴホッゴホッ」


「ひでぇ………」


「私はもう限界の様だ………」


イオナから異様なオーラが消えた。

そして、腰から伝わるイオナの鼓動が少しずつゆっくりになっている。

もうイオナを助ける方法はどこにも無かった。


「負けをくれてありがとう……最強…………」


イオナはそれ以降目を開けることも無ければ喋ることも無かった。

そしてイオナの体は砕け散り、上へと舞い上がった。


「本当はこれが正しいんだよな…」


「うん、これでイオナは成仏された」


「これを全員やれって言ったら身が持たねぇな」


「だから世界の核を探すんでしょ?」


「あぁ…」


俺が返事する途端に遠くから走ってくる足音が聞こえ、次第に大きくなってくる。


「ハクー!!!」


正体はケイだ。


「ハク!お前生きてるよな?死んでないよな!?良かったぁぁぁぁ!!!」


ケイらしくないほどにケイは泣き叫ぶ。


「暑い…離れて……」


「お前!ほんとにイオナに勝ったんだ!スゲェよ!!ほんとに!!」


「そんなにはしゃいで、風水佳みたい…」


ニイナがそう言うとケイはギロリとニイナを睨み、


「お前は冷静すぎるんだよ!!ハクがやられた時ビクともしていなかっただろ!」


「結論的に死んでなかったし」


「そーゆー問題じゃなくてなぁ!?」


はぁ…ニイナとケイの言い争いはいつもニイナの圧勝だな。


イオナ


世界最強の双剣者であり、悪魔との契約を交わした無敗の少女。

殺した人数10万

ランクSS

序列1位


死亡者リストにイオナの戦績が載っていた。


「殺した人数10万って……」


「だから!!結論的にまとめるなよ!!死ぬかもしれなかったじゃないか!!」


「終わりよければ全てよし」


うわぁ…ケイ完全に論破されたなぁ……


「クッソ!!もういいや!」


ケイは不貞腐れて小屋へと戻って行った。

これはなかなか出てこないパターンだと俺は察した。


「イオナって私達の住民だと思ってた」


「それって俺らみたいに死んでないのにこの世界に居るって事か?」


「ハクは思わなかった?」


「思いましたはいすみません」


そうじゃないとあんなにバケモンになるわけないと思ったが、ガチのバケモンだったとはな……


「さて、一つの件を終えた事だし、ケイの機嫌が直ったら風水佳の所に行くか…」


「そうね」



俺はニイナを連れて、小屋へと戻る。

奥にある小さい部屋にケイは入って出てこないようだ、ニイナがそこへ入りケイを説得しようと試みる。

ケイはニイナに任せようと思い俺は辺りを見渡す、すると床に1枚の紙が落ちていた。


『ハク、この世界には私より恐れられている集団2つある。北の領地の《イザナギ》、西の領地の《イザナミ》そいつらは有り得んほど強い、私も見つけたら逃げる。そしてその二つの集団は世界の核を守っている、くれぐれも気をつけろ』


どうやらイオナの置き手紙らしい。

北のイザナギと西のイザナミ?

なんで北にイザナギなんだ?なんで西にイザナミなんだ?ってこれを考えてしまうと埒が明かないのがこの世界の特徴か…悪魔を呼び出す時もそうだったし、、


しかし、イザナギは兄でイザナミは妹って話は聞いたことある。あとはイザナミは黄泉ってイメージが強い。

しかも集団って書いてあったな、集団って事はそのギルドみたいなものか。

だがこの後が最大の情報だ。

この二つの集団の奴らは世界の核を守っていると書かれている。

結論的にその集団に入ってしまえば、核の情報が分かるってもんだ。


「ケイがやっと機嫌直した」


ニイナとケイが部屋から出てきた。

ケイは何事も無かったようにニイナと接している。

俺はイオナの置き手紙を2人に見せる。


「私聞いたことがある」


ケイは目の色を変え、手っ取り早く説明した。


「イザナギとイザナミは神の名前、つまり神に達するほどそこのボスは強いらしい。ただ、イオナの無双に手を出さなかった為イオナが最強という説が出回ったんだ。しかも多人数のチームだ、個人で目立つよりも団体で目立つことを望むだろうな」


うーむ…となるとイオナよりも強い可能性が出てくるってわけか…


「それに、チームに入るにはSSランク以上必要でそう簡単に入れる訳でもないんだ」


うげぇ…そりゃきついな…


「ならばチームに入って聞き出すことは出来ないね、それにイオナを倒した私達はもう既に有名人。向こうから攻めてきてもおかしくないはず…」


ニイナが冷静に考察する。

彼女の言う通り、イオナを倒した俺らはいつどこで何されるか分からない状態となった。そうなると迂闊に近づけないし、戦えない。


「んなら今の最善策は、風水佳に会うことか…」


「それが1番」


俺とニイナは改めて目標を決め、達成に向かってケイも連れて歩き出した。


ご覧いただきありがとうございます!

四話にして最強キャラをご退場させてしまいましたm(_ _)m

今後もいろんな展開にしていきたいと思います。宜しくお願いします。

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